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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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120/153

不満

「確かに蒼天剣に似てますが……たまたまちょっと似ちゃっただけで、わざわざ会いに行くようなこともないんじゃないですか?」


 六代目蒼天剣者ウライノスの弟子であるギリウラは、足速に歩いていくなんとかついていっていた。

 ギリウラは正直面倒だと内心では思っていた。


 本来ならばウライノスの剣の腕を見込んだ依頼があったので、そちらの方をのんびりとやっている予定だったのである。

 それが急な予定変更。


 きっかけはギリウラが見せた一つの配信だった。

 とあるゲートダンジョンを国が攻略したというもので、その攻略の過程でオーラを使う子供のイースラが戦っていた。


 ギリウラはあの年齢でオーラを使うのかと驚いたものだけど、ウライノスは全く別のところに着目していた。

 イースラがふと見せた動きは、ゲウィルの首ギリギリまで届いた。


 最初はギリウラも気づかなかったが、ウライノスは蒼天剣の動きだとすぐに気づいたのである。

 なぜあんな子供が蒼天剣を使えるのか。


 ウライノスは全ての予定をキャンセルして、イースラのところに向かっていた。


「確かめねば分からない。もし仮に蒼天剣だったとしたら、詳しく話を聞く必要がある」


 改めて見返して、蒼天剣の動きではあった。

 しかし蒼天剣は広く弟子を集めて教えられる剣ではない。


 一子相伝とまではいかないが、ほとんどそれに近いレベルで弟子の数は少ない。

 ギリウラも現時点ではウライノスの唯一の弟子である。


 自分よりも遥かに年下の弟子の存在など聞いたこともないし、ウライノス自身も意外そうと思っている感じがしていた。

 気にはなるけれど、確かめるのもめんどくさい感じがあった。


「師匠の弟子ではないんですよね?」


「いつ俺があんな子供を弟子にした?」


「見たことないですね」


 ギリウラもそれなりに弟子歴は長い。

 それこそイースラが剣を持てるようになった頃には、もう弟子であった。


 どう頑張ったとて、秘密裏にギリウラ以外の弟子を育てることは不可能である。


「だとしたら……どういうことなんですかね?」


「それを確かめに行くんだ」


「……そうですけど、まさか先代が?」


「…………その可能性も否定はできない」


 ウライノスの師匠である第五代目蒼天剣者は行方不明だと、ギリウラは聞いていた。

 可能性としては、五代目の弟子ということもあり得る。


 ただそうなると嫌だなとギリウラは思った。

 五代目の弟子となるとウライノスの弟弟子になる。


 つまりは明らかにイースラの方が年下なのに、立場的にはイースラの方が上になってしまうのだ。

 年下のイースラに敬語を使って敬わねばならないなんてことは我慢ならない。


「はぁー……面倒だな」


 ーーーーー


「なんだ、あのガキ……」


 イースラがウライノスと話す間、ギリウラは部屋から追い出された。

 ウライノスの顔を見て逃げたのだから、何か後ろめたいことがあるに違いない。


 そう思いながら部屋の中の会話に聞き耳を立てようとするが、うっすら声は聞こえても会話の内容までは分からない。

 本当なら自分で問い詰めてやりたいところだとギリウラは思っていた。


「おっさん、そんな目で見ないでくださいよ」


 ただ聞き耳を立てるのだって自由にいかない。

 イースラとウライノスの一悶着のせいで、ゲウィルが介入してきた。


 部屋の前にはギリウラだけでなく、何かあってもすぐに動けるようにゲウィルもいて目を光らせている。

 ウライノスの仲間としてギリウラもゲウィルの警戒の対象となっていて、ギリウラは思わずため息を漏らしてしまう。


 ゲウィルがいなければもう少し上手く会話が聞き取れるかもしれないのに、と内心苦々しく思っている。


「あっ、師匠?」


 割と長いこと会話していた。

 ウライノスが渋い顔をして部屋から出てきて、話し合いは決裂したのかとギリウラは期待した。


 けれどもイースラは平然とした顔をしてウライノスの後に続いて出てきて、二人は訓練場に向かったのである。


「……嘘だろ?」


 訓練場でもギリウラは追い出されていた。

 しかしどうしても気になってこっそりと覗いていた。


 イースラは確かに蒼天剣を繰り出していた。

 さらには手加減していたといっても、ウライノスの剣を上回ってみせたのである。


「……マジかよ」


 ウライノスが珍しく声を出して笑い、イースラを弟子にすると言った。

 ギリウラは驚きを隠すことができなかった。


 ーーーーー


「師匠! どういうことなんですか!」


 あまりの出来事に普通に酒場までついてしまった。

 訓練場で名前を呼ばれた時点で聞けばよかったのだけど、ウライノスはもう酒の入ったコップを片手に持っている。


 ただどうしても納得がいかなくて、ギリウラの声も自然と大きくなる。


「……これはお前の利益にもなることだ」


 イースラがした話を勝手に漏らすべきではないとウライノスは思った。

 ただ弟子にしたのではなく、イースラが身につけた改良された蒼天剣は自分のためにもなると判断してのことである。


「納得がいきません! なんであんなガキを……」


「俺が誰を弟子にしようが自由だ」


 イースラとの話の内容を言えない以上、ギリウラが納得するような説明をすることは難しい。

 ただ納得いかなかったとしても、誰を弟子にするか判断する自由はウライノスにある。

 

「それは、そうですが……」


「時がくれば自然とわかる。お前は我慢ができなくていけないな」


「……そんなことはありません」


 なぜ得体の知れないガキのために我慢などしなければいけないのか。


「弟子にすると言った以上撤回はしない。この会話は終わりだ」


「…………分かりました」

 

 歯を食いしばるようにして不満を我慢する。

 ギリウラは胸のうちに、不満の火種を燻らせたのであった。

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