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第五章

「そうさ。忘却の彼方――黒い森の彼方へでも、今の記憶を投げ捨てたらいい」

 オーディンが黒い髪を揺らしながら目を細めて笑うと、エルダもつられて笑った。

「そうですね。さすがオーディン様。それで、いつになさいます」

「なにがだ?」

「ヒルドをあなたのものにでも、なさるおつもりなんでしょう。その日はいつになるのか、と」

 オーディンは苦笑してごまかそうとしている態度が見え見えだった。

「いいよ、今すぐにだって」

 グングニルの槍を右手で持ち、口笛で愛馬スレイプニルを呼び寄せるオーディン。

「ヒルドはワシがかっさらってくる」

 鐙に足を乗せ、鞍にまたがるとオーディンは嬉々として鼻歌を歌い、天空を駆け抜けた。

「あくどいお方ね。脱帽するわ」

 エルダは腕組みをしてあきれかえっていた。


 オーディンが姿を変えて老人になりすますと、名前をアルヴィースに変えて地上を徘徊し、そしてとうとうオーディンは目標のふたり連れを見つけた。

「計算通りだ」

 オーディンは嘲笑する。

 ヒルドとチュールを出会わせたことも、じつは奸計であった。

 ようするにオーディンは、ふたりが確実に愛情を結ぶことさえも予測していたことになるのだ。

 これだから災厄の神だの、あくどい神だのと・・・・・・。

「これからだぞ、おもしろくなるのは」

 オーディンはさらに嫌らしい笑みを浮かべ、ヒルドがひとりになると話しかけた。

 チュールは酒場で酔いつぶれ、船をこいでいる。

「もしもし、お嬢ちゃん。ひとりかい」

 呼ばれてヒルドは振り返った。

「いえ、もうひとり」

「そうかい、そうかい。じゃあね、ワシは腰が痛いから、家まで送ってくれないだろうか。あのすぐ裏手側だから」

 教会の屋根を指さし、安心感を与えるオーディン。

「でも、チュールさんが」

「だいじょうぶ、すぐだから」

 ヒルドが困った人をほっておけない性格と見抜いての策略だったのでオーディンはしめしめ、と笑いが止まらない想いであった。

「ヒルド・・・・・・」

 酔いの醒めたチュールが起き出す頃になると、ようやくヒルドが消えていることに気づく。

「ヒルド。しまった」

 だがチュールは飲み過ぎて足下がふらつき、とてもまともには歩けなかった。

「ヒルドーッ!」

 町の往来で大声を出し、彼女を呼んだが声は届かないのか、ただ反響するばかり。

「俺がついていながら。何をやっていたんだ俺はッ」

 自分に腹が立つチュール。

 ギルドにも顔を出し、必死で探し回るが、どこにも見あたらず、嘆く。

「ちくしょう・・・・・・」

 そのうち、雨が降り出してきて、小雨だったそれは、チュールの全身を徐々に、徐々にと濡らしていった。

 雨はチュールの流す涙と混じり合って、判別がつかぬほどでもある。

「ちくしょう、あの野郎・・・・・・」

 チュールは腕を失ったとき以上に、深い悲しみを背負い込んでしまったのだ。

 それは――ヒルドという宝の損失からなる、悲痛。

「ヒルド・・・・・・」

 大量の雨に打たれながらも、チュールは泣くことをやめはしなかった。

 書いているうちにおかしくなってくる^^;

 キャラ壊しはまだかろうじて始まってないけれど、文章くずれてくるのよねー^^;

 書き慣れてくると伏線を張りたくて、つい「見せるのはまだ早い」となってしまう癖が(汗。

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この二人は神と呼ぶにふさわしいのでしょうか?
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