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6話

 魔力が無い……、頭の中が真っ白になった……。


 放心したように、固まっていると。


「じゃ、計るわね? 体を楽にして」


 水晶の横に付いているポタンを、ナタリーさんが押した。


 その瞬間水晶が輝きだし、数十秒すると光が収まる。


『18000MP / 緑・水』


 そう水晶には、数字と文字が浮かんでいた。


「あら、水属性の適正もあったのね?魔力量は18000MPで、属性は緑と水だわ」


 一瞬の出来ことに唖然としている私に、ナタリーさんが告げる。


 魔力があった、本当に嬉ししい!!


 そして属性が緑と水と聞いて、水やりを魔法でしようと思ったのだった。


 『これを読め! 魔法の基礎がわかるぞ! 第一巻』の説明に因ると、魔力量とは簡単に言えば魔法を使う時どのくらいの量の魔力が使えるかと言うことで、体力みたいなものだそうだ。そして、魔力量の単位はMP(マジックパワーの略)だった。


 ナタリーさんが言うには、成人した人達の魔力量の平均が約3000MPだそうだ。それから考えると、18000MPは6倍もあり大変多いと思う。そして、私は子供(外見だけだけど)なのでまだ魔力量は増るそうだ。


 属性は誰しも必ず持っている物で、一人に付きだいたい一属性か二属性と言われている。


 因にナタリーさんは火と風の属性で、魔力量は8500MPだった。


「緑属性は特殊属性よ。だから書物がすごく少ないの。ルティアが緑魔法の知識も授かったことは、幸運なことだと思う。後は魔力を放出して、イメージを具体的に想像すると魔法を行使出来るようになるわ。最初は魔力に干渉し易いように呪文を詠唱して、熟達したら無詠唱で魔法を行使するといいわ」


 と、ナタリーさんは言ってくれたのですが……。


「でも、どんなことから始めればいいのか……?」


 不安と期待を込めた目で、ナタリーさんをみる。


「そうね……。まずは蕾の花を魔法で咲かせることから、練習してみましょう」


 ナタリーさんは、少し考え込み答えてくれた。


 さっそく、庭に出て魔法で花を咲かせる練習をする。


 私は手のひらに魔力を集めながら、蕾が花開く光景をイメージして、次の瞬間に頭の中に浮かんだ呪文を詠唱する。


「豊饒を司る緑の君よ。我は乞う。祈りて、請う。慈愛の輝きを我の手に宿し、恵みの力を与えたまえ!」


 と呪文を繰り返し詠唱し続けること数時間、今だ蕾は花開かない!!

 

「媒体があった方がいいかもね」


 なかなか魔法が上手くいかない私に、ナタリーさんが慰めるように助言してくれた。


「あの……、媒体って何ですか?」


 ナタリーさんの説明によると、支援魔道具のことで魔力に干渉し易くする為のサポートをしてくれる道具のことで、杖・指輪・腕輪・剣などがあるそうだ。


 そして後から教えて貰ったことだが、過去の渡り人には支援魔道具無しで魔法を行使していた人がいたので、私にも支援魔道具無しで試しに練習させたそうだ。


 ナタリーさんが「どうせなら、オーダーメイドにしましょう」と言うので、ナタリーさんの知り合いで特に装飾品としても人気がある魔法武器職人のソフィー・マーガットさんに作って貰う交渉をすることになった。だけどソフィー・マーガットさんは、あまり注文を受けないことでも有名だと言う。とても気難しい人なのかな?  

 私の支援魔道具、作って貰えるのだろうか? 




           ***




 そして翌日ソフィーさんの工房に行く。ナタリーさんの家と同じく石造りで、切石を積み重ねた建物がソフィーさんの工房だ。壁には蔦がはっていて、風格を感じる。


 風格を感じる工房にいるソフィー・マーガットさんとは、どんな人なのだろうか?

 

 その人はピンク色のキレイな瞳と同色の絹のように美しい髪、そして髪の間から見えるのは間違いなく尖った耳!!


 ソフィーさんは、見かけは鈴蘭のような可愛らしいエルフさんだった……、でも話し方は……。


「ほぉー、この娘御がナタリーの弟子じゃな? 名前は何て言うんじゃい?」


 お婆さんのように話すけど見かけは十代前半……、ナタリーさん情報によると実際は百歳をとうに過ぎているそうだ。


「ナタリーさんの弟子になった、ルティア・ルクレールと言います。よろしくお願いします」


 私は少し緊張しながら、ソフィーさんにお辞儀した。


「なかなか礼儀正しい娘御じゃ。今日は何用かのう?」


「今日はソフィーにルティアの、支援魔道具を作って貰いたくて来たのよ。悔しいけど、私が知っている中で一番腕のいい魔法武器職人はソフィーだから……」


 ナタリーさんが、素っ気無く言う。


「それは光栄なことじゃ。して、どんな物が入り用じゃ? そうじゃ、長くなりそうじゃから紅茶でも出そうかのう」


 奥の部屋に通されて、椅子に腰掛けながら支援魔道具の要望を話していくことになった。


「ふむふむ、腕輪でバングル型がいいのじゃなぁ?」


 ソフィーさんは頷きながら要望を聞くと、私に確認をする。


「そうです。バングル型にして欲しいんですけど……、出来ますか?」


 私は元の世界では、日頃からバングル型の腕輪を愛用していた。なので、毎日付けていても違和感がないと思うし、何より一番の理由は、腕輪をコレクションしていたくらい好きだからだ。


「あたしゃ一流の魔法武器職人じゃ、娘御にピッタリのバングル型の支援魔道具を作り出してみせよう」


 ナタリーさんとソフィーさんの助言を貰い、金属部分はプラチナにして媒体石はモスアゲートにした。モスアゲートにした訳は、植物の成長を促し豊饒をもたらす効果がある水晶だからだ。この水晶は深い緑色をしていてとても美しい。そして金属部分の細工は、植物をイメージして作って貰うことになった。


「さっそく、仕事にかかろうかのう。久々の注文じゃ、腕が鳴るのう」


 その言葉が合図になり、ナタリーさんと私は帰路につく。


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