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森の娘と獣たち  作者: OWL
森の獣
16/212

1-16 海岸の村の少年

海岸ではたまに貴重品が見つかる。

竜涎香とやらが見つかれば、貧民なら一生暮らせるぐらいの金額になるかもしれない。

いや、それは無理か、きっと途中で誰かに取り上げられてしまう。

親父でさえ、親父より偉いひとにいつも稼ぎを毟り取られているっていっていた。

親父は鍛冶職人として大きな町からの注文も来る屈強な大男で、近所の男衆からも尊敬されている立派な大人だ。


それでも勝てないのだ。


貴重品とはいかないが、海岸には買い取ってもらえる綺麗な石や貝殻、漂着物も転がっている。たまに領主の子もやって来て一緒に遊んだり、潜って食べられる貝や魚を取ることもある。あんまり取ると漁師たちに怒られるので、たまに、だ。


今日も日課の海岸線の散歩をしていたら、遠くででっかい奴が水しぶきを上げているのが見える。ヨハンの奴が見たら喜ぶだろう。おや、漂着物というか漂着者がいた。

自分より大分小さい女の子?だ。

首輪や手錠を付けられていて厄介ごとの匂いがプンプンする。

息がある事だけ確かめて、親父の所へ行って相談した。

ホーリツでは漂着物は5年以内に荷主の申告が無ければ、地元領主のものとなるらしい。

人間は知らん、と言われた。

案内したら、親父が連れて帰るから代わりに村長に伝えに行ってこい、だって。

村長に伝えに行ったら、村長が領主に連絡とるから今度は神殿にいる神官様に伝えに行けって、たらい回しだ!メンドクサイ、放って置けば良かった。

この村にある神殿はとっくの昔に放棄されたもので、誰も居なかったんだけど、最近ひとりの若い女神官がやってきた。

親がもともとここの神官だったらしく、村人達も喜んで歓迎していた。

その女神官はアンナマリーと名乗り自分が診断するから連れて行くように、と言いつけられ、さらに厄介ごとが増えた。


で、戻ってきたらさっきの漂着者はオレの寝台に寝かされていた。

ああああ、汚ねえ!髪も顔も服も汚れて真っ黒、汚れが移る!しかも無茶苦茶クサイ。

耳や爪の奥まで徹底的に汚れて、あちこち肌も醜く赤黒く変色して顔も半分潰れているし、あーもうサイアク。

それからはもう、お湯を沸かせ、綺麗な布を用意しろ、とアンナマリーに次から次へと偉そうに命令された後、部屋を追い出された。オレの部屋だぞ!!

漂着者はそれから一週間以上オレの部屋を占拠し、親父が首輪や手錠を解体して、アンナマリーがどこからか用意してきた服に着せ替えられた後、見知らぬ大柄なおばさんがどっかへ運んで行った。

あいつは最後まで意識は戻らなかった。

後に残ったのはさんざん汚れた俺の寝台と真っ黒な汚れが移った布の数々。


あー、もうほんと疫病神だったよ。


それで終わりかと思ってたのに、次に会った時、細長い葉っぱが5枚連なったヤツをみつけて籠いっぱい取ってこいってさ!

近所のガキどもも使って、たくさん集めろといわれ、ガキどもはぶーぶー文句いうし、不平いったら親父にはぶん殴られるし、アンナマリーはにこりともせず、礼もいわねえし。


オレの扱い酷くねえ?

主人公が酷い目に遭ってかなり厭世的になった面もあり、

今後時々視点人物が代わりますが、主人公は主人公です。

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