第3-3話
「おーい、そこの人ー。聞こえてるっすか?」
………ん?なんか聞こえるな?なんだ?
オレは今どうなってる?何があったっけ?記憶が曖昧だ…。
「おーい、聞こえてるっすよね?無視はダメっすよー」
…なんだようるさいなぁ。こっちは良くわからん状態なんだよ!一つ一つクリアしてくいか。
視覚…何だこの空間?夢の中っぽいな
聴覚…変な声聞こえるな
触覚…なんかあったかい気がするな
嗅覚…うむ、良い匂いだ
味覚…食ってないからわからんな
よし、触覚と嗅覚に集中だ。
「幸せって今なんだなって思えるよ」
「何イってんすか?変態もほどほどにしてくださいっすよ」
むっ、人が堪能してるのに邪魔してくるのはどいつだ?
「誰だ貴様わ!名を名乗れ!私はダバだぞ!」
「なんか偉そうっすね。オイラはカビっす。カビちゃんってみんなから言われてるっす。少し目を覚ましてくださいっす。大事な話っすから」
「うるさい!オレは今堪能中なんだよ!」
カビには用事が無いって言うか、カビが喋る夢ってどうよ?カビキ○ー持って来いや!
「面倒っすね…目を覚ますっす!」
ポイッと自身の身体から何かの塊を投げつける。
「うぎゃ!!!!なんだ?!鼻がいてぇ!!!ツーンとしやがる!」
「目ぇ覚めたっすか?ごめんっす。改めて自己紹介するっすね。カビことカビちゃんっす」
「誰だよもう。良い匂いだったのに…」
「申し訳ないっす。大事な話なんすよ。なのにダバさん寝ぼけてたんで、起こしたんすよ」
「ああ、そりゃすまん。んでここどこ?」
現状把握のためにキョロキョロと周りを見渡すダバ。
「ココはダバさんの夢の中っす。テレパシー的なモノで話しかけているっす」
ふーん…明晰夢的なやつかな?と思う事にしよう。
「んで、ツッコミどころはスルーするとして、用件はなんなんだ?カビちゃんとやら…ってそのふよふよしたのが本体?てか身体?」
「コレが身体っす。用件てのは……………」
これまでの経緯を掻い摘んで話すカビちゃん。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ふむ、なるほどね。そっちの仲間になれって事か。メリットとかあるの?オレとしてはD田中を裏切る必要性は特に無いんだけど?」
「そっすね…。ダバさんの魂はちょっと改造されてて、普通の種族よりも強くなる可能性が高いっす。この世界は魂の輝きによって強くなるっす。強い想いと同じっすかね。その辺をもうちょい強化するのは出来るっすよ?」
「うーん…そこまで強さにはこだわり無いんだよな。てか、改造されてんの?…田中め!オレは闘いたくないし。痛いの嫌だもん。大方利用されて消されるのがオチだろ?」
以前はその手の話も多かったしなぁと前世を思い出す。
「それならダバさんからリクエストあるっすか?聞けるものなら聞くっすよ」
「そうだな…」
馬の身で何が出来る?
戦闘チートは色々嫌だし、内政チートは馬だからバツだな、てかやりたくないし……あれ?特に無くね?やべ!現状に満足し過ぎて欲望無いや。うーむ……転生を馬にした理由は好きだったからだし、優遇され過ぎると面白くないしなぁ…とりあえずは無しの方向でいいかも知れんな。
「悪ぃ、無いわ」
「えっ?ないんすか?なんでないんすか!おかしいっすよ!ふつーあれやこれやあるっすよ?今しかないビッグチャンス!!!!さぁ、先着一名様限り!どうぞっす!」
「いや、通販的に言われても購買力上がんないからね。さっきも言ったけど、強さに興味はないし、なにかしたい理由でもないからさ。敢えて言うならこの世界を楽しみたいかな?世界一周とかしたいな。それを自分の力でやるから人生楽しいだろ?チートあってもスグに飽きるからさ」
「そんなもんっすかねー。りょーかいっす!今はナシにしとくっすね。後からでもいいんで言ってくださいっす!で、協力の方はどうっすか?」
「んー、前向きに考えとくよ。D田中の出方によっては変わる方向で」
カビちゃん協力的だし、敵を作るのは得策じゃないしな。玉虫色がベストだよな…
姑息な大人の判断である。伊達に80年生きてきたわけじゃない。
《そ…で……のか…?》
「?」
雑音?気のせいか?
「コッチもとりあえずそれでいいっす。そろそろ夢から覚めるっすから丁度いいっすね。じゃ、またっす!」
「おお、またな!」
消えていくカビちゃん。除菌されたか…とくだらないことを考えていたら、目が覚める気配がする。目覚めだ。
「さて?なんで寝てたんだろ?」
記憶を探りつつ目覚めるダバ。ヒロインを掴める(落とせる)かはこの後決まる!
読んでいただき感謝です。<(_ _)>




