第40.5戦:初めまして、さようなら
此処は飛ばして読んでもなんら今の物語に支障はありません。“今の物語”では、ですが…というのも此処はある人物の今の状況を書いてあるだけなので支障はありません。
次回は日曜を予定しています。
ーピッ、ピッ、ピッー
無機質な音が耳に木霊する。
ドクドクと流れ出る生温い、紅い色をした液体。
ーコツ、コツ、コツー
無機質な音に重なる別の音。
それを聞きながら、指の感覚は薄れていく。体の感覚も薄れていく。ぼやける視界。
ーコツ、コツ……コツンー
重なっていた別の音が止まった。ぼやける視界に別のものが割り込む。
ーピッ、ピッ、ピッー
「……君も懲りないね」
ぼやける視界が少しの間、クリアになる。
「ホントだよなー!もう、笑っちゃうくらい!」
「…………無自覚…」
「お前ら、そのくらいにしとけって」
最初に3人が見えた。
「早くしなよ」
「こらこら、急かしてはいけませんよ」
次に2人。
「ちょっとー!いつまでサボってんの?」
「……フワァ…眠いの?」
「休みますか〜?」
「しょうがないね、何時ものことだし」
「大丈夫ですか?」
「オイオイー情けねぇぞ?」
「ホントだな」
「起きてーほらはーやーくー」
次に8人。
「何やってんだ?行くぞ」
「またかよー懲りないなー」
次に2人。
「嬉しいな」
「我が子が」
「「増えた。よろしくな/ね」」
次に双子。
「よろしく頼むよ」
最後に1人。
言いたいことを言っては消え、また別の人が現れる。最後の1人のあとに現れたのは最初からここにいた人。
巡る、人の言葉は思い出。消えない思い出。
消えない記憶。
「仲間のために何回でも“死ぬ”君は残酷だね」
再びぼやける視界。
嗚呼、お前は………
その人はニッコリ笑って言う。
「でも、それだけ君は愛されているんだね」
ーコツ、コツ、コツー
歩き出すその人。
「また、ね」
視界が真っ暗になる。
嗚呼、何回目か忘れたけど…何回目の“死”の始まり。
ー………さようなら……ー
意識が途切れた。
目が覚めた。
体は軽い。
さぁ、始めようか。ここまでやったんだからうまくやってんだろ?
なぁに、心配は知らねぇ。さっさと決着をつければいい話なんだからな。
「さあ、行こう」
ーーーーーーーーーーーーー数々の歴史が書かれている。他には何も書かれていないようだ




