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誓い

ルナはイーラの首都エクリアの王城に招かれていた。イーラの王リカールに爵位の授与を受け、アーシェラにエスコートされ祝賀会場へ向かう二人はとりとめのない話をするのだった。

「こっ、これ以上貴方の優しさに慣れちゃったら一人で生きていけなくなっちゃうよぉ。」泣きながら恨めしそうにアーシェラをみつめる。


 「望む所です。まずは、呪いを解いてから話し合いましょうか。」にっこり笑ってアーシェラは話を続ける。


 「あっ、それから来週はじめに、私と一緒に皇城に顔見せに行きましょう。」


 「えっ、どうして?」


 「陛下がエクリアを救い、ローゼスを敗走させた功績を讃えて褒章を授与したいそうなんだ。我が国の爵位と領地をと言っている。」


 「・・・私をこの地に止めようとするなら無駄です。いつまた出て行かなければならなくなるか分からないのですから。」


 「君の記憶にあったアンブロシアの追手、シーベル君の事ですね。」


 「貴方は私の記憶を見たのなら分かるでしょう?シーベルは見た目は20歳程度ですが、年齢は止めてあり、すでに60年は生きて来た最強賢者。私が見つかればすぐにでも現れるでしょう。そうなればこの国もタダではすみませんよ。」


 「でも、もう君は覚醒もしている。今の君なら倒せるのでは?」


 急にルーナの表情が曇る。「あの人を殺させる気ですか?ベルは私には優しくはなかった。でも、唯一の理解者だった。私にあの人は殺せない。」


 「ごめん、言い過ぎた。わかった、領地の事は無しにしよう。でも爵位授与と祝賀会出席はお願いしたい。」確かにアーシェラは領地を与えて定住してもらうつもりだったのだ。


 



 祝賀会当日の午前中、アーシェラとルーナはエクリアの皇城に登城していた。


 ルーナは華やかな淡い桃色のチャイナドレスの様な身体の線がハッキリ分かる魔導着に背中の翼を覆う白いレースのケープを羽織って玉座に跪く。 


 「ルーナ皇女、面を上げて下さい。」イーラ国王であるリカールは、丁寧にルーナに接してくれた。


 顔を上げたルーナは輝く淡い青のストレートの髪、吸い込まれそうな青色の瞳の小柄な美少女である。40歳前半のリカールですら魅了されるほどの美しさである。


 「ルーナ皇女、全てアーシェラから話は聞いている。申し訳なかったがこの場限りで他言はしない故、許して下さい。」


 「御配慮感謝致します。」チラリとアーシェラを上目遣いで恨めしそうに見つめる。


 「この度はローゼスの魔導砲からこの首都エクリアを守った功績を讃え本日から伯爵位に封ずる。」突然の伯爵位は異例である。


 「・・・ありがたき幸せに御座います。」ルーナは渋々承った。


 次は祝賀会である。爵位授与の後は侍女達にドレスルームに連れられて行く。


 侍女達は、みた事もない翼を持った女性を興味深く眺めながらドレスを選び合わせて行く。


 今日は髪色と被らない様に濃い青色のドレスがあしらわれた。


 「とても美しいです。明るいピンク色も可愛らしかったんですが、シャープな深い青のドレスは気品が高い感じでとてもお似合いですわ。」侍女長は話す。


 「ルーナ皇女、皇子がドアの向こうでお待ちですが入れてもよろしいですか?」


 「お入り下さい。」


 アーシェラが目を輝かせて入ってくる。


 「ルーナ・・・とても綺麗だ。」


 「ありがとうございます。ドレスアップは久しぶりです。似合ってますか?」


 「淡い色のタイトドレスも可愛らしくてよかったのですが、ルーナはハッキリとした色調のドレスがとても似合いますね。」


 アーシェラはルーナをエスコートして会場へ向かっている。


 「ルーナ?このままここから連れて逃げてもいいですか?」


 あまりにも唐突な発言に驚いてルーナは目を丸くしてアーシェラを覗き込む。「どうしたの?」


 「いや、ルーナはいつかここを出ていく事を考えていますよね。自分もそう遠くない未来に単なる記憶になってしまうのかなって考えてしまうと、居た堪れない気持ちになるんだ。」少し遠くを見つめながら話す。


 「うん、私が追われる立場でなくならない限り、何処にも落ち着く事はできないのよね。」


 「私がシーベル君から貴女を護れたら一緒に居てくれますか?」立ち止まるとアーシェラはルーナを見つめる。


 「何故そんなに私に構ってくれるの?私といたら危険な事ばかりなのに・・・ローゼスの時だってあんな危険な場所まで助けにきてくれた。」少し伏せめがちにルナは尋ねる。


 「ルーナを知ってしまったからだよ。私ならああしてあげたい、こうしてあげたいって溢れてくるんだ。」少し切なそうな顔をして見つめてくる。


 「ありがとう・・・アンブロシアでは何でもできる私に何かしてくれようとする人は誰も居なかった。」


 「シーベル君は君の許嫁だったんでしょう?護ってくれなかったの?」


 「ベルは本当は私の母メルティアの恋人、ベルは今でもメル母様を愛しているの。そして私はベルからメル母様を奪った父シェスターの娘・・・ベルにとっては母の残した許嫁だけど、母を奪った男の娘でもあるの・・・」

俯きながらアーシェラに背を負ける。


 「そう、、、君は自由にしていいよ、これからは私がルナだけを愛してあげるよ。私がルナにとって要らない存在になるまで・・・」アーシェラはルナを優しく背中からだきしめた。見返り求めない愛を誓ったのだ。

うーっうーうー閲覧ありがとう

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