第89話 白い道は、腹の中で曲がる
人間七人が、白い道へ踏み込んだ。
隊長。
目隠しの男。
白灯術者三人。
残った盾兵一人。
記録官一人。
合計七。
隊長は撤退を捨てた。
迷宮の外へ戻る道ではなく、迷宮の奥へ進む道を選んだ。
正しい。
この状況で戻ろうとすれば、背中から喰われる。
ならば核を狙う。
核を砕けば、すべて終わる。
迷宮も。
魔物も。
そして余も。
「……ふざけるなよ、人間」
《ロード、動揺しています》
「しておらぬ」
《声が低くなっています》
「低いだけだ」
白い部屋で、余は監視面を睨んだ。
白い道。
白灰庭区画の中央に作った、最も美しく見える通路。
白磁庭園騎士の枝核を喰って生まれた場所。
人間には、白い床と白い壁の安全な道に見える。
だが違う。
あれは道ではない。
腹だ。
迷宮が敵を奥へ飲み込むための、白い喉だ。
「白灰道、閉じる準備」
《了解》
「まだ閉じるな。隊長が中央に入るまで待て」
《了解》
隊長は慎重だった。
白い道の入口で、盾兵を前に出す。
白灯術者三人を左右と後方に置く。
記録官には記録石を握らせる。
目隠しの男は腕を失いながらも、歯を食いしばって耳を澄ませている。
「この道、音が変だ」
目隠しの男が言った。
「白い壁の奥が、空洞じゃない。湿ってる。生き物の腹みたいに響く」
「罠か」
「全部罠だ。だが、左右の灰道と骨道よりは、中央の方がまだ進める」
「なら進む」
隊長は即断した。
「核まで行ければ勝ちだ」
「行ければ、な」
余は呟いた。
「行かせるわけがなかろう」
人間たちが白い道へ入る。
一歩。
二歩。
三歩。
全員が中央に入った。
「閉じろ」
《白灰道、入口閉鎖》
後方の白い床が、ぬるりと盛り上がった。
壁ではない。
白い膜。
陶器のような表面に、湿灰が薄く滲む。
入口が塞がる。
「後ろ!」
白灯術者が叫ぶ。
「やはり閉じたか!」
隊長は振り返らない。
「前へ進め! 閉じたなら、奥に出口がある!」
こいつ、本当に判断が早い。
だが、だからこそ罠に合う。
迷宮で一番危険なのは、迷う者ではない。
迷わず進む者だ。
そういう奴は、罠の奥まで来る。
「白灯を壁に当てるな!」
目隠しの男が叫んだ。
「光で道が変わる!」
「遅い」
白灯術者の一人が、すでに壁を照らしていた。
白い光が壁を撫でる。
その光に反応して、白灰道の壁に輪郭が浮かぶ。
カゲヌイの白縫い針が、遠隔の縫い目へ触れる。
壁の縁が、す、とずれた。
道が曲がる。
ほんのわずかに。
人間の目では分からない。
だが、足音の返りが変わる。
目隠しの男が顔を歪めた。
「右に曲がった! いや、違う、床が曲げられてる!」
「どういう意味だ!」
「道が動いてる!」
その通りだ。
Bランクで得た白灰庭区画は、完全な迷宮変形ではない。
だが白い輪郭を照らされれば、その境目を縫って少しだけ曲げられる。
真っ直ぐ進んでいるつもりで、少しずつ横へずれる。
核へ向かう道ではなく、餌場の中心へ。
「記録官、現在位置!」
「記録石が狂っています! 白い道の反射で、方位が取れません!」
「壁に印をつけろ!」
盾兵が短剣で壁を削った。
白い壁に傷がつく。
その傷から湿灰が滲む。
「印をつけたな」
余は笑った。
「カゲヌイ、その傷を縫え」
傷は輪郭だ。
輪郭は罠になる。
白縫い針が、壁の傷を縫った。
盾兵がつけた印が、ぬるりと動く。
前方の壁にも、同じ印が浮かぶ。
「印が前にあるぞ!」
「戻ってきたのか!?」
「違う! 印を動かされた!」
混乱が生まれる。
目で見る者は印に惑う。
耳で見る者は音に惑う。
記録石は白い反射で狂う。
それでも隊長は止まらない。
「印は見るな! 音も捨てろ! 俺の足だけ見て進め!」
隊長が剣を抜き、前に出た。
盾兵を押し退け、自分が先頭に立つ。
危険な男だ。
部下を捨てる冷たさがあり、前に出る度胸もある。
こういう人間は、迷宮にとって一番うまい。
ソウルも、経験も。
「グズ」
第二関門の門前で、泥砕門将グズが打撃具を握り直す。
「隊長はまだ殺すな。まず周りを削る」
「ギィ」
「白灯を減らせ」
白灰道の天井に、灰灯喰い蟲の生き残りが張りついていた。
数は減っている。
だが、腹には先ほど吸った白光が残っている。
「吐け」
灰灯喰い蟲が、白い道の天井から灰霧を落とした。
薄い灰色の霧。
白灯術者たちは即座に反応する。
「また霧だ! 焼け!」
白灯が強まる。
灰霧が白く照らされる。
輪郭が生まれる。
「カゲヌイ」
白縫い針が走る。
灰霧の輪郭が細い布になる。
その布が、一番左の白灯術者の顔へ絡んだ。
「ぐっ、見えな――!」
「切れ!」
隊長が叫ぶ。
だが、切る前に影縫い大蜘蛛の白影糸が落ちた。
首ではない。
手首。
白灯器を持つ手。
白灯術者の腕が持ち上がる。
灯りが天井を照らす。
天井の白影糸が、さらに浮かび上がる。
自分の灯りで、自分を縛る罠を照らした。
「馬鹿、灯りを下げろ!」
「腕が動かない!」
「なら手を切れ!」
隊長が走る。
白灯術者の手を切り落としてでも助けるつもりか。
だが、その一瞬、隊長の横が空いた。
「湿骨兵」
白い床の下から、骨槍が斜めに突き出した。
狙いは隊長ではない。
記録官。
記録石を握る手。
「ひっ――!」
骨槍が記録官の手の甲を貫いた。
記録石が床に落ちる。
次の骨槍が喉を貫く。
記録官は声も出せず、白い床に倒れた。
《侵入者一名死亡》
《ソウル獲得:24》
「六人目」
残り六。
隊長が歯を食いしばる。
「記録石を拾うな! 前へ出る!」
見捨てた。
やはり冷静だ。
記録より攻略を優先した。
だが、記録石はこちらのものになる。
「回収」
《記録石、白灰床下へ回収》
湿灰が記録石を飲み込む。
中の記録は後で見る。
人間側がどこまで迷靄洞を理解しているか、知る材料になる。
白灯術者はまだ吊られている。
隊長が剣を振るい、白影糸を切った。
術者は床に落ちる。
生きている。
だが白灯器は大蜘蛛に奪われた。
《白灯器、一個回収》
「残り白灯二つ」
《はい》
「よし」
白灯が減れば、迷宮は暗くなる。
暗くなれば影が戻る。
影が戻れば、影縫いも使える。
白でも黒でも、こちらの罠になる。
白灰庭区画は、そういう場所だ。
「全員、灯りを固めろ!」
隊長が叫ぶ。
「左右に広げるな! 照らす範囲を絞れ!」
残った白灯術者二人が、灯りを中央へ寄せる。
白い光の円が小さくなる。
その外側は暗い。
暗い場所に、追跡者が立っていた。
目隠しの男が息を呑む。
「来る……また、あいつが……」
追跡者の標的は、まだ目隠しの男。
片腕を失った男は、隊長の後ろにいる。
隊長はそれを理解し、剣を構えた。
「来い」
強い。
人間としては、かなり強い。
追跡者の斬撃を一度受け、なお構えが崩れていない。
だが、追跡者は正面からの決闘をしない。
迷宮の魔物だ。
狩りをする。
「カゲヌイ、隊長の影は縫うな」
《なぜですか》
「あいつは影を警戒している。白灯の内側にいる限り、影を踏まぬ」
《では?》
「剣の反射を縫え」
隊長の剣は、白灯を受けて淡く光っている。
刃の縁に、白い輪郭がある。
カゲヌイの白縫い針が、遠くからその反射の縁に触れた。
隊長が即座に気づく。
「剣を見ている!」
剣の角度を変えた。
針が外れる。
だが、その一瞬で十分だった。
追跡者が横を抜ける。
隊長ではなく、背後の目隠しの男へ。
「させるか!」
隊長が追跡者の太刀を受ける。
ぎん。
重い音。
隊長の膝が沈む。
だが受けた。
その背後で、目隠しの男が血を吐く。
「隊長……もう、俺を捨ててくれ」
「黙れ」
「俺を守ると、全員死ぬ」
「黙れと言った」
目隠しの男は、笑った。
「なら、最後に見る」
男は残った手で、目を覆う白い布を剥いだ。
その下に、目はなかった。
眼窩に、銀の輪が埋め込まれている。
耳だけではない。
音を目にするための魔術器官。
「音界開帳」
白い道全体が、低く鳴った。
マネの嘘音。
骨鳴核片の音。
湿灰の音。
白灰壁のずれ。
すべてが一瞬、暴かれる。
《音響偽装、広域解除》
《白灰道の曲げ、一部露出》
「まずい」
目隠しの男が叫んだ。
「隊長! 中央は核じゃない! 右の暗い壁の奥に、深層へ続く本当の脈がある!」
白い部屋が、冷たくなった。
右の暗い壁。
そこは本当に、第二層深部へ続く脈に近い。
核そのものではない。
だが、方向としては正しい。
「この男、厄介すぎる」
《優先排除を推奨》
「もうしておる!」
追跡者が太刀を振る。
隊長が受ける。
目隠しの男へ届かない。
このままでは、隊長が正しい道を知ったまま進む。
なら。
「マネ」
「ギ」
「今の声を真似ろ」
目隠しの男の声。
音界で暴いた真実の声。
それを、マネが真似た。
まったく同じ声で。
「隊長! 中央は核じゃない! 左の骨道が本命だ!」
目隠しの男が叫ぶ。
「違う! 今のは偽物だ!」
マネが続ける。
「右は罠だ! 左へ!」
「違う! 右だ!」
同じ声が二つ。
白い道に反響する。
隊長の判断が、一瞬だけ止まった。
その一瞬が、命の値段だ。
「追跡者」
太刀が、隊長の剣を押し込む。
カゲヌイが剣の反射をもう一度縫う。
ほんのわずかに、隊長の剣筋が沈む。
追跡者の太刀が、その上を滑った。
目隠しの男の首へ。
刃が通る。
首が落ちる。
銀の輪が埋め込まれた頭部が、白い床を転がった。
《侵入者一名死亡》
《ソウル獲得:51》
「七人目」
残り五。
隊長の顔が、初めて怒りに歪んだ。
「この迷宮……!」
「怒れ」
余は白い部屋で低く言った。
「怒れば、判断が鈍る」
だが隊長は怒りを飲み込んだ。
剣を構え直し、目隠しの男の死体を見もせず告げる。
「右だ」
余は眉をひそめた。
「まだ覚えていたか」
《はい》
「嫌な人間だ」
隊長は右の暗い壁へ走った。
残った盾兵が前に出る。
白灯術者二人が灯りを絞る。
吊られかけていた白灯術者一人は、白灯器を失って短杖を抜く。
五人。
だが、数より質が残った。
隊長。
盾兵。
白灯二人。
短杖術者一人。
右の壁の奥には、第二層へ続く脈がある。
突破されれば、コアに近づく。
危ない。
本当に危ない。
余は、白い部屋で一瞬叫びそうになった。
だが、飲み込んだ。
「グズ」
「ギィ」
「第二関門を守れ」
「ギィィ」
「湿骨兵、右壁の下へ」
《了解》
「カゲヌイ、大蜘蛛、白灯を減らせ。残り二つのうち一つを必ず奪え」
《了解》
「追跡者は隊長を狙うな。隊長が守りたいものを狙え」
《追跡対象を再指定しますか》
「盾兵だ」
《追跡対象、盾兵へ変更》
隊長は強い。
なら、隊長自身を狙うより、隊列の支えを壊す。
盾兵が落ちれば、白灯術者が前に出る。
白灯術者が前に出れば、糸と蟲の餌になる。
隊長は守るものを失う。
「人間は、仲間がいるから強い」
余は呟いた。
「なら、仲間から喰う」
右の壁が、隊長の剣で叩かれた。
ただの壁ではない。
白灰で隠した脈壁。
二撃。
三撃。
ひびが入る。
まずい。
本当にそこは開く。
「グズ、行け!」
泥砕門将グズが突進した。
盾兵が前に出る。
「止める!」
盾を構え、グズの打撃具を受ける。
轟音。
盾兵の足が沈む。
だが耐えた。
この盾兵も強い。
最初の盾兵より踏ん張りが効く。
グズが二撃目を入れる。
盾にひび。
盾兵は歯を食いしばりながら叫ぶ。
「隊長、壁を!」
「任せた!」
隊長は振り返らない。
壁を壊し続ける。
白灯術者二人が、グズへ光を当てる。
グズの白灰耐性があっても、集中されれば動きが鈍る。
《グズ、白光負荷》
「湿骨兵、盾兵の足」
床下から骨槍が突き上がる。
盾兵は気配を読んで足をずらした。
完全には避けられない。
太腿を裂く。
だが倒れない。
「いい盾だ」
余は認めた。
「だから砕け、グズ」
「ギィィィ!」
グズが門砕きを放つ。
盾兵の盾が大きく割れる。
だが盾兵は、その割れた盾を捨てなかった。
むしろ割れ目に腕を突っ込み、グズの打撃具を挟み込んだ。
「今だ、焼け!」
白灯がグズへ集中する。
《グズ、危険》
「ちっ!」
グズの肌が白く焼ける。
進化したばかりの体に、白いひびが走る。
まずい。
このままではグズが固められる。
「大蜘蛛!」
白影糸が、白灯術者の一人へ飛ぶ。
術者は糸を焼く。
糸は焼ける。
だが焼けた糸片が白い粒になる。
「カゲヌイ!」
白縫い針が、その粒を術者の灯りへ縫い付けた。
白灯器の表面に、細い縫い目が走る。
灰灯喰い蟲の生き残りが、そこへ群がった。
「虫が――!」
白灯器が明滅する。
光が乱れる。
グズを焼く光が一瞬弱まる。
「グズ!」
「ギィィ!」
グズは打撃具を手放した。
盾兵はそれを挟んでいた。
つまり、両手が塞がっている。
グズは素手で踏み込んだ。
泥と白灰で固まった額を、盾兵の顔面へ叩きつける。
ぐしゃ。
盾兵の鼻と歯が潰れる。
さらに、グズは相手の割れた盾ごと押し倒した。
床下から湿骨兵の槍が伸びる。
盾兵の背中を貫いた。
追跡者が、闇から現れる。
新しい追跡対象。
盾兵。
欠けた太刀が、首を斬る。
《侵入者一名死亡》
《ソウル獲得:39》
「八人目」
残り四。
隊長。
白灯術者二人。
短杖術者一人。
だが、その瞬間。
右の壁が割れた。
《第二層脈壁、一部破損》
白い壁の奥に、暗い通路が見えた。
第二層へ続く、本物の脈に近い通路。
隊長が叫ぶ。
「開いた! 走れ!」
四人が、そこへ飛び込もうとする。
余の意識が冷たくなる。
ここを抜けられると厄介だ。
第二層に入れば、まだ罠はある。
だがコアへ近い。
危険度が上がる。
「……よくもまあ、ここまで来た」
《迎撃指示を》
「分かっている」
余は、白い部屋の奥を見た。
新しく得たBランク権限。
第二層深部拡張。
まだ完全整備していない。
危険だ。
だが、使える。
「第二層の未整備空洞を開け」
《未整備です。味方魔物にも危険があります》
「味方は入れるな。人間だけ落とす」
《了解》
「脈壁の先を、床ではなく穴にしろ」
《白灰偽床を展開》
隊長たちが、壁の向こうへ踏み込む。
そこには、暗い床があるように見えた。
隊長は一瞬だけ足を止めた。
さすがだ。
疑った。
だが、後ろから追跡者とグズが迫る。
白灯は乱れている。
時間がない。
「行くぞ!」
隊長が踏み込んだ。
白灰偽床が、砕けた。
四人の足元が消える。
「なっ――!」
隊長、白灯術者二人、短杖術者一人。
四人が、第二層未整備空洞へ落ちた。
暗闇の下へ。
湿灰も白灰も届ききっていない、生の迷宮の空洞へ。
《侵入者四名、第二層未整備空洞へ落下》
《落下損傷発生》
白い部屋の監視面が切り替わる。
深い縦穴。
未整備の岩壁。
底に散らばる人間四人。
白灯が一つ割れている。
もう一つは点いている。
短杖術者は足が折れている。
隊長は、落下しながら壁に剣を刺して勢いを殺したらしく、まだ立てる。
「……まだ生きておるのか」
《隊長個体、生存》
「しぶとすぎる」
隊長は血を吐きながらも、上を見た。
それから、笑った。
「奥に……落としたな」
その声が、空洞に響く。
「迷宮の奥に、俺たちを入れたぞ」
余は白い部屋で、しばらく黙った。
確かにそうだ。
落とした。
殺すために。
だが、同時に奥へ入れた。
この男は、それすら利用する気だ。
面白い。
いや。
腹立たしい。
「よい」
余は言った。
「なら、その奥で死ね」
第二層未整備空洞の壁に、湿灰が滲み出す。
上から、追跡者が穴を覗く。
白影糸が、縦穴の縁にかかる。
湿骨兵はまだ降りられない。
グズも穴の上で唸るだけ。
だが、第二層には第二層の闇がある。
未整備だからこそ、何がいるか分からない。
《未整備空洞内に、野生化魔素反応》
「何だ」
《Bランク昇格後、第二層拡張に伴い自然発生した未登録魔物反応》
余は監視面を見た。
空洞の奥。
岩の隙間。
そこに、小さな白灰色の目がいくつも開いた。
まだ登録していない。
まだ名前もない。
だが、迷靄洞の中で生まれたものだ。
「……新しい魔物か」
《未登録群体です》
「なら、ちょうどいい」
隊長たちは、穴の底で体勢を整えようとしている。
白灯術者が残った灯りを掲げる。
その光に反応して、岩の隙間の目が増えた。
白灰色の、小さな獣。
ネズミより大きく、狐より低い。
背中に苔。
口元に白い牙。
灰色の舌。
湿った足音を立てず、岩の上を這う。
《新規魔物候補を確認》
《白灰這い》
「白灰這い」
余は笑った。
「よし」
穴の底で、隊長が剣を構える。
白灯が揺れる。
白灰這いたちが、音もなく囲む。
「登録しろ」
《白灰這いを迷靄洞所属魔物として登録しますか》
「登録だ」
《登録完了》
第二層の闇で、新しい牙が一斉に開いた。
余は静かに命じた。
「喰え」
白灰這いの群れが、残る四人へ飛びかかった。




