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きゅうじゅう
窓を叩きつける強風の無邪気さが憎い
あれほどの被害をもたらしておきながら、今日も変わらぬ顔でやってくる
凍えた体に当たる風は、ナイフのように鋭く肌を切り裂く
しゃがんだ体をさらに小さく丸めても震えは止まらない
感情が淀んで、腐り始めるが分かる
孤独と絶望が心を侵食していく
隣で泣く子どもの涙が、凍てつく光の中で輝いて見えた
彼はまだ生きていると感じる
こんなにも容易く奪われてしまうのか、私たちが大切にしてきたものが
こんなにも無慈悲に苦悩に晒されるのか、この残酷な運命に
善良に誠実に私は生きてきたのに




