10/29
140字まとめ(5作)
微かに甘い視線の交錯
蕾を生らす括り付けたばかりの接木
春は遠く、冬籠もり
----
挿した乙女の喜び
砕花を知らぬ純白の心
----
暗渠を暖簾に潜り抜け
都を求めて歩く裸足で
冷たき痩躯を見つけ
抱き締める高温の眼
三日月を器に
心は柄杓
----
消えない嘘を箱に包み隠して枕にする
幸福を逆さまに吊るして引っ張り
夜の泡を数える
イカサマのメランコリーは僕の好物
黒い言葉を回転させて
転がる想いを摘んで食べよう
----
紙を肉と信じて噛み付く正義は瞼を閉じ
榛の年輪を視る三人目は中間色に在る
広げた心のパレットに私の色は無く
音が空の渓谷を跨いで泳ぐたびに声は塵となり
廃屋のドアから出て行った




