(軽度に)欲望傷つける休日のひと時・午後の部
「なんか辛いことがあったんだねぇ……ズズゥ(お茶をすする)同情するよ」(無表情)
汚れた服を一新するとオレはスズメに連れてかれ、奇妙な雰囲気の(エスニックな雰囲気とオカルティな装飾の多い)ファミレスへとやってきていた。
「私は玄斗くんの味方だからさぁ……これは奢りだよ♪」
「奢りか……」(チラッ)
目の前にデンッと置かれた高級感のある黒いカレーが目に映る。
(うまそう……)
外のカレーなんて久しぶりだ……
「にひひ……(テレテレ)さぁさぁ早くお食べぇ♪」
「そ、それじゃ……(スプーンを取る)いただきます!」(パクッ)
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「ね、おいしいでしょう!(あむぅ……もぐもぐ……ごっくん♪) うまぁぁい♪」
「ぶはぁ……!」(口から煙が飛び出る)
「おぉ……漫画的表現♪ そんなに美味しかった?」
「辛すぎて味なんかわかるか!」
「なに言ってるの……? あむぅ(ごくん)、うまぁぁぁい! (玄斗を見る)早く食べないの? 冷めちゃうよ……ほら、お皿が溶け始めてるし」
カ、カレーの器が溶け始めとるぅぅぅぅぅ!?
「仕方にゃいなぁ♪(自分のカレーを掬う)はい、あ~~ん♪」(ニッコリ)
「こ、こんなキケンなもの食えるか!」
「ああぁぁ!? なんだってぇ」(ギロッ!?)
「ごめんなさい」
「えへへ……あぁ~~ん♪ あぁ~~ん♪」
「あ、いや……」(たじぃ)
「………………………あぁ~~ん」(ピキッ)
「お、おなかがいたい……」
「私の奢りが食えないっての!?」
「そんなことありません! 喜んで食べさせていただきます!」(パクッ)
目の前がスパァァァァァァァァク!
「うっぎゃああああぁあぁぁぁぁぁ!?」
「ねぇねぇ美味しいでしょう? 私の好きなものをマズイって言ったら……」
ベキッ!(スプーンをへし折る音)
「その腐った舌を引っこ抜くよ……」
「お、おいひいですぅ……おいひすぎてしたのかんかくがありません」(ボロボロボロ)
「よかったぁ♪(ホッ) この味のわからないなら玄斗くんの舌を一から矯正してあげようと本気で思っちゃったよ♪ あぁ~~……よかったねぇ」
こ、こいつぅ……
「さぁ、全部食べ終わるまで泣いて悲鳴を上げてあぁ~~んされ続けてねぇ?」
「拒否権は……?」
「あると思ってるの?」(ジロォ)
うぅぅ……
「あむぅ……(ごくん)うっっっっっっぎあああぁあぁああぁぁあ!?」
「なにその悲鳴? 心臓を外側から握りつぶされたい?」(抑揚のない声)
「ごちになりますぅぅ……」
オレの舌は大丈夫だろうか?
レストランから出るとオレは食事のありがたさと命の尊さを太陽の神、アマテラス様に感謝しながら泣いている。
「玄斗くんと食事出来て満足したよ。私、用があるからもう帰るね……明日、期待してるから♪」
「(舌の感覚がない)出来ればもう二度と逢いに来ないでくれ」
「もうダーリンったら……(腕をつかむ)面白くない冗談は……」(ギリィ)
「いでででででぇ……わるかった! わるかったから、ゆるしてぇ……(ゴキッ)ウッッッギャアアアアアァアァァァ!?」
「ひぃ~~……ひぃ~~……こんなのあるかよぉ……」(涙目)
腕が変な方向にプランプランする……
オレみたいな不幸な中学生、世界探しても、他にいないだろうなぁ……
これで唯一救いなのがあの猟奇者どもが人目を引く美人というだけだ。
他は壊滅的すぎるが……
「だからダメだと言ってるだろうが!?」
「うん……(顔を上げる)獅戸書店?」
獅戸の兄貴の本屋から怒声が?
「あのぉ……(書店の戸をくぐる)獅戸の兄貴? なにをいきなり怒鳴……って?」
獅戸の兄貴が暴れる龍子を羽交い絞めにしてる。
「ちょっとだけ……ちょっといれるだけですからちょっとだけ……さきっちょだけですからぁ」(龍子の声)
「ダメだと言ってるだろう! 大人の言うことを聞け!」(獅戸の兄貴の声)
「大人なら子供のワガママ聞いてください」
「ポケモンの新作を買ってくれの要領で18禁コーナーのこの暖簾をくぐるな!」
身長140センチ程度しかない小柄の少女と190近い大男が羽交い絞めになりながら怒鳴りあう。
レアな光景だ……
「あのぉ……獅戸の兄貴ぃ」
「あ、玄いの!(今気づいた) 悪いがこの地に伏せた龍を止めてくれ!」
「さきっちょだけ! さきっちょだけですからぁ!」(ジタバタジタバタ)
「さきっちょだろうが根元だろうがこの奥に入りたければあと五年待て! そうすれば好きなだけ入れてやる!」
「そんな生……じゃなく、先、いやぁぁぁぁ!」(号泣)
エロ本買おうとして全力で店主に阻止される美少女。(獅戸の兄貴、顔のわりに真面目だからな)
龍子の目に浮かぶ涙になんかかわいいなと思ってしまう。
「あ、玄斗くん! 助けてください! このロマンのわからない強面のライオンから私を助けてくれたらいいことしてあげますよ! エッチなことたくさんしてあげますから!」
「い、いやぁ……(あはは)エロ本は拾うなりして集めればいいんじゃ?」
「私は快楽天が読みたいんです!」
「マニアックなものを読みたがるなぁ……」
「なんでオマエがその雑誌を知ってる?」(ジトォ~~)
「い、いやぁ……あははは♪」
「隙あり!」
「あってたまるか!」(ガシッ!)
「いやぁぁあっ(涙)助けてくださいいいぃぃぃぃ玄斗くぅぅうぅぅぅん!」
「玄いの! オマエのガールフレンドだろう! なんとかコイツを追い返してくれ!」
「玄斗くん! こんな絵があるんですけど!」(タブレットを取り出す)
「なぬッ!?」
「素敵な絵画でしょう?」(ニッコリ)
スマホに映し出された画像にオレはゾッとしなかった。
映像の中身はオレの顔をしたキャラクターが複数の男にもみくちゃにされるひどい絵だった。
「オ、オマエ、なんで……そんな絵を?」
「今度の即売会で売るんです!(ドヤァ) 今年半分のお小遣いは困りませんね! 私もオカズを自分で作れて満足です!」
「今すぐ消せ!」
「助けてください!」(ドドヤァ)
「し、ししどしゃん……」
「この店を潰す気か!?」
「龍子……」
「コミケの奇麗なお姉さんたちに犯されたいんですか!?」
「……」
「玄いの!」
「玄斗くん!」
「し、四面楚歌……うん?」
珍しいものが置いてあるな……これって?
「なぁ、龍子……」
「いやぁぁですッ! さきっちょも入れてくれないなんていやぁぁぁ!」
「ここを諦めれば、これ、買うのを譲ってやるぞ……」
「うん……(目を細める)って、そりは「デジモンアドベンチャーVテイマー01」の最終巻!? こんな辺鄙な本屋にそんなレア本が!?」
「ウチの店をなんだと思ってるんだ……」
「オレもこの激レア本は持っていない。オマエがそこに入るならオレはこれを買って家に帰る。それでいいのか?」
「うぅぅ……仕方ないですねぇ」(涙目)
あっさり引いてくれたなぁ。
まぁ、無理もない。
「デジモンアドベンチャーVテイマー01」の最終巻はすでに集英社から絶版された名作で、今となってはなかなか手に入らないレアものなのだ。しかも皮肉なことに最終巻の一個前の八巻までは比較的簡単に手に入り安く、最終巻はどこ行っても見つからない、ものすごいエンカウント率の低い本なのだ。
オレもようやく見つけて買いそろえたいと思ってるくらいだ。
「わかりました!」(バッ!)
「あ……」(手から本が無くなる)
「また明日会いましょう!(シャキンッ) ありがとうございますぅ!」(ダダダダダッ)
「あ、ああ……」(手をひらひらと振る)
砂煙をまき散らし書店を出ていく龍子に獅戸の兄貴の武骨な手がポンと肩をつかむ。
「350円な?」(税込み)
「……」
どさくさに紛れて代金をオレに払わせやがったよ、あの邪竜……
そろそろ夕方の四時か……
今日一日に起きた出来事を振り返ると泣きたくなる。
「アイツら……オレをなんだと思ってるんだ」
家に帰るまでの足並みが重い……タクシーがタダなら使いたいところだ。
「およよ……(パチクリ)玄斗くんがエンカウントしてきた!」
「げ、子音……」
「「げ」っ、は……ないでしょう、「げ」、は?」(なはは♪)
「悪いがオレはオマエの相手をしてあげられるほどもう体力はもうないんだ……」
「まぁまぁ……そんなこと言わずに」(背中に抱き着く)
「お、おい……」(カァ~~)
「さんざん、みんなと遊んだからボクとも遊んでよぉ♪」
「ぐ、ぐはぁ……」(吐血)
「ずっと見てたんだよぉ……(ヒヒッ)隙を見て君を攫おうと思ってたのに人の多いところばかり選んでぇ……ねぇ♪」
「う、うわぁ……」(身体を持ち上げられる)
「ボクと遊ぶ時間を作ってくれないならこうしてやる!」(ぶんっ)
「ひ、ひいいいぃぃい……うげぇ!?(バックブリーカー) ぐへはぁ!?」
「……(身体を離す)およぉ……(顔を覗く) 白目むいちってる?(指で瞼を広げる) やりすぎたかなぁ……まぁいっか、十分、満足したし♪」
「……」
「おや……文字通り首の引っ込んだカメがいますね……(身体を持ち上げる)家まで運んであげますか」
「ハッ!?(起き上がる) ここは!?」
「起きましたか?(ウサギ型に剥いたリンゴを向ける) 食べますか?」
「……犬養?」
「おはようございます。(渋い声)お早い目覚めですね。まだ八時ですよ(夜の)」
「……」(ずぅ~~ん)
「どうやら相当参ってるみたいですね。(リンゴを食う)明日はセンターを決める約束がありますが決まりましたか?」(ニッコリ)
「キマるわけねぇぇぇぇぇだろうがぁああぁぁぁぁぁぁ!」
オリジナルは本当に難しいです。
しかも前回の小説の時にパソコンが壊れて新しいパソコンを新調して本当に金が足りません。
といってもパソコンがないと小説を書けないから本当に必要経費なんですけどね。
前のパソコンから四年ぶりの新型ですがいろいろと大変です。