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第10話好きって言えないから、遠回りした

【登場人物】

鈴音→主人公の背の高い可愛らしい女の子

楓→鈴音の同僚。スタイル抜群。

霜月→影屋敷の影武者候補の少年。橙次と仲が良い。中性的な美少年。

橙次→影屋敷の影武者候補の少年。霜月と仲が良い。背の高いがっしりしたイケメン。

香風→鈴音の大先輩。おっとりしている。

長月豪→香風の夫

 それから橙次は頻繁にやって来た。

 大体は鈴音の憎まれ口を聞きながら、いつものようにやり取りをしていた。


 楓は思うところがあったようだが、鈴音には何も聞かなかった。


 そうしているうちに、鈴音はだんだんといつもの調子を取り戻していく。


 進んで治療の記録を取ったり、縫合をしたいと香風に申し出ては驚かせることも増えた。


 弱音は吐いていられないのだ。


 そうして月日が流れ、鈴音は十八歳になった。

 治療・治癒室でも班長を任されるほどになっていた。


 病室の往診を終えて治療・治癒室に戻ってくると、部屋へ入る直前、視界の端に誰かの姿が映った。


 鈴音はそっと部屋の中から外をうかがう。


(霜月だ!)

 それだけで心が躍った。


 そこへ、楓の忠告がちらりと脳裏をよぎる。

(鈴音はすぐに突っ走るんだから、霜月さんと会っても変なやきもちを焼かせようとしないのよ!)


 でも、霜月がもっと自分を見てくれたらいいな、と思ってしまうのも本当だ。


 そんなことをぐるぐる考えながら、鈴音は霜月を呼んだ。


「霜月」


 霜月はこちらを見る。

 鈴音は胸が高鳴ったが、平然を装った。


「鈴音」


 霜月の仲間たちは皆若かった。


 昔の霜月のように、どこか初々しく見える。


「霜月の新しい仲間? 可愛い! これじゃあ黒うさぎじゃなくて、黒いぬの方が合いそうね」

「こっちは治療・治癒室の鈴音だ」


「私は鈴音。治癒、回復担当よ。よろしくね」


 鈴音は霜月を盗み見していた。


 もし自分が霜月の仲間に近づいて、やきもちを焼いてくれたなら。


 私にも可能性があるのかもしれない。


 けれど霜月は、そんな鈴音の思惑などつゆ知らず、新しい仲間を紹介した。


「僕の仲間の瞬、諒、瑛真だ」


 鈴音は、そう紹介された三人を順に見た。


 瞬は大きな体つきだが、無駄なく引き締まっている。体格の割に顔は小さく、きりっとした男らしい顔立ちだった。

忍なのだろう。

髪を高い位置で一つに結っているが、髪質が硬いのか三つに割れるように広がっている。


 諒は中性的な顔立ちの、小柄で可愛らしい男の子だった。瞬よりは短いが、白みの強い銀色の髪を高い位置で一つに結っている。


 瑛真は短い髪で、瞬よりは小柄だが体は締まっていて、いかにも少年らしい印象だった。


 三人の中でいちばん大人びて見えるのは瞬だった。


 そして鈴音は、瞬ににこっと笑って近づいた。


 すると霜月が鈴音と瞬に視線を向ける。

 その様子に、鈴音は少し満足する。


「あなたは私のタイプね。気に入っちゃった。ここで一緒に働かない?」


 鈴音は茶目っ気たっぷりに、今にも瞬にくっつきそうな距離で言った。


(ほら、やっぱり。他の子にこんなことを言っても平気だわ。やっぱり私は霜月のことが好きなんだ)


 瞬は顔を赤らめて一歩下がり、たじたじになりながら言った。


「俺は霜月さんのモノ……じゃなくて、霜月さんについていくんで無理です。それに、こういうの耐性なくて……」


(わあ、すごい反応だわ。霜月もこれくらい反応してくれないかなぁ)


「あら、耐性つけてみる?」


 鈴音がそう言って瞬の肩に手を回そうとした、そのとき。

 霜月が鈴音の前に割り込み、瞬を引き離した。


「鈴音、あまり瞬を困らせないで」


(霜月、近いわ! 嬉しい……)


 鈴音は口元が緩みそうになるのをなんとか抑え、平然を装う。


 そのまま上機嫌で霜月に言った。


「まあ、あなたの保護者っぷりはすごいわね。あなたが一番タイプなのに、一番そっけないんだもの。ちょっとくらいいいじゃない」


 “いちばんタイプ”と口にした自分に、鈴音は内心どきどきしていた。


 けれど、霜月の顔色は変わらない。


(ちぇっ、やっぱりやきもちはないか……)


 そのとき、諒が声をかけてきた。


「お姉さん」

「あら、あなたも可愛いわ。何かしら?」


 鈴音がにっこりして諒を見ると、諒は懐から何かを取り出した。

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