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幼なじみ2

「違うわよ?」

動揺する3人に後ろから声をかけたのはシィだった。

「どうしてわかる?」

「“フィフス”とかいったかしら? 私とスパークを襲ってきた相手よ。何もかも、私のスパークとは似ても似つかないわ」

あんなに、見た目が似ているのに? エイスの考えを読んだかのように、シィはうふっ♡と笑う。

「人間は面倒ね。外の皮しか目に映らないなんて……そう見えてるだけ。アレはスパークとは別のモノよ」


そうか、とエイスは低い声で言った。“フィフス”という名で思い出したのだ。アレは……師匠の仇だ。

思わず飛び出しかけたエイスをロル、リィル、シィが全力で止める。続いて小声で諭された。

「待て待て待て待て」

「落ち着いてください、エイス」

「あっちにはエレクシアがいるわよ?」

言外に無策で飛び出しても、人質を取られる可能性があると言われている。

その間に、捕らわれたエレクシアとフィフスは建物の中に入っていってしまった。


「大事な幼なじみなんだろ?」

「時間は掛けられませんが、策を考えましょう」

ロルとリィルに言われ、エイスは少しだけ頭が冷えた。確かに、無策だった。けれど相手が師の仇だと思ったら、勝手に体が動き出していた。怠惰な自分らしからぬことに。


「それで、どうする?」

「相手の人数が読めませんね」

ロルとリィルが状況を見極めている中、エイスは、息を整えていた。先ほどのように飛び出して行っては、きっとエレクシアは取り戻せない。もう、大切な誰かを失うのは、絶対に嫌だった。

「エイス?」

「大丈夫ですか?」

ああ、とエイスが顔を上げると、こっちも方針が決まったとロルとリィルに告げられる。


作戦は、まずエイスとシィが建物を強襲し、中の敵を引っ張り出して、エレクシアを連れた敵がどこか別の出口から逃げようとしたところをロルとリィルが奪還する、という形だ。

少々強引だが、敵がエレクシアを捕らえて連れているところに、勝算はある。目的を果たすまで彼女は守られるはずだからだ。


「エイス、前に俺たちから逃げた時の魔法、マジックアイテムで使えるか?」

「ああ。念のために持ってきてある。1つしかないから、いざというときに使ってくれ」

ロルに答えながら、エイスは、懐から魔法が込められた宝石の欠片を取り出す。すると、ロルではなくリィルがそれを受け取った。エイスが不思議そうにしているのを見て、ロルが答える。

「俺は魔法が使えないんだ」

エイスは、軽く目を見張った。以前、“視た”時には確かロルは結構な量の魔力を保持していた。それに

「マジックアイテムに適性は関係ないはずだが」

ファインも魔法が使えない大勢のために魔力の有無に関わらず使えるマジックアイテムを作ったと言っていた。例外もあるのだろうか。


「その話はまた今度な? 今はエイスの幼なじみを助けるのが先だろ?」

疑問は残るが、ロルの言うとおりだった。エイスはシィと共に建物から離れて配置に着く。ロルとリィルが裏に回ったのを確認すると、呪文の詠唱を始める。


「とめどなきもの、熱きもの……。我、血の契約を結びし者の末なり。祖に従い、我に従え。来たれ火の精霊! 我が敵を燃やし尽くせ!」


ボウッと、一瞬で空気が燃え上がる。幸いにも中級程度の火の精霊が応えてくれた。エイスは、先ほど敵とエレクシアが入って行った扉に向けて現れた火の玉を思いきりぶつける。


玄関らしき場所の扉が綺麗に燃え落ちる。まず、飛び出してきたのは、どこかで見たことがあるようなひょろりと背の高い男と、その男の半分程の背丈の男。二人とも、肩が出る形のシャツを着ている。

「ひどい目に遭ったぜ」

「アニキ、ケガないか?」

お互いの姿を確認した二人はエイスの姿を見て、あーっ! と声を上げた。

「ここで会ったが百年め!」

「この前はよくも海に落としてくれたな!?」

「お前たちは……」

エイスは凄く考えた。しかし、思い出せない。

「誰だ?」

「テメェが名乗る前に海に落としたんだろうが!」

「あのあと海の水でベタベタになって大変だったんだからな!」

エイスはようやく思い出す。前にこんな二人組を海に叩き落としたかもしれない。命を拾ったんだから懲りればいいものをまだ悪いことをしているとは。

エイスが呆れて半眼になると、何だその目は! とまた、背の低い方がつっかかってくる。

エイスは素早く詠唱し、風の魔法でまた、2人組を吹っ飛ばした。テメェ、ふざけんなー! 名乗りくらいあげさせろー! という声が遠くなってゆく。


無駄に時間を使ってしまった。行くわよ、エイス。というシィの言葉に従って、エイスは建物の中に踏み込んだ。

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