(軽度に)大乱戦!男(一人)と女(五人)の仁義なき戦い!
昨日は散々な結果を残したものだ。
星字学院まで足を運んだのに呆気なく返り討ち。
部費は減らされるは他の部への評判は下がるわ……どんなカマセキャラだよ。
アイツら落ち込んでないといいけど……
ガラァ……(部室の引き戸を引く音)
「ドロシーをプレイして手札を補充。さらにスペルブースト出来るカードを五回ブースト♪」
「ちょ、ちょっと龍子!? それはないでしょう!?」
「あちゃぁ……(頭に手を乗せる)マオちゃんの手札0なのに龍子ちゃんの手札はリセットされちゃったね」
「なはは♪ むしろ、五回スペルブーストに成功してるし、状況最悪♪」
「ねぇ……(ネミ)リーダースキンを貰えるドロシーは手に入れた……?」
「いえ……全然です」(ガックリ)
こ、こいつら……
当たり前のように部室で練習もせず、シャドウバースで遊んでやがる。
しかも負けたら脱ぐルールの脱衣シャドウバース……
「うっ……」(鼻を押さえる)
「男の子ですね、亀梨」
「黙れ犬」
いったん深呼吸して……
「なにやってるんだ、このバカ女ども!」(鼻声)
「はい?」
うっ……怖い目で睨まれた。泣きそうだけど頑張る。だって男の子だもん。
「お前ら……大切な話があります!」
「「「「「はい!」」」」」
お前ら、息を合わせたように左手の薬指を出してきたな。
違うからな。そういう意味じゃないからな……
事情を説明して……
「「「「「地域アイドルVSバトルぅ~~?」」」」」
いやそうな顔してるな、お前ら……
「はぁ~~い、玄斗くん」(挙手)
「はい、スズメさん!」
「私たち昨日ライブしたばかりで疲れてるから来年まで休ませて!」
「「「「ねぇ~~~……♪」」」」
仲良しアピールで「ねぇ~~♪」してるんじゃねぇよ。普段は足の引っ張り合いの癖しやがって……
あ、胃がキリキリしてきた……
「胃薬です」
「ありがとう」
苦い……
「そもそも……」
「なんだよ、マオ」
「部費の削減が決まった以上、アイドルインターハイに出れないでしょう。来年まで英気を養うため……布団敷いて!」
「そのための地域アイドルVSバトルだ!」
「……?」
チラシを見せてやった。
「ギョッ!?」
「すごい優勝賞金!」
「これだけあれば私と玄斗のための個室が借りれるわよ!」
「マオちゃん、ズルいです! 私だって玄斗くんと個室でイチャイチャしたいです!」
「龍子さん……センパイは私と寝る」
「ネミちゃんは少し黙ってて!」
「なはは、といいながらチラシを奪ってどうしたのスズメちゃん?」
「うるさい! この大会は私が出るのよ!」
「そんな優勝賞金を独り占めされてたまりますか!」
「龍子ちゃん、そのチラシを私に返して!」
「……うみゅ」
「なはは♪」
ネミの奴、疲れて眠っちゃた……
「はいはい……みんな落ち着いて落ち着いて」
パンパン!
「「「「「うぐぅ……」」」」」
犬養が入った瞬間、全員黙りだしたな。どれだけ怖いんだよ、この狂犬。
「どうせ優勝しても金は部のものになってアナタ達のものになりませんよ」
「「「「「じゃあ、やらない!」」」」」
「ふざけるな! やる気出せ!」
「だってぇ……
「なんていうか……」
「ですねぇ……」
「なんだか……もう」
「うみゅ~~……」
「なはは」
「「「「「アイドル部、辞めようかなぁ」」」」」
「お前らは学生アイドルとして輝こうって気はないのか!?」
「「「「「ない!」」」」」
「おし、戦争だ! オレはひとまず先に逃げる! あばよ、とっつぁん!」
「落ち着きなさい亀梨」
「ぐえ!?」
首に縄!? 比喩でなくマジで首に縄がかかってる!?
「こうしましょう。今からゲームをして負けたものがこの大会に出ましょう」
「「「「「めんどうくさぁ~~い……」」」」」
殴りてぇ。
「勝ったものは一つだけこの首の引っ込んだ亀を自由に弄ぶ権利を得られます」
「始めよう!」
「そうだね」
「私はいつでも覚悟は完了してます!」
「うみゅ~~……勝つ」
「なははは♪」
オレが犠牲にならないとこの小説は先に進めないのか……なぁ、神様。
「神様はあなたですよ。亀の玄武さん」
「うるさい……」
そしてローカルバトルをするための戦士の選出会。
第1試合。「くすぐりの刑」
「や、やめろぉ……あははははは……く、首の後ろは……あははは……よ、弱いだあぁ……あははは」
「えろろぉん♪」
「うひぃん!?」
マオの粘っこい舌がオレの首筋をなめるぅ……
ていうか勝てない……勝てないぃイイイィィィ!?
「ギ、ギブアァァァァップ!」
「フギャァ♪」
「ヒッ!?」
押し倒された!?
「カワイイ♪」
ニヤァ……
「ま、まてぇ……ヒアアァアァァァァ!?」
「南無三」
犬養、合掌してないで助けろ!
第2試合「息止め勝負の刑」
や、やめてくれぇええぇぇぇ!?
「ぶじゅうう……うじゅじゅぅうううぅ♪」
「うぐぅうううぅぅううっぐううぅぅ!?」
スズメの薄い唇がオレの口をふさいで息を封じているぅ……
「じゅぐぅ……じゅぶぅ♪」
「ぷはぁぁ……」
「ふふっ……」
「ふがぁ!?」
鼻を摘まんだ!?
「口で息をしてぇ♪」
「はぁ……ぐはぁぁ……はぁ……はぁ」
「おいしそうなタン♪」
「うぐぅ!?」
し、舌を噛みやがった!?(アマガミ)
「じゅじゅううじゅじゅうじゅじゅ♪」
「うぐぅ……ぐるぐる」(白目をむく)
気が……遠く……成るぅ……
第3試合「脱衣シャドウバース」
「はい、バハムートをプレイして場の全てのカードを破壊」
「……」(真っ青)
ロイヤルで固めていたフォロワーが全て消された……
最後の勝負で使った手札はもうゼロ。要するになにもできない。
「さ・ら・に♪ スペルブーストでコスト0にしたドロシーをプレイして手札補充のスペルブースト5回♪ ターン終了♪」
「……」
ダ、ダメだ……
「疾走」も「突進」もない。仮にいてもバハムートを倒せないし、しかもバハムートはこちらの場にフォロワーが二体以上存在すると攻撃可能の打撃力10の最強の切り札。大量展開するとバハムートのダイレクトアタックを受けるし、それ以前に手札がない。なのに龍子は手札を大量補充されてやれることが多い。
もうイヤァ……
「リタイアします」
「力こそが全て……いい部になりましたね♪」
スマホを投げ捨てた?
「さて……罰ゲーム!」
「うぐぉ!?」
壊骨拳(オデコを指でビシッ!)をされた? って……か、身体が倒れる。
ドスンッ……(うげぇ)
「じゃあ、1枚脱いでくださいねぇ♪」
「オマエも脱いでるぞ!?」
「私……脱ぐの好きなんです♪」
脱ぎぃ……ポヨンッ♪
「……」
「な、なんですか?」
カァ~~……
「小さ……グボァ!?」
ま、前が見えねぇ……
第4試合「突きの速さ比べの刑」
「ネミネミネミネミネミネミネミネミネミネミイイイィイィィィィ!」
「うべらあああぁぁぁぁあ!?」
これは突きの速さ比べじゃない!
ヒャッハーが世紀末救世主に蹂躙されるただの甚振りだ。
「……十六連打!」
「オマエはゲームの達人か……」
てっきりジョジョだと思って……
「センパイ……敗者の鉄則は知ってるよね?」
「もうさんざん痛めつけられたんだけど?」
「……」
「よ、養豚場の豚を見る目……」
「ふふっ……♪」
こ、怖い。
神様、もうパセリを残さないから助けて……
第5試合「手裏剣的当ての刑」
「ちょ、やめろ! 危ない! ていうか死ぬ!」
ビシビシビシバシ!
「うぉ、あぶねぇ……」
なんでそんなに手裏剣を持ち歩いてんだ!? 当たったら死ぬだろう! というか殺す気か!?
「避けないで! 避けられると当てられない!」
「当たりたくないから避けてるんだ! ひ、ひぇ!?」
ぼ、棒手裏剣!?
「チッ……避けたか!」
「当たったら本当に死ぬぞ!」
「ボクの手で死ぬなら本望だよ!」
「お、おい、なんで5本の指全てで棒手裏剣4本掴んでるんだよ!?」
「【世界】が使えないのが残念だけどね!」
「ひ、ひいいいぃぃぃい!?」
某吸血鬼の帝王のように子音の手から棒手裏剣が雨のように打ち放たれた!?
って!
バンッ!(近くにあった机を持ち上げ盾にする)
ビシビシビシビシビシビシビシビシビシビシバシッ!
「やりますねぇ……」
犬養、感心してないで助けろ。
手に抱えた机の裏に棒手裏剣の頭が飛び出てる……
これ、一本でも身体に刺さったら命はもうないな……
「面白いことになりそうでしたがどうやらこの勝負、亀梨の勝ちですね」
「ええぇぇぇぇ!?」
なんでそんな驚く!?
ていうか死にかけたんだぞ、少しは手加減しろ!
「さて、集計に入りましょう!」
犬養のいい笑顔がバカ共の目を離さない。
「結果は……」
対マオ戦(×)
対スズメ戦(×)
対龍子戦(×)
対ネミ戦(×)
対子音戦(〇)
「です♪」
いい笑顔で結果を出すな……どれもこれも死にかけたんだぞオレは。
「結果は見ての通り子音の負けですので……」
犬養の細く長くそれでいて鍛えられた人差し指が子音の喉仏のない首の筋を指さす。
「……な、なはは♪」
「今度の大会、負けたら部を出て行ってもらいますよ。子音♪」
「「え……?」」
今、なんと?
「子音はみんなの中で一番、実力が劣ってます。ここで結果を出せないなら用済みです」
す、すごい非常な言葉だ……鬼か……いや犬だった。
「いいですね。子音ナカネ?」
い、いい笑顔ですさまじいことを言うなぁ、この狂犬。
「な、なはははは……」
子音も笑うしかないのか真っ青な顔で笑い続ける。
ね、子音のためにもオレも頑張らないと……
バカでもアイドル部に一人でも抜ける人間がいるのは寂しい。
決してみんなに甚振られるのも決して悪くないとかそんなこと考えてないぞ。本当に……




