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にじゅうろく
金切り声を鎮める縫合は温かい方が良い
諦念の絶望に解決策の提案は不味い飯のようだ
黒は何を混ぜても黒のままだった
寂しさを抱えた墨汁を閉じ込めて水攻めすれば、
漆黒と言えど幾多の透明に揉まれては澄んでゆく
膝を折る女の腹に溜まった悲愴も、くすんだ涙も
純粋な光の行水で宥めることが出来ないだろうか
黒を溶かすために必要な量の収集は
ただただ途方もない航路のように思えた
血反吐を漏らしながらも足を動かさねばならない
慈雨を待ちながらも果実を拾いに行かなければならない
ただ忘れてはならない
抱えて目を閉じることも勝利となりうる