美味しい料理と仲間達
「では、トマト料理をいただきま~す!」とシロッコが言って手を合わせた。 それに続きわたし達も手を合わせて、「いただきま~す」と言ってスプーンを握る。
先ずは見ているだけでも美味しそうな湯気の立っているトマトのミネストローネスープから食べることにした。
わたしは、わくわく胸を躍らせトマトのミネストローネスープを口に運んだ。
トマトのミネストローネスープは具沢山でトマトの酸味が口の中に広がりじゃがいものほくほく感がそれはもうたまらない。食べ応えもある。
「うわぁ~シロッコちゃん美味しいよ」
「ありがとうにゃん。わたしの得意料理なんだ」
シロッコちゃんは嬉しそうにふっくら丸みを帯びた口元をニコッとさせた。
「シロッコちゃんのお料理わたしも大好きだよ~」
うさぴーが鼻をぴくぴくさせながら言った。
「ありがとうにゃん。わたしは料理が趣味みたいなものだから嬉しいにゃん」
にこにこと笑うシロッコに鼻をぴくぴくさせながらトマトのミネストローネスープを美味しそうに食べるうさぴー。そんなもふもふふわふわな動物達を眺めているとわたしは癒される。
一方ミケにゃんとケンは黙々と料理を食べている。ミケにゃんはお口の周りを汚しながらね。
今頃、わたしの住んでいた地球でも食事の時間が始まっているだろうか。忙しい両親なので仕事や遊びでまだ家に帰っていないかもしれないけれど……。
お父さんとお母さんはわたしのことを心配しているかな?
もし心配してくれているのであればお父さん、お母さんごめんなさい。わたし満里奈は、異世界でもふもふふわふわな動物達に囲まれて幸せに生きています。
そう伝えることができたらいいなと思った。
そんなことを考えながらトマトサラダに箸を伸ばした。トマトサラダは冷たくてさっぱりしていてオリーブオイルドレッシングとよく合いシンプルで美味しかった。
楽しい食事の時間が続いた。その時わたしはふと思った。
「ねえ、ケン君にミケにゃんにうさぴーのご両親はまだ帰って来てないの?」
わたしは、左隣の席に座りトマトパスタを黙々と食べているケンに聞いた。
ケンは顔を上げて、「あの子達の両親はここに住んでいないよ」と言った。
「えっ? ここには住んでいないの」
わたしはびっくりして目を見開いた。
「うん、あの子達は半分親に捨てられた感じだからね」
ケンはミケにゃんとうさぴーにちらりと視線を向けて言った。
「……そうなんだあの子達……」
わたしは無邪気な笑顔を浮かべお鼻をぴくぴくさせながらトマトミネストローネを食べているうさぴーと相変わらずお口の周りをトマトで真っ赤かに汚し無邪気にトマトパスタを食べているミケにゃんを眺めあんなに可愛らしい子達がと思うと悲しい気持ちになる。
「でも、あの2匹はきっと今は幸せだと思うよ。シロッコが優しくしてくれているからね」
ケンはトマトサラダをぱくぱく食べているシロッコに視線を移し目を細めた。
「シロッコちゃんが二匹の面倒を見てるの?」
「まあ、そんな感じかな。シロッコは優しいからね」
「シロッコちゃんも若いのに偉いね」
わたしと年齢もさほど変わらないのに(さっきは高齢なんて言ってしまったけどね)シロッコちゃんは立派だと思う。
「シロッコもあの子達がいるから幸せなのかもね」
「そっか、あの子達は無邪気で可愛らしいもんね。ところで、シロッコちゃんはもふもふ癒しの空間カフェのオーナーなんだよね? 二十歳で経営者だなんて凄いよね」
「そうだよね。あ、この建物はシロッコのおばあちゃんから受け継いだらしいけどな」
「そうなんだね」
なんて、わたしとケンが小声で話しているとシロッコが、
「ちょっと~そこの二人、わたしの噂話をしてるよね?」と言ってわたし達の顔をじっと見る。
「シロッコはいい奴だって褒めているんだよ」
「そうだよ、シロッコちゃんは素晴らしいって褒めているんだよ」
わたしとケンが「だよね~」と顔を見合わせて言うと、シロッコは「怪しいにゃ」と言った。けれどすぐに笑顔になり「まあいっかにゃん」と言って笑った。
そのシロッコの笑顔がほんわかしていて癒された。




