第3-4話
「ほ…お……い」
どこからか聞こえる優しい声。
今はまだこの声に浸りたい…
「そろ……なさ…」
どこからか聞こえるちょっと怒った声。
まだまだ大丈夫だな。
「いいかげん…さい」
耳元で聞こえるヤバい声。
仕方ないなぁ、あと五分後に起こしてよね。
「起きろ!!!!この駄馬!!!!!!!!」
『はいっ!!!!』
飛び上がるように起きたダバ。
『ハッ!?何があった?寝てたのかオレ?カビちゃんは?』
混乱状態のダバを見かねて説明する少女。
『あんたは私のスタンを食らって気絶してたのよ。その…悪かったわ。でもあんたも悪いんだからね!!黙って私の……思い出すとムカつく!』
『まてまてまて、待ってくれ!オレは気絶してたのか?』
夢の事を思い出す。あの話は本当なんだろうか?確証がないからなんとも言えない。だが無視する訳にも行かない内容だよな……
それはさておき気になるワードが。
『スタンを食らった?魔法?』
『そこ?まず謝りなさいよ!わたしの裸を見たことを!!!!』
『あ、申し訳ございません。素晴らしかったです。あまりの綺麗さに見とれてしまいました』
『え…あ、うん。えっと……うん』
褒められて照れている少女。チョロインだ。
『名乗ってなかったな。改めてダバと言う名だ』
『フフッ、変な名前。名は体を表すってやつ?私はリーヴァ。エルフのリーヴァよ』
『リーヴァ…いい名だな。非礼は謝るよ。色々すまない』
『なんなの?礼儀正しくて気持ち悪いわね』
訝しげなリーヴァ。目が血走ってた馬とは思えないから当然だ。
『悪い事をしたと思ってるからな。精神は大人なんだから当然だろ?それよりリーヴァに聞きたいことが山ほどあるんだ。頼りになる人はキミだけなんだよ』
『嘘くさいわね…まぁいいわ。その言葉を信じておくわね。で、何が聞きたいの?わかる事なら答えてあげるわ』
(やっぱチョロインだ)
『ありがたい。じゃあまず………』
オレの聞きたいこと
この世界の事、人族の事、種族の事、スキル?魔法?の事、科学の事、それらの事色々聞いてみた。
リーヴァの話によるとこうだ。
この世界は基本的に4つに分かれている。
1.亜人族のアヴァロン
2.人族のエルドラド
3.宗教国家のコンロン
4.魔人族のヒラニプラ
さらに最後の楽園と呼ばれるエデンがどこかにあるらしく、皆そこを目指して旅をする。
現在地はアヴァロンのグリトニアと言う地方らしい。亜人族は、いかにもファンタジーな人達の総称。エルフ達は基本的にこの地方で生活を送っていると。
人族は前世で言う資本主義のエルドラド。宗教国家のコンロンに分かれている。金と宗教…前世と変わらんなぁ…人ってなんなの?既定路線なのか?
魔人族は魔王ジル率いる国だとか。亜人達とは割と仲良く、人族とはよく戦争するんだって。。人族ェ…
オレの種族に関してはジアンス種と言うらしく、割と大きめの馬の種族。なお魔獣でもある。エルフとは仲が良くパートナーを組むことも多いとの事。
森の騎馬隊…カッケェな!但し、ジアンスが気高く、パートナー以外は乗せないらしい。詳細は親父に聞いてみよう。
そしてメインの魔法、スキルに関してだが基本的に人族はスキル。魔獣、亜人、魔人達は魔術を使うことが多い。誰が何を使うかは固定化されていないらしい。使えない者も多い。カビちゃんの言ってた想いの強さ(魂の輝き)にも繋がってるんだろうなと思う。
科学の事に関してはリーヴァにはわからない様だ。まぁエルフに科学知識があったら色々おかしいからな。
『色々聞いてすまなかった。助かるよ。ありがとうな』
『素直な貴方も変な感じ。これが本来の貴方なの?』
『そうだな。実年齢80歳だし、人の精神年齢ではおじいちゃんだ。ただ、生まれ変わったせいなのか精神年齢は若い気がするな』
『うん…そんな気がする。目が血走ってたもん。怖いわよ…あはっ』
笑いながら応えるリーヴァ。
『さてと、そろそろ仲間を探さないとな…いい加減怒られる』
周りを見渡し、はぐれた仲間を探す。
『なに?もしかして迷子?ぷぷぷっ。迷子のおじいちゃん…あはははっ』
『うるさい!考え事してたらはぐれたんだよ!』
『しょうがないおじいちゃんだなー。ぷぷぷっ。一緒に探してあげるわよ』
ニヤニヤと非常に楽しそうに協力してくる。
『くっそー。いつか仕返ししてやる!』
「ハイハイっと。探索魔術使うわね。【サーチ】」
辺りに何かが広まった感覚がある…
これが魔術か………
『いたわ。もうすぐコッチに来るわね』
『そうか…色々すまんな。助かった。恩返しをしたいが、何分まだ子供でな。いずれ返すよ』
『そうね……あっ…うーん…どうしよっかな』
何やら考え込むリーヴァ。
『いや、いずれ…『私のパートナーになる?』な?』
読んでいただき感謝です。<(_ _)>