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ろくじゅういち
集団で生きる動物に個の意識はどこまであるのだろうか
大きな水槽を魚群で回り続ける彼らは集団としての個に見える
呆然と眺めながら、彼らの回る意義について思いを馳せる
一回りで世界に一つ良いことが起きるのかもしれない
遠い宇宙の先で、蕾が一つ花開くのかもしれない
妄想でしかないが、何とも健気で愉快な気持ちになる
我を忘れ、長いものに巻かれ、見えない何かのために一心に働く
死んだ魚の目とは上手く言ったものだ
水槽に反射した僕の顔も彼らと同じ表情をしていた