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『二階からメガスリー』 2

 弟イチ押しの特撮ヒーロー番組「二階からメガスリー」を今日も見せられることになった。別にあたしはハマってなんかいない。嫌々である。いや、ホントに。


 今日はなんかドロドロした話である。メガポイントが慢心から大失敗をやらかして、周辺の建物に損害を出してしまった。いきなり明かりを落とした作戦室で緊急会議である。それにしてもなぜ部屋を暗くするんだろう?


 いつもの三人に上司みたいな二人が加わっている。目頭司令めがしらしれい目上長官めがみちょうかんだそうだ。いかにも上司らしい名前だが、司令と長官、どっちが偉いんだ?


「今度失敗したら、メガスリーは解散だ!」


 どこかの怪獣攻撃隊にありがちなセリフを発する目頭司令。


「まあまあ、こらえてこらえて」


 おお、目上長官が目頭を抑えた。


 どうも長官の方が目上めうえらしい。


「まあ、メガポイント君も反省していることだし、今回に限り『大目』に見るとしよう」


 言葉こそ優しかったが、メガポイントに向けられた目上長官の目は、威圧するかのようにギョロリと大きく見開かれていた。


 失敗したら次はないぞってことね、これ。


 で、メガポイント君はといえば、素顔の状態で案の定、目が点になっていた。



 さて。

 アイキャッチとCMの後、「二階からメガスリー」の後半部分が始まった。


 しばらく戦闘シーンを見ていた弟が首を傾げ始める。


「おかしい。今度の『鼻水鬼はなみずき』、やたらと強すぎる。頭もいいし、余裕もたっぷりだ。もしかして、正体不明だった大首領なんじゃないか?」


「怪人のこと、ハナミズキっていうの? 綺麗な名前ね」

「いや、漢字にすると汚いんだが、姉ちゃんも知っての通り……」

「知らないわよ。あたし、この番組ついこないだ見始めたばかりなんだから」

「すまん。とにかくあいつ鼻水鬼じゃないみたいだ。鼻水鬼を操る大ボスにして『暗黒邪心教団・ハナクーソ』の教祖──『鼻クソ様』だと思う」

「何よそれ、バッチイ名前ね」

「仕方がない。元々、魔王の鼻クソが魔力を帯びて意識を持った存在なんだから」

「ろくな設定じゃないわね」


 弟が敵の設定をかいつまんで説明してくれた。


 その昔、魔界に魔王がいた。魔王の目クソ、鼻クソ、耳クソも魔王の魔力を吸ったせいで、それぞれ人格を持っていたそうな。でも、ある時、鼻クソは目クソに馬鹿にされた。「目クソには目ヤニという別名があり、耳クソには耳垢という別名がある。鼻クソには何の異名もないな」と。鼻クソは激しく怒り、目クソに襲いかかったが、返り討ちに遇い、封印されたのだった。


 それから数千年。力を蓄え復活した鼻クソは目クソへの復讐を誓った。だがその時既に、目クソは天寿を全うしてしまっていたのである。そして、目クソの魂は三つに分かれて地上界で人間として生まれ変わっていた。


 それこそがメガスリー。当初は「魔界からメガスリー」というタイトルとして企画されたのだそうだ。それが「ネタバレになるから」という理由で変更されたのが現在のタイトルらしい。


 さて、戦闘もクライマックスである。メガスリーが必殺技を出した。


「大目玉アタック!」


 目玉の形をした巨大な爆弾を三人が力を合わせて相手にぶつける必殺技。さっきは見事にかわされてしまい、周辺に多大な被害を与えた。だが今度は、メガポイントが名誉挽回とばかりに開発した誘導装置が付いている。一発必中だ。


 しかし。敵もさすがは大ボス。避けられないと悟るや、爆弾を丸飲みにしてしまった。


「大目玉を食らった!」


 あたしが叫んだ次の瞬間、メガボイントは「そうなることは読んでいた」と言い、リモコンを取り出して爆弾を起爆させた。


 鼻クソ様の最期である。


 「やった!」と喜ぶメガスリー。


 だがその時だった。突如として地面が揺れ、雷鳴が轟く。響き渡る哄笑。声の主の姿はどこにもない。


「わはははははは。おめでとうメガスリー。しかし、喜ぶのはまだ早い。鼻クソなど、わしの操り人形に過ぎん。失敗続きのヤツめにラストチャンスを与えたが、どうやら最後まで使えない奴だったな。わしこそはクソの中のクソ。すなわち魔王の大便。人呼んで『ウンチ全能の神』である。メガスリー、首をシャワーで洗って待っているがいい!」


 まさかの真の大ボス登場。


 何という糞展開!


続かない


嘘でーす。


続く

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