真相2
エイスは、たくさんの言葉を飲み込んだ。
どうしてもっとはやく言わなかった?
3年も何をしていた? 等々。
黙り込んでしまったエイスに、ロルとリィルは、
息を飲む。
「あなたたちにも、事情があったのよね?
どこまで明かすかは、お任せするわ」
そこで、口を挟んだのは、シィだ。
思わぬ助けに驚くロルとリィル。
一方、エイスはその言葉で頭が冷えた。
「ロル、リィル、師匠の最期はどんなだった?
思い出せる範囲でいい。話してくれ」
ロルによれば、その日王都ロレストゥールの城門
で、負傷したスパークを門兵が見つけたのだと
いう。
スパークは既に満身創痍で、ロルを訪ねて王都へ
向かっていた途中、襲撃を受けたらしい。
相手の名はフィフス。
スパークが持つ“竜の知識”というものを狙って
来たとのことだった。
それは借り受けたものだから、返さなくては
いけないとスパークは言っていた。
そして、ロルにエイスから預けられた小さな水晶
の片割れを託し、息を引き取った、と。
「スパークの体は、欠片も残らなかった。
溶けるように消えていったんだ」
「あの方は、人ではないのでしょう?」
「竜でもないわよ」
ロルの言葉を、引き継ぐようにリィルが言い、
シィが補足した。
エイスは答えを考える。
師匠が人ではないことは、なんとなく、
わかっていた気がする。
謎に若作りで本人曰く60だし、ファイン爺さんと
親友だし。
傷の治りが異様に早いし、知識も、それこそ、
300年前くらい前のことにやたらと詳しいし。
ただ、師が人でないことは薄々わかっていても、
ちゃんと確認したいと思ったことはなかった。
本人が、人で在りたいようだったから。
エイスの師匠スパーク・ホワイトが何者でも、
彼を慕うものは多く、また、彼も大勢を慕って
いた。
ただ、親友だったファイン爺さんなら、何か知って
いるかもしれない。
そのことを口に出すと、ロルは、どちらにしろ、
一度は港町クロスポートにエイスを帰さなければ
ならないから、ちょうどいいと言って笑った。
「3年もかかってすまなかった、エイス。
スパークを助けてやれなくて、本当にすまない」
ロルが改めて謝罪し、リィルも同じく頭を下げた。
「2人とも、頭を上げてくれ。おそらく城に
運び込まれた時点で魔法でも治せない怪我だった
はずだ。やはり、二人の所為ではないな」
「エイスもこう言ってるんだし、この話は
これでおしまい」
他でもない、スパークの恋人だったシィの言葉に
3人は口をつぐむ。
ふと、気になってエイスは尋ねてみる。
「シィは、大丈夫なのか?」
「私は、知っていたもの。いつか来る終わりの
ために、後悔しないようにスパークと過ごした
わ。寂しさは消えないけれど」
うふっ♡ と笑ってみせるシィだが、先ほどよりは
覇気がない。
そうか、とエイスはシィの肩を軽く叩いた。
「それで? ロルとリィルはまだ、エイスに言う
ことがあるんじゃない?」
シィに促されて、気まずそうな顔をするロルと
リィル。
エイスには、何となく察しがついてしまった。
今までのことを思い返してみれば、ヒントは
たくさんあった。
王城で玉座まで少しも迷わず、内情にも
詳しかったこと。
宰相様に玉座へ近づくことを許されたこと。
ロルのことをエイスが呼び捨てにしたら、
宰相様が怒ったこと。
どうして門兵が違わず、ロルのところへスパークを
運べたのか。
「エイス、ずっと黙っていたが、俺は……」
続いたロルの言葉に、エイスは、ただ、そうか、
と頷いた。




