↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Sランク盗賊(※ギルド内評価)だった俺、ロックな男に憧れて"アッシュ"と名乗り始めた ~キャラ作りは全部バレています~  作者: 中原九尾


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
17/60

第十七話 残った三人

 馬車が見えなくなるまで見送ったあと、ハンス、ジーク、ゴランツの三人は、当然のようにまたハンスの家へ戻ってきた。


「なんか、静かになったな」


 ゴランツがそう言いながら、炬燵に足を突っ込んだ。


「毎年思うけど、あいつら帰るとほんと静かになるよな、この時期」


 ハンスがそう言って、湯呑みに茶を注いだ。


「アッシュさん、今年もあんな感じかー」


 ジークが誰に言うでもなく、そう呟いた。


「アッシュさんって呼び方、お前ら今年けっこう気に入ってただろ」


「いや、まあ、単純に面白かったから」


「本人、めちゃくちゃ嫌がってたもんな」


 三人で顔を見合わせ、小さく笑った。


「でもさ」


 ハンスが、少し声のトーンを落として続けた。


「あいつ、フェリシオンで何やってんだろうな、実際」


「服屋の常連、って言ってたけど」


「それだけで生活できてるとは思えねえよな」


「まあ、カインが一緒にいるし、そこまで無茶なことにはなってないだろ」


 ゴランツがそう言うと、ハンスは湯呑みを両手で包みながら、少し考えるような顔をした。


「あいつ、昔からそうじゃん。何か一つ夢中になると、周り見えなくなるっていうか」


「絵の表彰状の話とか、いまだに大事に持ってる時点でな」


 ジークがそう言って笑った。


「悪い奴じゃないんだけどな」


「悪くはないよ。ただ、面倒くさいだけで」


「それは同意」


 三人が揃って頷いた。


「まあでも」


 ハンスがぽつりと言った。


「あいつなりに、なんか見つけようとしてるんじゃねえの、向こうで」


「見つかるといいけどな」


 ゴランツがそう言いながら、湯呑みを傾けた。


「見つかんなかったら、また来年ここで愚痴聞かされるだけだろ」


「それはそれで、まあいつも通りだけどな」


 三人は顔を見合わせ、また小さく笑った。


 窓の外では、正月らしい静かな空気が、いつまでも町を包んでいた。ボドがいない間の地元は、いつもより少しだけ、落ち着いた時間が流れていた。


「にしても」


 ジークが、思い出したように言った。


「あいつの本名、あっちじゃ誰も知らないんだろ」


「だろうな。知られたくないみたいだし」


「アッシュって名乗るくらいだから、よっぽど気に入ってんだろうな、その名前」


「まあ、本人が満足してるならいいんじゃねえの」


 ハンスがそう言って、話を締めくくった。


 三人はそれからしばらく、特に意味のない世間話を続けた。ボドがいない間の地元は、賑やかさこそ少し欠けていたが、それはそれで、悪くない時間だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。