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エピローグ
数ヶ月後。
特定政策調整室の存在は公的に否定されたものの、大規模な「内閣府不正アクセス・情報漏洩事件」として連日メディアを賑わせ、御厨をはじめとする関係幹部は相次いで辞職、拘束された。国家管理AI計画『プロジェクション・ゼロ』は凍結を余儀なくされた。
雨の降る渋谷のスクランブル交差点。
無数の人々が傘を差し、行き交う喧騒の中。
ビルの街頭モニターの防犯カメラが、行き交う群衆を無機質にスキャンしている。
フードを深く被った一人の男が、カメラの死角となる路地裏へと滑り込んだ。そこには、バックパックを背負った若い女性と、少し逞しくなった男の姿があった。
「相馬さん、次の依頼……いえ、『情報』が入りました。地方自治体の戸籍管理システムを使った、新たな不正の兆候です」
結城が端末を見せながら言う。
「よし」
相馬蒼は静かに頷き、雑踏の奥へと歩き出した。
彼らの名前は、どの住民基本台帳にも存在しない。
だが、国家の隙間でシステムが歪む時、存在しない彼らの足音が、静かに闇を駆け抜ける。
『日本国・特別住民除籍係の記録』――完




