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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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師匠現る6

「剣の技術は頭にありますけど……体はまだ技術に追いついてません。手加減はお願いしますね」


「殺さないようにはしてやる」


 場所を移して訓練場。

 何人か使っている人はいたけど、お願いして退いていただいた。


 本当ならアルドッグを使いたいところであるが、イースラの体格には合わない。

 それに今は鞘を作ってもらうために武器屋に預けてある。


 触らないようにしなきゃいけないので、鍛冶屋のオヤジはすごく嫌そうな顔をしていた。

 ともかく今は安全にも配慮して、木剣を手に取る。


「それじゃあいきますよ!」


 軽く木剣を振って調子を確かめたイースラはウライノスに斬りかかる。

 まずは軽く打ち合って調子を上げていく。


 しかしあまり手を抜いていると、見せたいものの前にやられてしまいそうなので気合いを入れて挑む。


「蒼天剣……第一の型!」


 蒼天剣には第一から第五まで五つの決まった型がある。

 決まった動きと決まった魔力の運用は、破壊力や威力を最大化させるために考え抜かれたものである。


 決まっていると聞くと簡単に見えるのだが、一連の動きを何もかも考え抜かれたバランスを保って行うのは意外と難しい。

 単純に腕を振るだけじゃなく、呼吸から足運び、重心の動きまでピタリと型通りにし、本番はオーラもそれに合わせるのだ。


 今回は本気に近づけるためにオーラを微弱に込めている。


「うむ、かなり上手くできているな」


 体が追いついていないというが、イースラの動きは完璧に近いとウライノスは思った。

 確かに一つ一つの動きを支える筋力なんかが足りていなさそうなところはあるものの、欠点らしい欠点はない。


 ウライノスもイースラと全く同じ動きで対応する。

 鏡合わせのような動きの二人の剣がぶつかり合う。


 けれどもややイースラは押されていた。

 同じ動きでウライノスがオーラを使っていないとしても、型の完成度は大人のウライノスの方が高い。


 力も強く、イースラは剣を持つ手にしびれるような衝撃を感じていた。


「第二の型!」


 改良された剣と聞いてウライノスも期待をしていた。

 しかしこれではどこが改良されたのか分からない。


「期待はずれ……ん?」


 仮に改良されていたところでこれならば取り入れるまでもない。

 そんなふうに思ったウライノスはわずかな違和感を感じる。


 第二の型の最後、手にかかるイースラの攻撃の威力が強かった。

 だが手に残るしびれの正体を考える暇もなく、イースラは第三の型に移る。


 そして、第三の型でウライノスの違和感はハッキリと異変になった。

 ウライノスの方が上回っていたはずだった。


 同じ剣術を繰り出しているのなら第一の型と同じくイースラが押されるはずなのに、少しずつウライノスが押され始めている。


「くっ!」


 第三の型の最後、ウライノスは型で対応するのではなく完全に防御する形になった。


「これは……」


 続け様に第四の型に入る。

 途中からウライノスは型で対応することをやめた。


 ウライノスの知る第四の型で対応していたら、まともに何発かくらっていたことだろう。


「第五の型……!」


 ウライノスは背中にゾクっとしたものを感じながら笑っていた。

 今自分が身につけている蒼天剣が最高のものだと思っていた。


 体を鍛えて、同じ型を何回も繰り返し、練度を高めることで強くなれるだろうと信じていた。

 けれどもイースラは蒼天剣のさらなる先を見せてくれている。


 まだ自分は強くなれる。

 ウライノスはそんな胸の高鳴りを覚えていた。


「第六……」


 最後にイースラは剣を鋭く突き出した。

 本来の蒼天剣にない第六の型は、型の動きの中で最も力の乗るタイミングで一点に力を集めて攻撃する一撃必殺の技である。


 ウライノスは攻撃を防ぎきれずに木剣が手から飛んでいってしまった。


「はぁ……はぁ……」


 一連の型を全て再現するだけでもイースラは肩で息をして、汗だくになっていた。


「ふ……はははっ!」


「師匠……?」


 突然にウライノスが笑い出して、イースラは困惑する。

 こんなふうに大笑いするウライノスなんて回帰前を含めても見たことがない。


「弟子にしたいやつは二人だったな? いや、三人でも四人でも連れてこい」


 ウライノスはやたらとギラついた目をしている。


「じゃあ……」


「ああ、全て信じよう。全て受け入れる。お前は今から俺の弟子だ」


 蒼天剣の改良は嘘でなかった。

 さらにウライノスは剣の中に自身の師匠であるルルエンの姿を見た。


「俺は今非常に気分がいい。そうだな……酒でも飲んでくるか。ケービス!」


「は、はい!」


 ウライノスは訓練場のドアまで待機していた弟子のケービスを読んだ。


「細かな話は後にしよう。酒を飲みにいくぞ」


「ええっ!? 急になんですか? それに師匠は酒が強くて……」


「いいから来い!」


 ウライノスはケービスを引きずるようにして出ていく。

 少しばかり回帰前とのイメージは違うものの、ウライノスの弟子になることに成功した。


 ちょっと話はなあなあになったような気もするが、サシャとクラインも弟子にしてもらえるようで、いうことなしの結果になった。


「はぁ……もう疲れた」


 ゲウィルにも報告しなきゃいけない。

 けれども精神的にも肉体的にも疲れ切ったイースラは木剣を元に戻すと、部屋に帰ってベッドに飛び込んだのだった。

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