序章
私、レイオリア・ローゼン・ディエールは今、人生最大のチャン…..じゃない最大のピンチを迎えていた。
王城の大広間で罪状が読み上げられている。
嫌がらせがどうとか、陰謀がどうとか...どれ一つも身に覚えのない罪状。
その言葉は、何一つ頭には入ってこなかった。
ただ最後に王子が言った一言。
「本日をもって爵位を剥奪し、最果ての辺境へと追放する」
それだけが頭の中に響いた。
そして思わず聞き返してしまった。
「辺境に...海はありますの?」
私のその言葉に、王子は口を開けたまま固まっていた。
そしてなんとか絞り出すように答えた。
「…あるには…あるが…」
「そうですか。なら結構です」
「な、なにが結構なんだ...」
私は何も答えない。
もう十分だった。
そこに海があるなら十分だった。
王子に背を向けて歩き出した。
「待て!まだ断罪は…」
何か言っていたけど、もう本当にどうでも良かった。
脳裏に王子の顔が…浮かばなかった。
ひどく印象の薄い王子、なんであんなのと婚約してしまったのだろう。
今更ながらに自分の考えなしに呆れた。
でもそれももう終わり。
明日には辺境に送られる。
そうしたら自由だ。
もう令嬢たちとの面白くもないお喋りからも解放される。
その喜びで心は小躍りしていた。
海のある辺境。
さて、明日はどんな魚を釣り上げようかしら?




