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メイドカフェでクラスの清楚系貧乏美少女が働いていた!?~バイト禁止の学校に通う俺は、同じクラスの美少女と【秘密を共有】する~  作者: 早野冬哉


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10.誘い

「お疲れ」


「うん……お疲れ様」


 翌週の月曜日。今日も俺と山下は昼休みに空き教室に集まり、弁当を食べて勉強会をした。


 やっぱり山下さん、疲れてるよな……。


 勉強を終えて静まり返った空き教室。俺は横目に山下を見ると、彼女の目元には薄っすらとクマができていた。それに弁当を食べるペースも普段よりだいぶ遅かった。


 おそらく土日でやっていたメイフィーの歌のイベントのせいだろう。イベントスケジュールを見たところだと、普段よりもバイト時間が二、三時間長くなりそうだったから。


「山下さん、疲れてるのか?」


「……ううん。大丈夫」


 一拍間をおいて、山下の感情を読み取りづらい声が返ってくる。だが山下の鈴を転がすような美声は普段よりも少しトーンが低く、疲れがにじみ出ていた。


「いや疲れてるだろ……俺の前で強がっても何にもならないぞ」


 俺がぶっきらぼうにそう言うと、山下は弱々しい苦笑いを浮かべ肯定した。


「……そう、だね」


「今日もメイフィーでバイトあるのか?」


「うん」


「そうか……なら明日は?」


「明日はないよ……」


 互いに目を合わせることなく短い会話が続く。


 おそらく山下の疲れは精神的なものだ。慣れないことをして、睡眠時間も削って、精神的負担が大きくなったのだろう。


 それなら気分転換が効果的なはず……気分転換をするには──。


 俺の考えは間違っているかもしれない。けれど、今にも消えてしまいそうなほど疲れた様子の山下に、何もせずにはいられなかった。


「山下さん、明日って時間ある?」


「えっ? 明日ってたしか開校記念日で学校は休みだよね……?」


「ああ」


 俺は、疑問符を浮かべてこちらを見る山下に頷く。すると、山下は冷静な口調で質問に答えた。


「うん……明日は朝以外なら時間あるよ」


「そうか」


 ならばと俺は山下に向き直り、山下の宝石のような目を真っすぐに見て言った。


「明日、俺と遊びに行かないか?」


「えっ……それって──」


「もちろん嫌なら断ってもいい。それに俺と二人っていうのが嫌なら他にも誰か誘う──」


 自然と語気が強まる。自分の言いたいことを言葉にすることに必死で、俺はこの時山下がうれし恥ずかしそうにしていたことに気付かなかった。


「──だから明日、俺と付き合ってくれないか?」


「……っ!?」


 山下が息を呑む。そして視線を斜め下に逸らし、小声で呟いた。


「でもわたし、お金ないし……」


「それは大丈夫だ。この町には意外とタダで遊べるところが多くある。だから、金の心配はしなくていい」


 頼む山下さん、受け入れてくれ。これで断られたら恥ずかしくて死ぬ。


 お節介だとは自分でもわかっている提案をした俺は、イキリ野郎認定されるんじゃないかとヒヤヒヤしながら山下の返事を待った。


「……それなら、いいよ」


 よかったぁ……。


 俺は胸を撫でおろし、緊張を解いた。


「ありがとう山下さん。……それで、他にも誰か誘うか?」


 まあ、俺が誘える相手なんていないけど……。


「……がいい」


 心の中で自嘲していたら、山下の声を聞き逃してしまった。


「ん? ごめん聞いてなかった。もう一回言っ──」


「わたし、町川くんと二人がいい……」


 頬を赤らめながら、山下は普段より大きな声を上擦らせてそう言った。その山下らしくない行動に、俺は目を見開き、しばらく動けなかった。


***


「今日動きキレッキレだな春馬! 何かいいことでもあったのか?」


 山下と遊ぶ約束をした夜。俺は裕太と慎吾の二人とFPS──ガンドランをしていた。


「ああ。まあそうだな」


「やっぱりそうか! で、何があったんだ?」


「明日、山下さんと遊びに行くことになったんだ」


「マジかよおまえ!?」


「山下さんって確か、この前話してた美少女のことだよね? 春馬が三次元の女子とデートなんて……」


 驚きのあまり裕太の操作キャラが、対戦相手の眼前でクルクル回りだす。


「そうだけど、裕太何やってんだ……」


 俺は裕太を狙う対戦相手を瞬殺しながら、呆れた声を通話に飛ばす。周囲に対戦相手がいなくなり、俺は一息ついた。その瞬間、俺は急に「デート」という単語で脳内を埋め尽くされた。


 デート!? これデートなのか!? デートって確か、好き同士の男女が一緒に出掛けること。つまり、友達同士? の山下さんとはデートじゃない……よな? ……いや、本当にそうか?


「なあ、これってデートなのか?」


 思考がショートして頭の中がグチャグチャになった俺は二人に聞いた。


「どう考えてもデートだろっ!」


「デートじゃないの?」


「……だよな」


 やらかしたぁ……学年トップの美少女と俺みたいな陰キャがデートとか、分不相応にもほどがあるだろ!


 同時に聞こえてくる二人の回答に頭を抱え、俺はマウスから手を離す。ゲーミングチェアの中で一頻り悶絶してようやく、俺は少し気分が落ち着いた。


 まあでも、俺にできるだけのことはする。……ああいった以上、明日は山下さんがリフレッシュできるように頑張るしかないよな。


 それからはもう、俺の頭の中はデートのことでいっぱいでFPSはグダグダだった。

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