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ごじゅうさん
奇妙な音響に掴まれた心臓
脳から全身に滲み出る油
渇いた空気に解けた毛糸
不条理に吸われる精神
蛹の抜け殻に僅かな共感
虚も体に宿る臓器の1つ
カイワレダイコンは珍竹林
言霊とは言い得て妙
沈思黙考の導きは再構成
未必の故意の正否は迷路
格子状の空に茜色の炎
埋没主義の鬼畜強迫
浅薄にして外殻だけは堅牢
将来の夢は赤い風船
歯ごたえのないスポンジ
喉に詰めるなら3個
追い越し車線を歩く亀ら
飛べる鶴には白線は無意味
羽の折れたキツツキ
樹木は意味ありげに無言を一貫




