第4-7話
◎101日目
オレは夢を見ていた…親父ことアルハとの対戦の事だ。何故かみんな倒れている…仲間達、家族みんなだ。でもアルハだけは立っている。
(何故こっちを哀しそうな目で見ているんだ…哀れむような目は止めろよ!オレは悪い事なんかしてないし、後ろめたいことも無いぞ…多分。真っ当に努力して、協力して挑んだんだ。負けても悔いは…悔いは…やっぱある。
…勝ちたかったなぁ。もっと練習しとけば良かった。つーか親父が強すぎんだよ!なんだってそんなに強いんだよ?普通の馬じゃないぞ?そりゃオレも角を生やせたり、セツランはキノコだし、エルくんは鬣ウヨウヨ動くし、ペンペンはペンギンに似てるけど、まだ普通の馬やん。普通の馬の定義ってなんだっけ?でも親父、チートやん。なんやねんまったく!勝てるわけあらへん!!!!)
親父が笑ってる…
(笑うなそこ!)
(ホンマにもう…前世の素が出てきたわ。。
んでなに?なんか用なん?なんか言ってや?なんでみんな倒れてんの?)
『…』
(なんか言いや!わろてるから機嫌良いいか知らんけど、コッチは計画潰れてしもたから腹立ってんねんで?親父のせいやで?ソコわーってる?)
(はぁ…負けたんやったらしゃーない。認めてもらうまでのんびりするか…
すまんなぁ…リーヴァ。もうちょいかかりそうや…)
『…』
悲しそうな目はどこに行ったのか、アルハは嬉しそうな目をしていた。
(どの道これ夢なんやろ?早よ起きて仲間に謝らんとなぁ…)
『心配は無用だったな』
『喋れんのかい!』
盛大にツッコンでしまった。
『んんっ!なぁ親父…オレはダメだったか?』
精一杯やった筈だ。仲間にも協力してもらった。これで駄目だって言われたらもう諦めるしかない。
『フン!答えは現実世界で見てみろ』
『え?』
世界が反転していき目覚めに近づく。
(オレってこんなに気絶しやすかったっけ?)
そんな事を考えながら目を覚ます。
『うーん…』
『お?起きたれふか?』
セツラン達がいる。倒れてない…あれはやはり夢か。周りを見ると仲間や家族がいた。
『あぁ、オレまた気を失ってたのな』
『そうだよー。ダバ兄はすぐ気絶するからボクら心配だよー』
『だよなぁ。意外とししょーはヘタレだ』
『うっせ!あ、いや、すまんな…』
『んん?気絶して性格変わったれふか?』
『いや、負けたろ?あんなに努力したのに…』
『何言ってるれふか?勝ったれふよ?ねぇ?』
『『うん!』』
『え?マジ?あそこからの逆転劇?何があったの?つーか誰がやった?』
『『『?』』』
『?』
『誰?ってダバさんれふよ?』
『は?オレ?気絶してたやん?』
『【砲雷】使ったあともう一回使ったんれふ。覚えてないれふか?』
(記憶にないなぁ…あの時また変な声が聞こえた気がしたけど…二回目の【砲雷】なんて良く出たな。一発で疲れまくるのに。火事場の〜ってヤツか?)
『そ、そうか。勝った…んだな?』
『勝ったれふ!』
『勝ったよー』
『勝ったぜ!』
『……ヒャッハー!!!!勝ったぜ!』
『『『ヒャッハー!!!!』』』
『あー良かった!負けた記憶しかないから凹んでたよ。あ、んで親父は?』
『父さんならあそこに…』
視線の先を見てみると横たわるアルハがいた。
『もしかして大怪我した?』
無意識下での攻撃だ。さらに聞けば【砲雷】を即座に発現させ、威力もマシマシだったとか…大怪我させたとなれば一大事だ。
『大丈夫だと思うれふ。聞いてみたら?』
『そだな、ちょっと行ってくる。あれ?』
立とうとすると、クラっと立ちくらみ。こちらも体調は万全では無いようだ。
『あー、気持ちわりぃ…』
『さっさと行くれふ』
へいへいと歩調を戻してアルハの元に進む。
『親父ー、大丈夫?』
『大丈夫だ、問題ない』
(…ネタじゃないよな?)
『そか。良かった…記憶が無くてさ』
『お前に心配してもらう程弱くない』
『…だよね』
立ち上がるアルハ。脚元もしっかりしておりすっかりダメージも抜けたようだ。ただ…
『親父、鬣焦げてるな』
『誰のせいだ?』
『ごめんなさい!』
綺麗な鬣が縮れてしまっていた…天パー状態だ。ほんとごめんなさい。
『勝負はオレの勝ちでいいの?良く覚えてないんだけど…』
『…勝ちでいいが少し話がある。夜になったらもう一度ここに来なさい』
『ん。わかった。それまでしばらく休んでるよ。まだふらつくからさ』
『あぁ、休んでいろ』
(話ってなんだろ?)
とりあえず休むかと仲間の元に行き再び寝始めた。やはり身体はかなり酷使されたようだ。
夜、一人でアルハの元に向かうダバ。しかし暗くてよくわからない。ウロウロしていると声が聞こえた。
『ダバ、こっちだ』
『ん?あぁ、親父。そっちか。今行く』
水場の辺で二頭が並ぶ。巨大なアルハとまだまだ若馬のダバ。月の明かりで照らされ二頭の毛艶が輝く…
『んで、話ってなに?』
『…うむ』
『なになに?そんなに言い難い事なの?』
(ホントになんだ?勝ちを消すことか?いや、そんな事はしないだろ…)
『『…』』
お互い沈黙が続く…
『お前、前世の記憶持ちだろ?』
MerryX'mas!
聖夜に投稿しました(^^)