第63話 永続転移の夜
孤児たちが寝静まり、屋台の灯りも消えた静かな夜。マイマリツゥ街は月光に照らされ、街角に影が長く伸びていた。アイリスは仲間たちを呼び寄せ、そっと声をかける。
「今夜、転移スクロールを使って確認しておくわ」
ガルド、レオ、リーナ、アリエル、ルク、セリルが静かに頷く。夜の間に全員で一度スクロールを読み込み、オアナハニカ街まで移動して戻ることで、緊急時の安全網を確立する計画だ。
「これで、何かあった時にはすぐに集まれるようになるのね」
アイリスが説明すると、レオが短剣を手に微笑む。
「なるほど。これで孤児たちを置いて行く時も安心だ」
リーナも真剣な表情で頷く。
「緊急時だけじゃなく、連絡手段にもなるわね」
アリエルは静かに魔法の光を灯し、スクロールを用意する。
アイリスがまず自分にスクロールを読み込ませる。光が指先に集まり、体全体を包み込む感覚が走る。瞬間、視界が白く輝き、次の瞬間にはオアナハニカ街の街角に立っていた。
「成功よ」
ガルド、リーナ、レオ、アリエル、ルク、セリルも順番に読み込む。光に包まれた体は一瞬で街へ移動し、全員が無事に揃った。
オアナハニカの夜景は静かで、宝石のように輝く街灯が道を照らしている。アイリスは仲間たちの顔を確認し、スクロールの効果を確かめる。
「これで全員無事に転移できることが分かったわ」
ルクが興奮したように息をつく。
「一度読み込ませたら、永続的に使えるんだろ? 便利すぎるな」
セリルも目を輝かせる。
「本当に、これがあれば緊急時も即座に駆けつけられるね」
アイリスは頷き、次にスクロールの永続魔法化の利便性を説明する。
「一度読み込ませれば、もう何度も使える。遠くの街やダンジョンにいても、私たちの場所に瞬時に来られるの」
ガルドが笑みを浮かべる。
「これなら、長期の冒険でも全員の安全が確保されるわけだな」
アリエルも静かに頷き、夜風に吹かれながら目を細める。
「夜に試して正解だったわ。昼間だと人目が多くて落ち着かなかったもの」
レオは短剣を握りしめながら、スクロールの光を思い返す。
「これで冒険中の移動も、緊急集合も、自由自在ってことか」
アイリスは笑みを浮かべ、仲間たちを見回す。
「よし、戻るわよ。全員で読み込む」
光が仲間たちを包み込み、視界が白く輝いた。瞬間、マイマリツゥ街の屋台前に戻る。周囲には静かな夜の空気が漂い、孤児たちの寝息がかすかに聞こえる。
「無事に戻ってきたわね」
ガルドが胸を撫で下ろす。
「永続魔法だから、これから何度でも使えるんだな」
アリエルも微笑む。
「安全網ができたわね。これなら孤児たちも安心して屋台や作業に集中できる」
レオは頷き、スクロールを慎重にしまう。
「これで、僕たち全員がどこにいても、一瞬で集合できる。冒険の幅が格段に広がったな」
アイリスは仲間たちの顔を見渡し、心の中で計画を描く。転移スクロールの力を使えば、孤児たちにも安全網を提供できる。将来的には、子供たちも屋台や作業場で緊急対応が可能になるだろう。
「スクロールの活用次第で、冒険と日常の両立がもっと簡単になるわ」
リーナが笑顔で頷き、ガルドも冗談めかして言った。
「次に転移する時は、俺も何か持って行きたいな」
夜風が街を包む。屋台前に立つアイリスたちは、永続魔法化した転移スクロールによる安心感を胸に、明日からの冒険を思い描く。
物語の幕はまだ下りない。転移スクロールの永続魔法化により、仲間たちはいつでも即座に集合可能となった。宝石ダンジョンでの探索も、マイマリツゥ街での孤児たちの成長も、すべてがこの夜の一歩によって新たな展開を迎えることになるのだった。




