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じゅうよん
□に嵌れば嵌るほど
世界は極めて狭小化する
萎んだ視野は鍵穴のように僅かだが、
覗けば万華鏡のように煌めく星々が
大手を振るって彼を出迎える
なんと歓迎の手慣れたことか
なんと綺麗に描かれた桃源郷だろうか
返しの付いた
罠であるにもかかわらず
盲目で失った判断は
ただただ正の走性に従って
彼を突き動かすのみである
あとはトントン拍子で破滅へ破滅へ
ケンケン楽しく足踏みしながら
人魚の歌声は彼を導く
頭をふいに殴られて夢から覚めた時
360度見渡した時に向けられた冷たい視線を前に
正常な脳は異常な光景を受け入れられず
また異常な脳へと逃げ込んだ
さようなら、さようなら