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第獣話 武闘大会に向けて、、

朝が来る。

当たり前の様に光が差し込む

右側にいるハズのカヤエはいない。

俺はまだて寝ているウラを起こさないようにしながら、リビングにいるであろうカヤエの元へ向かった

「おはようございます」

変わらないその声には何故か安心感がある

「ああ。おはよう」

俺は普通に返事を返す


突然、昨日のカヤエの夢の話を聞きたくなった。

「カヤエのさ、夢って…何?」

俺の質問に、やはりまた誤魔化そうとする。

「そういえば、ウラさんの…」

誤魔化そうとすると、アンテナが動く

必死に誤魔化そうとするからには、その裏には何かあるだろう

聞かないことには始まらない

俺はその言い訳のような言葉を制止させて

「俺はカヤエの夢が聞きたいんだ」


普段より真剣な顔で聞いたもんだからきっと理解してくれただろう。

カヤエは少し声のトーンを落とし

「私は……」


何かを言いかけて、少し詰まっているようだ

俺が尋問している警察官みたいで、頭のアンテナは少し震えている

少し罪悪感を感じる

別に無理に聞かなくても良いだろう

「やっぱり良いよ」


俺は諦めたような声でそう告げた

カヤエは手の平を返した俺の態度に少し驚いたのか、しかし少し安心したような顔で俺を見つめる。

「そうですか。

いや、別に話せないほどでもありませんし、聞きたいのであれば話します。

ですから遠慮せずに聞きたいなら聞いてください」

こんな事を言ってはいるが、内心は聞いて欲しくないのだろう

少し声のトーンが低い。

「ヨシさん、カヤエさん。起きるの早いですね…」

ウラが目を擦りながら眠たそうにして起きて来た

俺たちは少し冷たい目線でウラを見つめた。

当然ウラの性格上、朝からそんな目で見られたら動揺するだろう

「え、わ、私、何かしました?」

何かしたか?とかいうレベルではない。昨日は本当に死ぬかと…

「そういえばカヤエ」

「何でしょうか?」

「昨日の夜さ、ウラを沈ませた後ってカヤエ何か言ってたか?」

ウラは沈ませたって?みたいな表情をしている

俺はその後の記憶がカケラもない。

「い、いいえ。何もありませんでした。私達はその後すぐに寝ましたが?」

表情と言葉には出なかったが、その、アンテナは尋常じゃない程回転している。

本当にカヤエは表現豊かなのか、豊かじゃないのかわからないな

「そうか。ならいい」

俺たちの会話に一段落をついたのを見計らってウラが

「私、昨日なにしたんですか??」

その質問には俺は答えたくない…

俺はそのオーラをカヤエに漂らせると、カヤエは察してくれたのか説明してくれた

流石はカヤエだ。

それを聞いてウラは

「なんで止めたんですか…」


とか言っちゃって何故か落ち込んでいる。俺にはウラの心は一生読めないだろうと思った瞬間であった。




「ところで、今日は何処に行くのでしょう?」

ホテルの従業員に暖かな目で送られた俺達はギルドに向かっていた。

絶対あの目は勘違いされてる…

勘違いされても仕方ないとは思うけどな…

「砂漠の森の奥地に向かう」

俺はそう言うと、聞いたことがない、という顔の二人が居たが、面倒くさいので無視。

砂漠の森っていう名前からして矛盾しているが、本当に砂漠に森があるのだ。

「私は少しながら父から聞いたことはありますが、高レベルモンスターがいるみたいですが」

大丈夫なのか、と聞きたいのだろう。

大丈夫。な訳がない

砂漠の森を攻略推定レベルは90だ。

俺達のレベルでは足らない

「何も今日はいかない。俺達にも下積みが必要だ。だから明日、俺達は、ある武闘大会で優勝する」

「舞踏…?」

…ウラは無視しよう

「三人組のな。その武闘大会で優勝し、そして砂漠の森へ向かおうと思うが、大丈夫か?」

俺の提案にウラが率先して返事をする。

「大丈夫に決まってますよ!だって私達にはカヤエさんとヨシさんが居るんですから!」

一番心配なのはお前なんだけど。

「カヤエ?」

それよりも、武闘大会の話を持ち込んでから黙り込んでいるカヤエが気になる。

「あ、いいえ。良いのではないかと」

何故か素っ気ない気が…

まぁカヤエが良いって言うのだから良いのだろう。

この大会で優勝すればレベルは90になるだろう

この大会では一回戦の相手は自分とレベル20前後の敵しか出てこない。

二回戦〜準決勝戦も同じだ

だが、決勝戦だけはその制限は無くなるが、その時はレベル80にはなっているだろう。

因みにこの大会はもちろん相手は人間で、体力が1に成ったら強制的に負けになり、

お互い戦闘が出来なくなるため、殺されたり、殺してしまったりすることもないため安心である。

そのおかげで容赦しない敵は多いのは別として…

「そういうことだ。だが心配なのはウラだ」

「えっ?私ですか?」

「そうだ。お前だ。ウラはカヤエの様に剣技を磨いていないし、俺の様に上手く戦えない」

そして俺の意見に上書きするようにカヤエが言う

「それに、貴方はすぐに人を頼り、判断力がありません」

ウラは俺達にフルボッコされて何も言えない。

しかし、すぐに立ち直り今までにない真剣な顔でカヤエの前に行き…そして…

「カヤエさん!私に!剣技を教えてください!」

「嫌です」

即答だった

全く、間というものが無かった。

「何故ですか!」

ウラはその返事が不服だったに違いない

その証拠に目が鋭く光っている…

「貴方に私の剣技を取得できません。その力と能力とセンス、それから精神が足りません。」

あー。これは完全に心が折れたな。

俺は確信する

しかし、考えとは裏腹に

「でも!」

諦めないみたいだ。

「無理です。不可能です。嫌です。諦めてください」

…酷いよ…酷すぎないか?

これは、俺でも心が折れる…

遂には追い打ちをかけるように

「私に戦闘で勝てたなら良いでしょう」

とか言っている

いや、お前に勝てたら剣技学ぶ必要ないし…

「本当…ですね。なら…私はカヤエさんに決闘を申し込みます…!」


「…は?」

俺の口から言葉が漏れた。

ウソだろ?不可能に決まっている

「わかりました。でしたら広場でしましょう。」

「…は?」

しかも、それをまともに受け止めるなよ…

そして俺は一人、道路に取り残される…

「…はぁぁぁぁあ?」

いやいや。

無理だろ!勝てないだろ!

何考えてるんだ?レベルの差は80以上もあるんだぞ?

俺は何故かイライラしながら二人が向かった広場に向かう


二人は広場で睨み合っていた

「本当に良いのですね?ウラさん」

「はい」

「待て待て!ダメだ!やめろ!」

俺が両手を降りながら中断させる

しかし、二人は聞いていない…

「私は貴方に決闘を申し込みます」

「私は、それを受け取ります」

決闘の儀式は終わってしまう…

途端に二人を中心にシールドが展開されドーム型のシールドが展開された。

このシールドはどれだけ攻撃力があっても破壊されることはない

しかし、それは一定の場所でしか使えない。何故なら魔王戦にそれが使えたら最強であるからだ。

当然中からも攻撃は出来ないが…

いや、そんなことより…無茶しないかどうか…


「では行きますよ!!」

ウラは短刀を片手に飛びかかる。

しかしカヤエは長い太刀を上手く使い簡単に防ぐ

あれ?カヤエは愛刀を使っていないのか?

…そうか。一応手加減はしてるんだな…

手加減をしているかなんてのは見れば分かる…ずっとウラの攻撃が続いているからだ。

普通であれば一瞬でウラの負けなのだ。

「はぁ…はぁ…」

ウラは全力の猛攻撃を続けたせいで息が切れスタミナがなくなっている。

終わったな…

「もう、終わりですね」

しかしウラは否定する

「ま、まだ…うぐっ…」

否定しようとしたウラにカヤエは太刀の取っ手の部分でウラの腹を一撃した。

ウラは地面に倒れる…

「これで終わりなのですよ」

俺達は、終わったと思ったのだが、シールドが消える気配がない。

「…そうか!カヤエ!スキルだ!」

俺が気づき咄嗟にカヤエに伝える

しかしカヤエの耳に入るのと同時にウラがカヤエを斬りつける。

カヤエは完全に油断していた

腕から赤い血が流れる

「何故です!あれは確かに倒しましたよ!」

俺に聞いて来る。

「防具スキルだ!ウラの防具はルロイ装備だ!」

俺が伝えると、それだけで理解してもらえた…

ルロイ装備のスキルは異性キャラをメロメロにする他に、恐怖のスキルがある。


それは…

道連れスキル!

このスキルは使わない方が良いスキルでは高い方に位置付けてある。

内容は自分が相手と同じレベルになり、剣技も共に鏡の様になる。

というもので相手と同じレベルになるわけだから、相手よりレベルが高くても低くても関係ない。

しかも当の本人の意識は失う…

そのうえ今回は決闘をしており、どちらかが戦闘不能、つまり気絶するか死ぬかしないと終わる事はできない…

この状況は…悪すぎるぞ。

「そういう事ですか!」

戦いながらイラついた声を響かせるカヤエ。

本当にカヤエが二人いるみたいだな。

カヤエは太刀を捨て愛刀に変える。

愛刀はウラと同じ短刀だ。

「ウラさん…少し我慢してください」

本気を出したのか、同じレベルなのにカヤエは押している。

当然だ。

同じレベルになっていても、装備品により勝敗は変わる

「これで本当に終わりです」

ウラの短刀を弾き飛ばし、気絶魔法を使う…

シールドが外れ、俺はゆっくりと二人の方へ向かう。

するとカヤエが

「…はぁ…ルロイ装備なんて知りませんでしたよ…早く言っておいてください」

「あ…はい。すみません」

つい敬語で謝った…

「別にいいです…私も久しぶりに本気…を出せましたから…」

そう言うとカヤエは倒れた。

「カヤエ!」

俺は気を失うカヤエに近づく

多分カヤエなら大丈夫だろう。

いや、それにしても流石と言うべきだろうか、

普通であればどちらかが大怪我になっていても仕方ない。

これはカヤエに感謝しないとな…


にしても…

「この二人をどうやって運べって…」

気絶している二人を見て、一人考える。

流石に放置するのはダメだ、

かといって二人同時に運べない…


そうだ!


俺はカヤエの愛刀を借りて…

スキルを使い、空間を止めた。

これで一人ずつ運ぼう!


結構時間がたって

二人を部屋に運んだ。

空間を再び動かすが…

周りの人にとってはさっきまで朝だったのに、時計をみたら昼だった!となるだろうが、仕方ないとしよう。



カヤエが目を覚ました。

「起きたか…」

流石はカヤエと言うべきか、瞬時にこの状況を把握した。

「迷惑かけましたね」

「そんなことはない。それよりウラだが…」

「もう決めています。ウラさんには私の剣技を取得するのは不可能です。ただ…ウラさんに合った剣技であれば、数時間で取得するでしょう」

剣技を数時間で取得…それは剣技が簡単なのだろうか?

それともウラのその剣技に対する才能があるのか…

彼女に託す他ないな。

「わかった。ウラは任せる。俺は明日の武闘大会の受け付けをしてくる。後はよろしくな」

「はい」

俺はウラをカヤエに任せて…それから受け付けをする為にギルドへ向かう。

きっと今頃はギルドに受け付けする人が沢山いるだろう。


案の定、ギルドの前に長蛇の列が。

皆三人組だ。

厳ついおっさんから、美人なお姉さんまで、様々な面々が並んでいた。

俺はその列の一番後ろに並ぶ

「おお兄ちゃん!一人でか?」

背の高い大男が、後ろから話しかけてきた

「はい。そうですけど?」

「そうか。実は俺も一人でなぁ。寂しくて仕方なかった訳よ。もし暇なら相手してもらってもいいか?」

どうせ並んでるだけだし、

暇つぶしになるだろう。

「別に大丈夫ですよ」

俺達は、おばちゃんのように世間話を始めた。

彼はザッカスというらしい

体格に合っている名前だ。

「それでさ、俺は水晶の郷に行った訳よ、そしたらーー」

俺が適当に話を聞いている振りをしながら流していると…

「どけどけ!!俺達に刃向かう気か?あああ?」

不良グループだろうか

俺達は結構前の方まで来ていて、目で確認出来ないが、後ろの方から声だけが聞こえてくる。

「ザッカスさん。少し待っててもらえますか?」

俺がザッカスさんにそう言うと呆れたような顔で

「やめとけ。奴らはダリカス集団だ。ここいらで有名な不良グループだ。しかも五人いるみたいだしな。お前みたいな体格じゃあ無理だ」

この世界の人間なのに、人を体格で判断するとはな…

だが、こっちには負ける気がしない。

「待っててください」

俺は無視して、スタスタと不良グループの前に行き

「割り込みはルール違反です。最初から並びましょう。私達はしっかりと最後尾から並んでいるんです」

と睨みつける。

「ああ?お前、そんな、ひょろひょろしてんのに、俺達に喧嘩売んのか?ヒハハハハ!」

先頭の奴が笑うと、それに釣られて後ろの奴らもゲラゲラと笑う

「そうだ。文句あるか?仏の顔は三度までと言うが、俺の顔は二度までだぞ。これが最後だ。ここから立ち去れ!」

俺が威勢良く言うと、先頭の奴がブチ切れた。

「こんの野郎!最後まで俺達に喧嘩売りやがって!よっしゃ決まりだ!おい!こいつ、やっちまおうぜ」

先頭の奴がそう言うと後ろの奴らも、おおお!と気合いを入れて剣を抜いた。

「剣を抜くコトがどんなことか、不良のお前達に教えてやるよ」

「なんだとぉお!この野郎!」

剣を振りかぶる。

しかしその動きは止まる

俺のスキルによって。

実はカヤエの愛刀を返していなかった。それに、一度はやってみたいこともあったので、普段ならスルーするハズの揉め事に割り込んだ。

俺はバックシールドを使い止まっている五人全員の間にすり抜けるのと同時に、そいつらを短刀で切りつけた。

そしてスキルを停止する。

「ふん。またつまらん物を切ってしまったのか…」

俺が呟くと

「ぐああああ!くそっ!な、何しやがった!」

「お、覚えてろよー!」

五人は急いで立ち去った

これがやりたかった!くぅ~嬉しい!

一応、浅めに斬ったつもりだ

ここまで上手くいくなら、別に空間を止めなくても良かったんじゃ…

ま、いっか。


俺はザッカスの元へ


「すみませんでした」

「あ、いや。別にいいんだが…」

少しザッカスは戸惑っていたが、俺がさっきの話の続きを、と言うと、普通に話を続け始めた。

そして遂に受け付けに、

「お前が、先に受け付けしな」

「はい」

俺は先に譲ってもらい、受け付けを済ませた。

ザッカスも受け付けを済ませて

「俺は仲間の所に帰るわ。じゃあな。お互い大会で会わないようにしようぜ」

「はい」

俺はザッカスと別れを告げ、ホテルに向かう

ザッカスは顔と体格の割には結構優しいおっさんだった。

正直、ゲームでは会った事はない。

俺は晩飯の食材を買ってホテルに帰った、

しかし、誰もいない。

一人なので何もすることもなく…仕方なく晩飯を作ることにした。

何にしようか?

俺は買ってきた食材と冷室にある食材と睨めっこしながら、今晩のメインデイッシュを考える。

そうだ、時間もあるし、うどんを作るか…

小麦粉もあるから大丈夫だ…と思う…


そして、俺の三分クッキングの60分延長バージョンが始まったことは誰も知らない…


俺は何とか三人分のうどんを捏ねて、

切る作業に入る…

うどんは均一に太くしないと見栄えが悪くなってしまう。

俺は一つ一つ丁寧に素早く切った。

そして完成…

「ふぅー…」

俺はすぐにうどんを冷水に浸して、それから三等分に分けて三つのザルにのせる

すると丁度いいタイミングで二人が帰ってきた

「カヤエさん…スパルタ過ぎますよー」

「貴方があそこでくたばるのが駄目だっただけです」

玄関の方から二人の声が聞こえる。

「おかえりー」

俺はキッチンで刻んだネギをうどんの上にのせた。

「ただいま」

「ただいまですー」

二人の姿をみると、俺は早速うどんをテーブルに並べ、横に生姜とツユを置いた。

ツユは俺特性だ。

二人はうどんを見るや、

「なんですか…この白いの…」

戸惑うウラ。

「うどんだよ」

やはり、こちらの世界の人間には日本人の文化は無かった。

食材はあるのに…

「いっただっきまーす!」

俺は久しぶりに見知った食べ物を食べた

やはりうどんは美味しい!

俺がズルズルと食べている横で食べ方に困る二人…ついにはフォークを持ち出す…

お前達は西洋人か!

「うどんはな!吸って食べるんだよ!」

俺がまたズルズルと食べてるとカヤエも真似をしてズルズルと食べれた。

「美味しいです!!」

「だろ!?」

俺達がズルズル食べる横でウラは、まだうどんと格闘中…何度もうどんを口に近づけてはイメージが掴めないのか、口から離す。

それを繰り返して…

そしてやっとズルズルと聞こえてきた。

「美味しい…です」


満足して完食した。

そして風呂に入り、俺達は寝た。

少なからずですが、読者の方たちが増えて来て、嬉しい限りです!

これからもご愛読よろしくお願いします。

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