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【第二章完結】異世界ダンジョン配信~回帰した俺だけが配信のやり方を知っているので今度は上手く配信を活用して世界のことを救ってみせます~  作者: 犬型大
第三章

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師匠現る5

「やはり……信じてはいただけませんか?」


「こんな話をいきなり信じろという方が難しい」


「まあ……そうですね」


「だが、嘘だと疑ってもいない」


「師匠……」


 全てを信じるのにもかなりぶっ飛んだ話だ。

 しかしウライノスを見つめるイースラの目には一点の曇りもない。


 話が本当だと断定することはできない。

 しかしイースラが嘘をついているともウライノスは思えなかった。


「本当ならもっと先に探すはずでした」


 師匠であるウライノスのことを忘れたことはない。

 しかし過去においてどこにいたのか、なんて話をしたことはなく、探すにも心当たりすらなかった。


 探しようもないので探すのは後回しにするつもりだったのだ。

 話に聞いていた裏切り行為も先のことなので、その前に探し出せればいいと思っていた。


「俺を……弟子にしてくれませんか?」


 今はなんだかフワッとものである。

 回帰前は弟子で、今も一応自称弟子のつもりだ。


 しかしウライノスが認めてくれるなら名実共に弟子になれる。

 周りにどこで剣を習ったのだと聞かれても、ちゃんとした師匠がいるなら困らない。


「しかし俺にはもう弟子がいる。未来で裏切るとしても、今裏切ったわけではない」


「ならば交換条件といきませんか?」


「交換条件?」


 ウライノスが素直に弟子にしてくれるとはイースラも考えていなかった。

 ただエティケントにやったように、回帰前の経験からウライノスを引き込むための一手をイースラは持っていた。


「剣を教えてください。その代わり、剣を教えます」


「…………なんだと?」


 剣を教えてほしいというのは分かる。

 だがその引き換えに剣を教える、というのはどういうことなのかとウライノスは眉をひそめる。


「五代目……大師匠ルルエン。俺は彼女からも剣を習いました」


「なんだと!?」


 ウライノスが驚いた顔をして立ち上がる。

 思えば大変だったけど、こうして回帰してみると手札になるものの多い、濃い人生を送ったものだとイースラは思う。


「彼女はどこにいる!」


「落ち着いてください。それについても話しますが……交換条件を受け入れるかどうか、先に決めてください」


「貴様……師匠相手に取引しようというのか?」


 ウライノスは顔を険しくする。


「俺は師だと思っていますが、まだ実際そうではありませんからね」


「……くだらない戯言を」


「未来はお話ししました。このままだと全員が死んでしまう。俺は……未来を変えるんです。そのためには師匠だって利用します」


 嘘はつかない。

 仲良しな師弟関係を築けるとも思ってはいない。


 予定にはない遭遇だったものの、こうなったら徹底的に利用させてもらう。


「俺は、大切なものを守りたいんです」


「…………剣はお前に教えるということか?」


 困惑、怒り、焦燥などウライノスの中には色々な感情が渦巻いている。

 けれどもウライノスは全てを飲み込んだ。


 あるいは、自分に最も必要なもの以外を切り捨てたと言ってもいいのかもしれない。


「それだけでなく他にも二人ほど教えてもらえると嬉しいです」


 イースラは指を二本立てる。

 二人とはもちろんサシャとクラインだ。


 若いうちから鍛え上げられるのなら将来に渡って大きな戦力となってくれる。

 イースラにとって二人はちゃんと未来的な戦力になる仲間なのである。


「…………それで何を教えるつもりだ?」


 イースラの他に二人、という発言にウライノスの顔がひくつく。

 しかし、いちいち怒っていてはイースラとの会話が進まない。


「ルルエン様は蒼天剣を改良したのです。俺はそれを扱えます」


「改良……だと?」


「蒼天剣は始祖一代目が考案し、二代目と三代目が改善を加えました。四代目が魔力の運用に手を入れて、五代目に伝授される。そして現在の形が最高のものとして、師匠に受け継がれました」


 これはイースラがウライノスから聞いた話であるので、説明するまでもないだろう。


「ですが、ルルエン様はさらに蒼天剣を発展させられないかを考えていた。その結果、ルルエン様が改良した蒼天剣が生まれました。俺は……それをたまたま習得するに至ったのです」


「ルルエン師匠のことも聞きたいが……それは後なのだな?」


「はい」


「ズルいものだ」


 あたかも交渉しているかのようでウライノスにあまり選択肢がない。

 知りたいことがあまりに多く、それに比べてウライノスから提示できるものはない。


 脅したっていいのだけど、ゲウィル傭兵団に守られているイースラに手を出すことも簡単ではないことが分かっている。

 結局ウライノスが知りたいものを知るためには、イースラの交換条件に乗るしかないのだ。


「まだ迷いがあるようですね。じゃあ……どんなものかあげますよ」


「どんなものかだと?」


「ルルエン大師匠の改良した剣……見てみたくないですか?」


 色々言うが、ウライノスも武人だ。

 全ての迷いを吹き飛ばすのなら、最後は戦いに関する興味を引くのがいい。


「…………そうだな。納得できるものだったら全てを受け入れてやる」


「納得させてやりますよ」


 イースラはニヤリと笑う。

 裏切られる後とは少し性格が違う。


 それでもやはり回帰前のウライノスとの変わらぬところは見られる。

 回帰前に得られた奇縁を、今回はここで手に入れてみせるとイースラはやる気を燃やしていた。


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