6話 『学ぶ懐かしさの清い今』
「おーい!こっちも手伝ってくれ~!」
「はーい!分かった~!」
太陽があがってすぐの時間。
おじちゃんに呼ばれて新しい荷物を運ぶ。
『始まりの国』にまで運んでくれたおっちゃんに「なぁ!俺も恩返ししたい!」と言ったらおっちゃんの荷物運びを手伝うことになった。
近くの木の下では白が本を読んでいる……あの『楽園なんたら』の奴……面白いのか…?
「おお、お前手際がいいな。こういう仕事向いてんじゃないか?」
おっちゃんは荷物を運びながら褒めてくれる。
いい人だこの人!!!!
「えへへ!おっちゃんがすっごくいい人だからたくさん頑張ろうって思えたからかな~!!」
「言ったな~!この人垂らしめ~!」
おっちゃんは荷物を運ぶ手を止めてグリグリと撫でてくれた。
こうは言っているがおっちゃんの方が数箱俺よりも運んでいる。
だが俺を遅いと責めることもなく話し相手が出来て楽しそうだ。
「おっとこれで終わりだな。
お前のお陰でいつもより早く終わったよ本当にありがとな!」
ガハハと効果音がつきそうに笑いながらおじちゃんは荷台に座り。
また隣に座れと催促してきた。
「えーと、はいこれお前の分の飯だ。
朝出る前に適当に作った、不器用だからあんまり美味くないと思うから食べたくないなら俺に返してくれ。
食材を無駄にするなって嫁さんに言われてんだ!」
隣に座るとおっちゃんは後ろの荷台をゴソゴソとあさり一つの箱を渡して来た。
中を開けると昨日の鳥とは違う今まで見たことない奴がたくさんだった。
「おっちゃん、これ飯?なのか?」
中には白い三角形の物が2つと茶色い木の根が切り刻まれて入っていた。
「うっ、そう言われると来るものがあるぜ…
すまんな俺こそ恩返し出来なくて、、」
そう言っておっちゃんは俺から箱を取ろうとするがそれに気付いて俺はすぐに否定する。
「っいや!違うんだ本当に!まともな飯を最近食べ始めたばっかりでな!
知らなかったんだ!」
そう言うとおっちゃんは悲しそうにしてた顔を変えて、驚かせようとするいたずらっ子のような顔に変える。
「そうか!そうか!なら一口食べてみろ!
箸使えるか?スプーンもあるぞ!」
初めての気の棒二本の箸を使えずに苦戦しているとおっちゃんがスプーンをくれる。
そして白い三角形の奴を刺して救い口に含む。
「!!…………!おっちゃんこれ凄いぞ!流石!おっちゃんの料理は200点だな!」
おっちゃんはまるでいたずらが成功したようにご機嫌になって笑う。
「はは!それはお前『おにぎり』って言うんだよ凄いだろ!!」
おにぎり……これおにぎりって言うのか!
そうだ今度そこで本を読みつかれて寝ている白に作ってやろ!
「この木の根っこもいいな!!木の根っこなのに凄いぞ!」
「ははは!なんだそれ!言い方おっかしいなぁ!!!ひー!!」
食べ進めてる間もずっとおっちゃんは笑いながらひーひー言っていた。
そして少しして笑いが収まった頃に俺に顔を向けた。
「そういえばお前、昨日もそうだったな。
知らねぇなら教えてやる、飯を食べて安心した時や嬉しい時は『美味しい』って言うんだよ。」
「……おい…しい……」
「そしてそのな木の根っこはきんぴらごぼうって言うんだよ!はは!ひー!はは!!
あーおっかしい!!」
ずっと笑ってるぞおっちゃん!!
「おい!!そんなに笑わなくていいだろ!……」
「何恥ずかしがってんだよ!」
「そんなに笑われたら……なんか……恥ずかしいだろ……!」
「良いんだよ!子供は気にせず満腹なるまで食べろ!!
子供に食べさせてやるのは大人の役目なんだからな!」
「俺は遠慮してないぞ!」
「ははは!それで良い!お前ぐらいの年頃はな!
……それにな、大人でも子供でも次のいつ飯が食えるか分からないからな。
だからな飯を食べる時は笑って食え!!
いいか!?絶対食って食って食いまくれ!!!」
そう言って、おっちゃんがまた俺に飯を押し付けて来るのを……じーと白が見ていた。
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「白これいるか?」
おっちゃんに多すぎる程渡された弁当のおにぎりを本を見ていた白に見せる。
「……」
「ほらお前も食べてみろよ。
美味しいぞ!」
しかし、白は受け取ろうとしない。
だが、目線はおにぎりを注視していた。
「お前~昨日はあれだけ飯抜きを嫌がってただろ~?」
そう言うと白はおにぎりを注視しながらも受け取ろうとせず足を酷くバタバタさせる。
その顔はとても不快そうに不機嫌そうにしていた。
だが、決しておにぎりに触れようとはしない。
「要らねーのかよ?」
そう言うとまた目尻が下がり、俺を睨んでくるがやはり取ろうとしない。
流石に諦めて後ろを向き元の場所に向かおうとした時、事件は起こった。
「要らないなら良いけどー……って!おい!!」
後ろから殺気を感じて瞬時に避ける体勢に変えると真横の空気を短刀が劈いた。
負傷は無いが手に持っていたおにぎりが勢い良く宙に投げ出され…白が当たり前のようにキャッチした。
そして、非常に不快そうに足をバタバタと揺らしながら食べ始めた。
「やっぱり要るのかよ!!」
瞬時にキャッチしたおにぎりをむしゃむしゃと食べる白の姿を見て『なんだコイツ!』っと一瞬思ったが……
白が喉におにぎりを詰まらせ、むせていた事でその気も失せた。
「良く噛んで食えよ!」
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「白ー!いい加減にしろー!!」
「うん?」
荷車に荷物を運び込んでいる時に、大きなガキの声につられ視線を向ける、そこには少し離れた所にいるあのガキが一人で何か話しているようだ。
「もー、流石に不意打ちは止めてくれよー!
おにぎり落としたらおっちゃんが悲しむだろー!…」
そして話の内容は聞こえないが、ポーズをとったり良く分からない行動をしている。
「何やってんだアイツ」
まぁガキはこんなもんかと、俺は歩を止めること無く進むのであった。




