第4-8話
『お前、転生者で前世の記憶持ちだろ?』
(なぜバレた!?いや、何故わかる?)
『…どう言うこと?』
アルハを睨むダバ。転生者と言う事を理解出来るのはおかしい。本来ならその事すら理解出来ないはず。アルハはジアンスと言う馬の一種。転生の意味など前世のオタク連中にしか伝わらない言葉だ。一馬が分かってていいはずがない。
『ある事情から私は転生者の事を知っていてな、どう考えてもそうとしか思えん』
『ある事情?いや、オレにはなんの事だか…』
『この期に及んでまだ惚けるのか…ならば問おう、お前にダバと名付けたのは誰だ?』
『…リーヴァだよ』
『違うな。エルフの娘がそんな名を付けるはずがない。特に我々に対してな』
『…』
『お前は転生者であり、前世の記憶持ち。さらにその名はHNとやらの名だろ?』
『はぁ…そこまで知ってるならいいや。親父も転生者なの?』
誤魔化しても仕方ないと判断した。ここまでバレてるなら隠すのは不可能だ。
『いや、違うぞ。私が詳しいのは以前転生者と旅をしたからだ。流暢に話せるのもその為だ。他の大人は喋れんだろ?』
『納得。セツラン達兄弟と同じってことか』
転生者にある意味調教された訳ね。
『てか、やっぱり他にも転生者居たんだ。その人達は何処にいるの?会えるの?話はその事?』
『そんなに急かすな。話は今後の事についてだ。転生の事は確認だ。転生者についてはまた今度話してやる』
『今後?旅の事なの?』
『そうだ。今回の試練はお前にとってかなりキツイものだったろ?それには理由があってな…』
『かなーーーりキツかったですわ。もうダメだと思ったもん』
色々思い出すと嫌になる。
『フフ、だろうな。だが外の世界も甘くないのだ…色んな意味でな』
『まぁ魔物相手が大変なのは理解したけど…それだけじゃないんでしょ?』
『ああ…なんと言うか、私のせいで旅がしにくいかも知れん』
『親父のせいで?』
どういう事だ?と首を傾げる。
『私の本当の名はアルハザード、災害のアルハと呼ばれておってな。その…転生者と旅をしてた時、大暴れしてしまってな…人族から駆逐対処として知られておるのだ』
『………黒歴史』
とニヤニヤのダバ。
『その言い方と目をやめィ。反省はしておるのだぞ?だからこんな人目の付かない場所で生活しておるのだ』
『なるほどね。もっと広々とした場所になんで行かないのか分かったわ。母さん達も大変だな。んで、旅がしにくいってのは親父と同種だから駆逐されかねないって事?』
『うむ。人の記憶は曖昧だからな。誤解を受けると思う』
うーん…科学がないこの世界だと映像記録とか無いだろうしなぁ。まぁ誤解と言うか別馬だと分かってもらえたら大丈夫だろう。
『ん。気をつけるよ』
『それと…カビ!聞いているんだろ?出てこい!』
『え?カビちゃん知ってるの?』
『まぁな。…さっさと出てこいや!』
(…親父怖いな。カビちゃん嫌いなのか?)
『はぁ…いきなりなんなんすかー?』
ふよふよと脚元よりカビちゃん登場。ホントにどこにでもいるなぁ。
『やっぱ居てやがったか…カビ、てめぇコイツらに悪さするなよ?もしやったら…わかってるよな?』
眼光鋭く睨みつけるアルハ。オレらに向ける眼差しとはえらい違いだ。
『…変わってないっすね。大丈夫っす。色々理由があって、ダバさんにはきちんとした対応するっす』
『ダバ、こいつの中身は黒だ。味方だと思うなよ。コイツらは世界しか見てないからな』
『…黒カビちゃんだったのか。白カビちゃんだと思ってたのに』
『余計な事言わないでほしいっす。誤解っすよダバさん。アルハさんには納得してもらってないっすけど』
『フン…黒カビ野郎が!体よくセツランの体内に寄生しやがって。監視と盗聴のつもりだろ?』
『オイラ被害者っすよ?』
『ふざけるなよ?』
ますます怒気を込めるアルハ。二人にいったい何があったんだろ?でもケンカされても困るから止めるとするか。
『はい、そこまで。仲直りはしなくていいからケンカしない。話が進まん』
『む?』『はーい』
『まとめると、親父の黒歴史の残りカスに注意するのと、黒カビにも注意だね?』
『ん…まぁ概ねそうだ』
『違うって言ってるっすのに…』
『もうそれでいいの。後はオレが判断するし』
『うむ。それでいい。悩んだら仲間とも相談するが良い。それぞれ力になるだろう』
『うん。わかってる』
『で、いつ出るのだ?』
『そうだね…体調整えたいしあと二〜三日後かな』
『そうか。では、それまでに転生者の話と出る時には土産をやろう』
『マジ?ラッキー!楽しみにしてるよ!話は終わり?』
『ああ、休んでこい』
『うん。お休みー』
仲間の元に戻るダバ。その姿を見ながらカビちゃんがアルハに話しかける。
『羨ましい?』
『うるさい。少し思い出しただけだ。貴様にはリードとジルに伝言してもらうぞ。息子に協力してくれと』
『わかったっす。…あのアルハザードが親バカっスね』
『一言多いんだよ貴様は!』
『へいへい。嫌われ者は消えるっす』
すーっと地面に消えていくカビちゃん。
走っていったダバの方面を見つつ独り言るアルハ。
『It is in your moments of decision that your destiny is shaped(運命が決まるのは、お前が決断する瞬間なのだ).…後悔はするなよ?』
リードに教えて貰った言葉を息子に贈る…
読んでいただき感謝です。<(_ _)>




