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16

 街の外れまで見送りに来た老デュラハンは、ユリの小さな手のひらに、ピンクのウィプスをのせた。

鬼火ウィプスというのは、実に大人しい魔物でな。怒らせでもしない限りは、炎も熱も出さん。ただ光りながら漂うだけの、かわいい生き物じゃよ。」

「旅、エサ、大変。」

「大丈夫じゃ。ほんの少し魔力を食らわせてやれば、飢えることも無い。実に飼いやすい魔物じゃて。」

 スライムが覗き込み、手のひらよりもさらに小さな魔物がぷるりと伸びをするさまに、笑顔を模った。

「もらっておけよ。ジジイはウィプスに関しちゃあ、有名繁殖家トップブリーダーだぜ。おまけに、ピンクのウィプスなんて、俺ですら初めて見たよ。」

「……感謝。」

 ちょいちょいと指先で魔物を弄ぶ少女に寄り添う男は、この上なく柔らかな生き物のように見えた。その耳元でクアネがささやく。

「育てようによっちゃあな、ムーディーでエロエロな雰囲気の演出灯ムードライトにもなるぞ。」

「う? あ? いや、俺はロリコンじゃねぇぞ! ソウイウコトは……」

「何を言っておる。中身はちゃんとオトナじゃろ。」

「別に! ソレが目的であいつの寝台になったわけじゃねぇよっ!」

「じゃあ、何が目的なんじゃ。」

「ジジイにゃ教えてやんねぇ。」

 魔物と戯れる純真な姿を見守る眼球液はあくまでも優しく、その身を溶かすほどにあまやかなものであることを、老人だけは見抜いていた。

「まあ、お前がそれで良いなら?」

「いいんだよ。それに、あいつの理想はイケメン値3000だぜ。俺じゃぁ、無理だろ。」

「イケメ……?」

「いい男ってことだよ。」

「ほう?」

 クアネは首をぐいっとユリの前に差し出す。

「嬢ちゃん、わしはいい男か?」

 ウィプスから離れた銀の視線が、ナイスミドルな首をじっと見つめた。次いで、首のない体を、じっと見上げる。

「3200イケメン。」

「はああああ? 3000越ええええ?」

 微かな恥じらいを見せるユリと、勝ち誇ったようにニコニコと笑う好々爺を交互に見たスライムは、がっくりとうなだれた。

「さすがに、首と胴体が離れるのは……無理だ!」

 首をぐいっと小さな耳に近寄せて、クアネはこそっと聞く。

「あの小童は?」

 ユリは自分の表情を隠すように、ぷいと横向いた。

「内緒。」


 こうして、スライムの旅はまだ続く。



次章製作中です。一週間程度で書きあがるかと……

しばしお待ちを。

追記  総合200突破ありがとうございます! 感謝を込めて、ボーナストラック展開中。お暇な人はキーワード検索『ロリすら』で探してみて!

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