カンナベル枢機卿からの相談 1
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リヒャルト様がゴジベリーの薬に「スカーレット」なんてとんでもない名前をつけようとするのを何とか阻止することに成功して、二日後の午後のことだった。
「旦那様、スカーレット様、お手紙が届いております」
今日はお休みのリヒャルト様とお昼ご飯を食べた後、ダイニングでお茶を飲みつつまったりしていると、ゲルルフさんがお手紙を持って来た。
「誰からだ?」
「それが、カンナベル枢機卿からでして……」
あ、結婚式に参列してくれるって言うお返事かな? でも、まだ招待状は出していないはずなんだけど……。
リヒャルト様が手紙の内容に目を通して、わたしに渡してくれる。
「カンナベル枢機卿が会いたいそうだ。できれば明後日か三日後、ここに来たいと書いてあるがどうする?」
「お会いしたいです!」
「わかった。ゲルルフ、明後日の午後を指定して返事を届けておいてほしい。午前中は用事がある」
「かしこまりました」
ゲルルフさんが一礼して去っていく。
「さて、スカーレット、茶菓子は何がいい?」
リヒャルト様が手紙を封筒におさめながら、ちょっと悪戯っぽい顔をして訊ねた。
「お菓子ですか! ええっと、お菓子は……」
うぅ、好きなものがありすぎて迷う。
最近のお気に入りはサクサクのシュークリームだけど、あれはリヒャルト様がよく買ってきてくれるし……うぅむ。
クリームたっぷりのケーキも食べたいし、プリンも美味しいし、フルーツタルトも捨てがたい。さっぱりした紅茶にはフィナンシェもよく合うし、クッキーはお茶うけとして食べやすくていいよね。ああでも、今は暑いから、ゼリーも冷たくてつるんとしてていいかも。
……うぐぐぐぐ……。
わたしが真剣な顔をして唸っていると、リヒャルト様が笑い出す。
「悩んでいるスカーレットに提案なんだが、今日は一日予定があいている。外は少し暑いが、茶菓子選びに街を散策するのも楽しそうだと思わないか」
「とっても楽しそうでいいと思います!」
さすがリヒャルト様! 素敵なことを思いつくね!
「では一時間後に玄関で待っている」
「はい!」
ベティーナさんに連れられて、わたしは支度をするために二階に上がる。
……リヒャルト様とお出かけだって! やったね!
ベティーナさんがクローゼットから、さらっとした肌触りの薄手のドレスを出してくれる。
水色のそのドレスは、もちろんコルセット不要の、ウエストを締めないタイプのものだ。
暑いから髪をアップにまとめてくれて、ドレスと同系色の水色のリボンで飾ってくれる。
「日傘はこちらにしましょう」
ベティーナさんが取り出した白い日傘は、傘の縁にレースがついている可愛らしいものだ。可愛いものが大好きなベティーナさんが二週間ほど前に買っていたものである。
靴は歩きやすくて皮より涼しい布製のもので、こちらはスカイブルー。全体的に涼しそうな色でまとめられた。
ベティーナさんに支度をしてもらって一時間後、玄関に降りると、ラフな格好をしたリヒャルト様が立っていた。夏は暑いから、リヒャルト様も薄着をしたいみたい。
……リヒャルト様が半袖のシャツを着るのはなんか新鮮!
学園では騎士科だったと言うだけあって、リヒャルト様の腕はちょっと固そう。騎士さんたちみたいに太くはないんだけど、わたしのふにふにの腕とは全然違う。
「スカーレットはそろそろ小腹がすく頃だろう? 最初はケーキ屋にするか?」
「はい!」
さすがリヒャルト様、わたしのお腹事情をよくわかっていらっしゃる!
わたしはスキップしたくなるのを我慢して、リヒャルト様と一緒に馬車に乗り込んだ。







