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第十二話

ウサギ狩りは作業でマンネリ? ということで稚拙ながらもうちょい戦闘を。本当に稚拙ですが。

それでも良ければお付き合いください。



「【ステップ】! からの、キャッチ! そして~短剣で斬りつけるっと」


DEXについて少し考えてた後、ウサギを求めて少し遠出してみた。町から離れてきたせいか、少しずつウサギが手強くなってきた気がする。不意打ち気味に草陰から飛び出してくることも少なくなく、いきなり出てこられるとと結構驚く。

 不意打ちだけじゃない。突撃を繰り返していただけの町付近と異なり、助走距離を伸ばす、フェイントを織り交ぜるといった行動が見られるようになってきた。

 【ステップ】を使えば気持ち楽に避けられるけど、それでも当たれば痛いのは変わらない。DEF振ってないしね。


「にしても結構歩いたな……30分以上は歩いている筈なのにまだ草原しか見えない。これどんだけ広いんだ?」


ただ歩く訳じゃなくて、適度にウサギ狩りをしているから集中力はまだ切れないけど、未だ地平線が見えるだけの草原を見ていると少しだけため息が出そうになる。リアルなのは別にいいけど移動距離とかそこら辺はゲーム基準でもいいんじゃないだろうか。


町外近辺にはちらほらと見えたプレイヤーは、既に周囲には見えなくなった。他の皆は武器とかも自前で揃えなければいけなかったんだろうし、こんなものかな。俺の場合アニーのおかげでスタートダッシュしている訳だし。そりゃあ差はつくだろう。

 広い草原でボッチでいると精神的に寂しいな~とか思ってたら遠くに人影が見えてきた。お、これで気分転換に会話でもするチャンスなんじゃね? 相手側もすごい勢いでこっち来てるし。って、なんか色が緑の様な…こん棒持ってるし、もしかしなくてもあれって……


「っ! あれ人じゃなくてゴブリンじゃんか!!」


幸いまだ距離がある。短剣は既に構えてるし、落ち着いて対処できる。どうする? 俺のステータスは器用以外に振って無いから、昨日のクレクレ君よろしく喰らったらアウトに等しい。なら急いで町の方に逃げた方が……ダメだ。それだと俺がトレインすることになる。クレクレ君と同類は嫌だ。

 ここから見える数は大体3体くらい。ゴブリンの大きさを考えると中学生くらいのヤンキーに絡まれたってイメージか? ならこん棒は野球バットってか? ……そう考えるとダッシュで逃げ出したいんだけど。中坊でも三人がかりで絡まれたら怪我する自信あるわ。


「いやいや、これはゲーム。これはゲーム。ゴブリンくらい勝てる勝てる。ウサギと同じ避けて斬っての簡単なお仕事。……おし。心の準備オッケー」


自分に都合の良いことを考えて少しでも緊張を解かなければ。ガチガチだと勝てる戦いも勝てなくなるからね。このまま突っ込んでくるだけだったら楽なんだけど、群れてるって事は連携とか取ってくるんだろうなぁ……。そうこうしてたらゴブリン達とぶつかるまであと50mって所になった。よし、頑張ろう。




「先にステップを使うか… いや、ここはまずけん制して様子を見る!」


三体のゴブリンと戦闘が始まり、まず一番手前のゴブリンにけん制がてら右手に持つ短剣を振るう。腕にかすりはしたけど全然ダメージが入っていないっぽい。掠っただけだし仕方ないか。すぐさま後ろに下がり距離を取る。三体だけだと言えど囲まれたら終わりだ。紙装甲で後ろから攻撃されたらどうなるかなんて考えなくてもヤバいって分かる。


俺を囲もうとゴブリン達が三手に分かれる。分かってたよ! 距離を取ったお陰で俺を囲うとなると三体しかいないゴブリン達は三手に分かれる必要がある。三体の距離が離れてきた所でその内の一体に突撃。いきなり突っ込んできたのに予想外だったのか、そのゴブリンは驚いた様子を見せる。身構えるゴブリンを…抜き去る! 


「【ステップ】!」


スキルによって一歩分だけ速度が上がる。その少しの速度を活かし、ゴブリンを避けて囲まれそうだった状況を振り出しに戻す。すれ違い様に斬りつける事を狙ってはいたけど、かすり傷しか与えられなかった。分かってたけど短剣リーチ短いな!


俺の計画では、囲まれそうになる→包囲を抜ける→すれ違い様に斬り付ける


これを繰り返して少しづつダメージを稼ごうと思ったんだけど、思った以上に斬り付けるのは難しい。見通しが甘かったか?


ゴブリン達がもう一度囲もうとしてくる。好都合。もう一度挑戦してるか。まずは十分に離れたのを見計らい、そして突撃。そしてすれ違い様に、斬る! よっし!結構深くいったぞ!


「ギィ!ギゲゲゲゲ!」


うん、怒らせただけだこれ。短剣攻撃力も無いな! 


 怒ったゴブリンが他の二体をそっちのけで突っ込んできた。木のこん棒を振り回してきてリーチ的に避け様に斬るって事が出来無い。どうする!?

ええい、なるようになれ! 避けれないなら、当たらない懐に入ればいいじゃない!

振り回されるこん棒、その振り上げられた直後のタイミングに中に入って思い切り短剣を胴に突きさす。刺されたショックかゴブリンの動きが鈍った。今がチャンス!


抜いて、一刺し。抜いて、一刺し。更に抜いてもう一刺し。


ダメ出しに首筋に斬り付けてから距離を取る。息も絶え絶えって感じだけどまだ倒しきれてない。深く差し込んだつもりだったのにこれでもダメなのか……。

ゴブリン達は囲う事を諦めて三体で一緒に突っ込んでくる。すれ違っての回避はもう出来ない? 後ろは、論外。状況の先延ばしにしかならない。横も、ダメ。ウサギと違って地に足がついてる分すぐに軸を合わされてしまう筈だ。それじゃあ避ける意味がない。

ならやっぱり前に。隙間を縫うように、それでいてこん棒にはかすることも許されない。だけど弱ってるゴブリンだけ息が合っていないから、そこなら行ける!


「使うなら今!【ステップ】、【的確急所】!」


少しだけ早まった速度でわずかな隙間を潜り抜け、おまけで弱ってる個体を、斬る!


狙ってた訳じゃなかったけどその一閃は首を綺麗に切りつけて、大きなダメージエフェクトが発生。かいしんのいちげきぃ!  元々弱っていたこともあって何とか片付いた。


残るは二体。同じ手は使えない。だけど【的確急所】の効果はまだ続いてる。ならば正攻法で行こうか。

右からこん棒、左からもこん棒が飛んでくる。前転でその場を退き相打ちを誘う。思惑通り互いに互いのこん棒がぶつかったようだ。よろめいている方のゴブリンに距離を詰め、攻撃を試みる。腕や胴体ではリーチも火力も足りない短剣ではHPを削ることは出来ない。なら、狙うのは首から上しかない。よろめいている今なら反撃に気を遣わずに攻撃しても良いはず!


「【ショートスラッシュ】!」

「ゲギョアッ!」


身体が勝手に動かされ、短剣を持つ手がゴブリンを一閃。うわ気持ち悪っ。自分の身体…てかアバターなのに意志と関係なく強制される感じは好きになれそうにない。

だけどスキルによる攻撃ということもあってなのか、的確急所が上乗せられたのか分からないが、さっき以上に大きなエフェクトを放ちその一回で首が刎ねられた。……一体目の苦労は一体……。いや、落ち込むのは残り一体を倒してからだ。


どのスキルもクールタイムでまだ使えないと思うから今は自分でどうにかしないと。一対一なら怖くない! 一撃喰らう覚悟でゴブリンに飛びかかり、斬り付ける。


「グガ!」


こん棒を盾にして防がれた! しかもピシリと音を立てて短剣が壊れた?! 確かに消耗が早いって言われたしウサギ狩りで結構使ってた。でも今壊れるかよ!

慌てて後ろに下がってアイテム欄を開く。そこにはウサギの毛皮、ウサギの肉、ウサギの体毛。ウサギアイテムがいっぱいだった。ウサギ取り過ぎなきゃ良かった。短剣短剣短剣! たくさんありすぎて肝心の短剣が見つからない!


「グゲア!」

「うわぁ! ちょっタイムタイム!」


あっぶね! 目と鼻の先をこん棒が通り過ぎていく。ヘッドアタックは洒落にならない。早く短剣を見つけないと……あった!

ウサギだらけのアイテム欄に見える鉄製の短剣の文字。早く装備しないと…よし。間に合った。


「壊した短剣一本分。きっちり取り立ててやっからな!【的確急所】」


スキルを発動させつつ、ゴブリンに向かって走る。警戒したゴブリンが同じようにこん棒を盾に構える。さっきと同じミスはしない!

【ステップ】を発動させ、滑るように背後に移動する。慌てて振り返るようだがもう遅い。チェックメイトだ。


「【ショートスラッシュ】」



ゴブリンは 首を 刎ねられた。









………なんてカッコいい展開は訪れるものでも無く、その後グダグダな泥仕合の末なんとか勝てた。決まったと思ったんだけどな~。


明日投稿できたら投稿しますが、できなかったらごめんなさい。

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