表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
16/51

クラスに戻ると



アリスと、少しの間無言で見つめ合った。


茶色の髪に、薄い茶色の瞳。それは大きく見開かれていた。

ああ、初めてまともに顔を見た。あんまり話してない子だったからな。


目立たないけど、親しみやすい顔をしている。

その小さな口が、見開かれた目が、ふっ、と、綻んだ。


「本当に、反省してたんだね。私、あの後ロザリーがずっと誰とも話さないから、意地になってるとばっかり思ってた。

それなら、みんな行っても大丈夫だよね?さりげなく止めようかと思ったけど、やめておくよ。いいのね?」



……止めようとしてくれてたのか。


どうして。あなたはずっと遠くから見てるだけで、私と仲良くもなかったよね。


なんで。この世界には、ニムルスといいこの子といい、なんでこんな変な人がいるの。



あったかいよ。



「……私、親を説得できたら、早めに行くから!頑張ってね、ロザリー!」



なんだか慌てたアリスが、私にハンカチを押し付けて早足で図書館を出て行った。


頰を伝うお水に気づいたのは、持っていたハンカチにしみが沢山できてからだった。




教室に戻って、いつも通りに置物として、席に着いた。

かたっと、前の席に座った人がいた。

わんわんく…カイルだ。


「なあ、お前、あれからずっとリーナんとこで働いてたんだって?」


お前って。前はロザリー、ロザリーって、親しげに話しかけてきたわん…カイルの言葉の違いに、やっぱりちょっと心が痛くなった。



こくん。頷くのが精一杯。また、目から水が出そうになった。


「なんだよ、言えよ。俺だって行かなきゃいけないんじゃんよ、あいつのこと殴ったの俺なんだから」



ぺしっと、頭を叩かれた。

むぅ。違うのに。なんか抜け駆けしたみたいじゃない。

だって私が主犯で、あなたはその流れでみんなに煽られただけなんだもの。ばかだから。


主犯は私なのに。なんで、なんで叩かれるのよ。


あなたが私とおんなじなわけがないでしょう。



「あ、あれ?違うぞ?あの、そうだな、ああ、うん、俺が思いつかなかったからな!うん、そう!お前はわるくないぞ!な、だから落ち着けよ」



え、何よ。

落ち着いてるわよ。

あんたなんかに慰められる理由も、……資格も、私にはないのよ。



「あーーーわんわん君、女の子を泣かせたぁー!

いぃっけないんだぁーいけないんだぁーーー」


リーナの途中から節のついた声が聞こえる。

どっと、クラスに笑いが起きる。



え、泣いてる?誰が?



「あ、いや、これはだな、その」


「カイル!謝りなよ。また考えなしにひどいこと言ったんでしょう」



あ、アリスだ。

いや、違うよ。ひどいことなんて。

私が悲しいのはそこじゃなくて。


「あ、うん、ごめん、俺もちゃんと謝ってなんか手伝うよ。うちのご飯の手伝いもあるから、あんまり行けないけど。なんか、ごめん。そんな泣くなよ」


だから、別に泣いてなんか。



「だっで、わだじが、がんぢがいじで、ひっく、べんなごどいっだから、ひっく、だがら、わだじが、わるぐで」



あれ。なんだ。うまくしゃべれない。



「ああもう、こりゃダメだな。カイル、責任持ってロザリーを医務室に連れて行けよ」


……ニムルスだ。

わたしの、なまえ。久しぶりに呼ばれた。わたしに話しかけたんじゃないけど。



「あ、うん、ほら、いくぞ。えーと、あの、その、なんだ、おぶさるか?」


「私も行くわ。ロザリー、もう、そんなに我慢してたのね。リーナ、いいよね?」



アリスが話に割って入ってきた。

ぼやけた視界には何も映らない。リーナがどう返事をしたのかは、わからなかった。



そのまま、私はカイルに背負われて医務室に連れて行かれた。なんでかカイルの背中がぐしょぐしょに濡れた。


その日はそのまま帰った。

医務室に来たリーナに、今日だけはおしごと休んでいいよ、と、言われた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ