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ナディアのひとりごと

ある日スタンが子どもを拾ってきた。

名前はケイという12、3才くらいの子ども。

スタンの妹が生きていたらこれくらいかな?

年齢の割りに大人っぽい口調やしぐさをする子だなと思ったわ。


ケイは、空腹だったようで、シチューを出すと一気に食べてしまった。


食べ終わりの挨拶らしきものをして出てきた言葉が『おにいさん』


女の人がスタンに言い寄っても、スタンが相手にしないから耐える事ができた。

でもあの時は、怒りが私の体を貫いた。


なぜその子に優しくするの?

なぜその子の肩を持つの?

なぜその子におにいさんと呼ばせるの?


頭の中で『なぜ』がぐるぐる廻る。


何も考えずに言葉が口から出ていく。

「オカアサンハ、ドコニイルノ?」

ケイが悲しみに染まり、私の胸は…痛かった。


最初にケイが持ち直し、お昼のお礼と別れの挨拶をしていた。

スタンは私を怒り、ケイを追いかける……


私は何を言ったんだろう?

後悔が私を襲う。


お昼時も過ぎ、スタンがやって来て、「ケイが泊まって行くから、夜にでも謝りにおいでよ。」と、優しく言ってくれた。


お店が落ち着くのを待ってスタンの家に行ったけど、時間が遅かったからかケイはうつらうつらしていた。

こんな時に謝るのもずるいかな?と思ったけど、今謝らないとチャンスがないと思い声を掛けた。


ケイはさっきまで寝ていたとは思えない程はっきりと説教してきた。


「スタンの事を好きじゃないのか?」から始まって、「年上を気にしているのか?」、「嫉妬もたまには必要だけど、いつも嫉妬してると嫌がられる」等々………。


落ち込んだところに「男は胃袋をがっちり掴むこと!」なんてアドバイスまでもらった。


最後に「あなたはどうしたいの?」と言われた。

今までそんなふうに言われた事がないから、なんと言っていいのかわからない。


それから一晩、一睡もせず、「私はどうしたいのか?」を考えた。


朝には私の心は決まっていた。


ケイは朝早くに食事をして村を出て行った。

母親の知り合いが一緒に旅をする事になったらしく、スタンは複雑な顔をしていた。

一緒に行くと言ったらどうしよう…と考えていたから、村に残ってくれてほっとした。


でも、私はこれからが正念場。

スタンに逆プロポーズをする予定。

ここで諦めたら一生後悔するから。


だから…スタンが花束を持って膝をついた時は何が起きたかわからなかった。




ケイ、ありがとう。






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