二話. 悪魔の取引
何を期待してるんだバカ。チャンスをふいにした。相手の興味が俺に向いたんだぞ。
「どんな力ですか?」
これでいい。相手がまた喋りだしたらそのときに助けを呼ぼう。
「そうですね〜 私が与える力は色々ありますよ。夜は寝ず、空を飛んだり、言語を理解したり。
(なんだ?これ以上聴いてはいけない感じがする。いや、まだだ。相手がもっと自分の世界にのめり込んでから……)
後は相手の精神を操ったり」
終わった。相手は俺の弱点を知っている。何を出せば興味を惹くのかわかっている。
「もし、そんな事ができればすごいでしょうね。精神科医とかは特に仕事が楽にあるでしょう。言語が理解できれば英語も百点。家族とも楽しく生活できるでしょうね。」
「代償は?」
「あれ、興味が湧きましたか?さっきまでは隙を窺ってたのに。」
「……」
「まぁ、いいでしょう。私が求めるのは人殺し。できれば絶望も欲しいですが普通にやってけば手に入れられるでしょう。まぁ、後はあなたが人間をやめるだけですね。」
どうしようもない。俺は許容するしかない、この取引を。
「さて、では始めましょう。異論はないですね」
「……わかった」
「張り合いがないですね」
カラン
「?」
何かが落ちた音がした。
「この短剣で両親を殺してください」