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公爵令嬢は、超ヘビー級ドラゴンライダー~スーパーデブドラゴンに跨り、力こそパワーで無双します  作者: 楊楊
第一章 学生編

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9/12

9 進級試験 3

 次の日、ドラゴンの試験が開始された。

 最初の種目は、アクロバット飛行だ。指定された技を行いながら、コースを制限時間内に攻略する。多分、この種目はデミドラは欠点を取るだろう。

 そう思っていたら、デミドラはなんと、参加もせずに棄権したのだ。


「デミドラ!!やるだけやろうとは思わないの?」


『無駄なことはしないのよ。後の二つで何とかすればいいんだからね。マレドーラもそうしろって言ってたし』


 これは戦略撤退というやつだろうか?



 続いての種目は飛行レースだ。レースが始まると、やはりデミドラは最後尾を飛んでいる。ただ、その表情に焦りの色はない。何とか最後尾の集団に食らいつきながら飛んでいる。ここまで来ればデミドラの考えていることは分かる。私と同じ作戦を使う気だ。デミドラは母竜のシュネールからもらった「風竜の加護」を持っていて、短時間であれば高速飛行が可能なのだ。

 私は確信した。この距離なら大丈夫だ。そして私は心の中で叫ぶ。


 今よ!!デミドラ!!行け!!


 私の言葉が通じたかどうかは分からないが、デイドラは全身に風を纏い、一気に最後尾の集団を抜き去ってゴールした。これで欠点は無くなり、私たちは進級できると思ったが、そうはならなかった。デミドラの急加速で最後尾集団の7体のドラゴンが吹き飛ばされ、棄権してしまったからだ。デミドラは妨害行為を取られて、失格となってしまった。結局、デミドラを含めて8体のドラゴンが欠点となった。


『実戦なら何を甘いことを言ってるのって話だけど、仕方ないわ。まあ次の種目は期待してよね』


 しかし次の地上走は、訓練中に1回も完走したことがない種目なんだけど・・・

 でもデミドラが自信たっぷりなのも分かるけどね。


 ★★★


 そしていよいよ、最終種目である地上走が始まった。

 地上走は草原で行われ、約2キロ先にあるゴールを目指して、地上を走る。ルールとしては飛行してはならないことと、他のドラゴンを妨害してはいけないこと以外は特に指定はない。なぜこんな競技があるのかというと飛行が得意ではないドラゴンの救済措置として始まったようだ。飛行が苦手でも、土竜のように陸戦で無類の強さを発揮するドラゴンもいる。そんなドラゴンたちに活躍の機会を与えるためだという。多種多様なドラゴンを用途によって使い分けるのが竜王国の伝統だ。

 ただ、デミドラのように走るのが大の苦手のドラゴンもいるんだけどね・・・


 一斉に他のドラゴンがスタートしたが、デミドラは動かない。でも私は心配していない。よく見るとデミドラは精神を集中させているようだった。そしてデミドラは地面を削り地中に潜った。「土竜の加護」のスキルを使って、地中を進むことにしたのだ。これなら走らなくていいし、それなりのスピードで進める。当然1位にはなれなかったが、それでも半分よりも上の順位になることができた。これで、なんとか欠点を2個までに抑えることに成功したのだった。



 休憩の後、最終順位が発表された。総合1位は何とグラース王子で、2位がスピラ、3位がエリザベート王女だった。私は欠点が2つあったものの、何とか10位という成績で終えることができた。詳しく成績を見ていくと、グラース王子は竜騎士部門の模擬戦の優勝、長距離走で3位、ドラゴン部門の地上走で優勝し、後の種目も卒なくこなしていた。ドラゴン部門の地上走では彼がドラゴンではなく、グリフォンに騎乗していたことが大きい。グリフォンは上半身が鷲、下半身が獅子なので、地上を走るだけならドラゴンよりも格段に速いのだ。


 そして2位に入ったスピラだが、目を引くのはドラゴン部門のアクロバット飛行と飛行レースで優勝したことだろう。彼女の相棒のゲイルは小型ですばしっこい。気弱で力は弱いが、こういった種目では無類の強さを発揮する。例年通りの騎乗戦闘の種目があれば、こうはいかなかっただろう。後の種目も努力の甲斐があって、上位に食い込んでいた。

 最後に3位に入ったエリザベート王女だが、すべての種目で上位に入っていたが、優勝はなかった。


 上位10人が表彰された後に欠点が3つあった者が発表された。すべてエリザベート王女の派閥で、6人が該当していた。後で聞いた話だが、エリザベート王女が助け船を出したそうで、補講と追試でその6人も進級できることになったそうだ。例年とは違う試験内容だったことを考慮してくれたようだった。


 全ての日程が終了したのだが、私たちはまだやることが残っていた。それは、進級パーティーだ。



 ★★★


 我が家に派閥のメンバーを集め、パーティ―を開始した。この日の為にデミドラの両親が中心となって食材を集め、料理人たちが腕によりをかけた料理を振舞う。それにドラゴン用の料理も用意しているので、竜騎士だけでなく、ドラゴンにも大好評だった。

 パーティー自体も大いに盛り上がってたいのだが、スピラが心配そうに声を掛けてきた。


「今回は私とゲイルに偶々有利な試験内容だったから好成績だったけど、今回のことで逆に反感を買って、いじめられないか心配だわ・・・ゲイルは臆病で戦闘力は低いから、騎乗戦なんかではボコボコにされそうで・・・」


「大丈夫よ。そうなったら私とデミドラが守ってあげるからね。騎乗戦だったら私たちに勝てる学生はいないからね」


「そ、そうね・・・そのときはお願いするわ。でも今年のカリキュラムは少しおかしい気がするのよ。例年のカリキュラムだったら、絶対に私が2位になんてなれなかったからね」


 それはそうだろう。例年であれば騎乗戦や弓術などがあるが、その種目があればスピラはもっと順位を落としたに違いない。


 そんな話をしていたところ、グレース王子もやって来た。


「僕もおかしいと思うよ。姉に聞いた話と全然違うんだ」


 グラース王子の話では、彼の姉であるサンドラ王女もグリフォンライダーで、竜王国の竜騎士学校に入校していたそうだ。


「姉に聞いた話だと、学生やドラゴンの長所を早い段階で見つけ、その長所を伸ばすような指導をしていたそうだ。姉もグリフォン部隊の効果的な部隊運用なんかの相談に乗ってもらったりしたそうだよ。そう考えると今期のカリキュラムは何か長所を消そうとしているようにしか思えない。それに僕が総合1位の成績を取ってしまって・・・エリザベート王女の立場もあるし・・・」


 国際情勢を考えれば、あまり良いことではない。


「それと姉が入校したときは、今期のように対立構造はなく、貴族も平民も仲が良かったそうだ。誰かが対立構造を煽っているのかと不安にもなるよ・・・」


 それは私も感じているところだ。でも、私たちだけでどうこうできる問題ではない。そこで私はとびきりの笑顔で言った。


「いろいろ問題はあるようだけど、今日はしっかり楽しんで食べましょう。料理はまだまだあるんですからね!!」


 難しいことを考えても仕方がない。今は目の前の料理に集中しよう。

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