前へ目次 次へ 13/100 じゅうさん 微笑んだ口角が不自然に見えたのは 瞳の漆黒がくすんでいたから 手を振る腕がぎこちないのは 神経が連動していないから 味覚が舌から消えたのは 存在が意義を失ったから 鼓膜がさざめくのは 張力が怯えて緩んだから 上唇が浮腫むのは 負債が一挙に集うから 片眼から涙が出るのは 異物が感情を蝕んだから 心臓が唸るのは 血液が体を慌てて巡るから 肺が酸素で満たされるのは 無意識が自我を守るから 朝日が拝めるのは 太陽が地球を見捨てなかったから