シーホルン子爵家の少女
祖父フェリックスが戻ってきて、エレナリーゼとクラーテルは広間に呼ばれていた。
フェリックスは、エレナリーゼが病に倒れる中突然消えるようにいなくなってしまった。フェリックスがいればアグリッピーナ派の横槍をもっと簡単に回避できたかもしれない。そう思うと少し嫌な感情がにじみ出てくるが、何かエレナリーゼより優先することがあったのだろう。そこまで考えて、クラーテルはこの件に関しては終わったことだと頭を振る。
クラーテルは正装をさせられていた。夏ということもあり白い麻でできたスーツの上下。襟元にはクルスヌイルナ家を表す真紅の月のピンブローチがついている。金で出来たチェーンが少し重たいし邪魔ではあったがクルスヌイルナの一員としてつけないわけにはいかなかった。
そして同時にクラーテルはこの世界の貴族の服装が意外と近代的なセンスを持ち合わせていることに安堵していた。最初はチュニックにタイツを履かされるかと思っていたのだ。
母エレナリーゼも正装をしていた。ミュースによって痩せ、体重が減っているため少し着付けに戸惑っていたが、薄緑のドレスを着ていた。手袋も全て黄緑から緑の色彩で統一されており、クラーテルと揃いの紅いブローチだけが胸元で静かに、しかし確かにその存在を主張している。そんな、清楚な母らしい格好にクラーテルは満足して褒める。
「とても綺麗ですよ母さま。大樹の女神ダラフティン様のようです」
エレナリーゼを褒めると、まぁ、と口元に手をやりコロコロと笑う。
「クラーテルにはそういうのはまだ早いんじゃないかしら。でも、ありがとう。クラーテルもかっこいいわよ」
そう言って優しく頭を撫でてくれる。少し痩せたということもあり、本当に森から出てきた森の妖精のような儚さがある母の手をクラーテルは掴む。
「行きましょう、母さま」
はいはい。と頷き母と広間を目指す。
だが、広間に近づくと、武装したクルスヌイルナ家の騎士たちが立っている。甲冑まで着込んでの完全武装ではないが、皆が帯剣し立っている様は物々しい雰囲気を醸し出していた。
クラーテルはその中、母の手を離さないようにゆっくりと進んでいく。エレナリーゼも物々しい雰囲気に何があったかと目配せをしていた。
騎士たちがいる廊下を通り過ぎ、ようやくクラーテルとエレナリーゼは広間に入る。
だが、その広間も部屋の端には武装した騎士が多数配置されており、柔らかい空気はどこにもなかった。部屋の中央の方ではフェリックスやカミニ、ソスランとその家族、そして幾人かの騎士とその中に見慣れない少女が立っていた。
「クラーテルたちも来たか。エレナリーゼも体調が回復したようで何より」
クラーテルたちも中央に向かい、フェリックスに一礼をする。フェリックスの言葉に「薬代を出さなかったくせに」と少しクラーテルは捻くれるが、それを飲み込む。
「はい、おかげさまで。ご心配をおかけいたしました」
そう言って母が恭しく礼をする。クラーテルも倣って礼をするが、見慣れない女の子が気になった。
細く白い肩が出された白いドレスを来た柔らかい水色の髪の少女。歳はクラーテルよりだいぶ上で、ウラガンと同じ12歳か、男女の二次成長期に入る差を考えると僅かに少女のほうが年下位だとあたりをつける。
「あとはアグリッピーナとウラガンですね」
「まったく、最後に登場とは良いご身分だ」
カミニの一言にフェリックスが眉をひそめる。ウラガンは別としてアグリッピーナが一番身分が低いのだ。だというのに、一番最後に登場する。流石に眉をひそめられる行為だった。
「やっほー、クラーテル」
ソスランの娘、従姉のリタだった。クラーテルより2つ年上の7歳であるはずだが、両親に似ずどこかのんびりとした少女だった。
のんびりしているから愚鈍かといえばそんなことはなく、人が言いたいことを察して動いていたりする。クラーテルとは茶飲み友達という面が強かった。
「リタ、みんないるのにそれはまずいだろう……」
やっほーなどと間延びした挨拶をしてくるリタに一応注意する。普通なら立場が逆でクラーテルが注意されるのが普通だろう。だがリタは気にした様子がない。クラーテルはいつもの調子である従妹の態度を諦め、リタの服装に目をやる。正体不明の少女ほどではないが薄い橙を基調とした可愛らしいものだった。
「うん、リタらしくて可愛いね。叔母様が選んでくれたの?」
「うん、色々考えてたらあんたはこれって着させられたんだー」
賢明な判断だっただろう。リタが自分で選んでいたらまだまだここに到着できていない気がする。
そんな会話をしているとようやくアグリッピーナとウラガンが広間に姿を現す。
そして、アグリッピーナの姿にクラーテルは驚く。黒い豪奢なフリルが何段にもあしらわれているワンピースドレス。肩にも豪華な鳥の羽で飾られている。正妻であるエレナリーゼが昨夜知らされたばかりの急な呼び出しということもあり正装とはいえ決して豪奢なものではないのに、それを差し置いてのその姿は自分こそが実質的な正妻だと主張していた。
一瞬クラーテルは眉をひそめるが、頭をふり眉間を揉む。そんなことで張り合ってもしかたがないと。クラーテル自身、母のエメラルドグリーンのドレスのほうが清楚で好みだ。いちいち眉をひそめても仕方がない。
祖父も一番遅いアグリッピーナのその姿に軽くため息が漏れているのが見える。
他にもそう思っている者達が居るのだろうが、流石に誰も口に出せるものは居ない。
「すごいねーラティ」
傍らのリタがアグリッピーナの服装を見てそんな感想を漏らす。それは、皆の意見をある意味集約した一言である。
「まぁ、うん」
その服装の見事さを凄いと褒めているのか、それともそんな格好を正妻を差し置いて皆を待たせてまで出来る面の皮の厚さが凄いと貶しているのか。どちらとも取れる言い方であったのでクラーテルも曖昧に頷くことしか出来ない。
まだ何かをリタが何かを話そうとした時、広間の扉が重々しく閉じられ父の声が響く。
「まずは、急な召集にも関わらずご苦労」
その声を合図としてピタリと話し声は止み、リタも父母の下へと普段に比べて早足で戻っていく。
「今回しばらく貴族間の交流と修行ということでシーホルム子爵領からやってきたスニェーク=シーホルム様だ」
父の紹介でクラーテルは今進み出て一礼している少女が何なのかわかった。"人質"だ。
祖父が突然消えて帰ってきた時に連れられている貴族の子女。若しくは託されたという可能性もあるが、隣地であるシーホルム子爵領で何かあったという話を聞いた覚えはなかった。
歴史書などでも妻や子が人質になるということを読んだことは何度もある。決して珍しいものではなく、必要なものでもある。
だが、クラーテルは同情する。スニェークという少女は気丈にも挨拶をしているが、幼き身でありながら親元から離され、僅かな供回りだけでこの地にきたのだ。
せめて、優しくしてやろう。そう思った。
「生命滾る夏の季節にお目にかかれることを神に感謝致します。今、クルスヌイルナ伯爵様よりご紹介にあずかりました、スニェーク=シーホルムです」
気丈に振舞っているのだろうが、その体が緊張でこわばっているのがわかる。声も少し上ずり気味だが、それでもきちんと一礼ができていた。
「祖母が生まれ育ったこの地で様々学べることを嬉しく、また楽しみに思っています。3年の間どうぞ、よしなにお願い致します」
深々と頭を垂れるスニェーク。生まれが貴族であるから仕方がないが、この人数の前で代表として挨拶をするのは大変だろう。緊張で細い肩が震えていてもおかしくないだろうに、耐えている。
「この出会いに祝福を。スニェーク=シーホルムとの出会いを神に感謝する」
そう言ってカミニが返礼をする。その後は共にやってきた護衛やら供回りやらが挨拶をするが、それは皆外に出されるものだけあってそつのないものだった。
形式張った挨拶も終わり、互いの友好をと自由時間が設けられていた。
「クラーテル、スニェーク様にご挨拶に行きましょうか?」
「はい、遠き地よりいらっしゃった身。心細くいらっしゃるでしょうから」
母に言われるまでもなかったが、優しい母で良かったとクラーテルは笑顔で返事をしてスニェークの元へと向かうのだった。
スニェークは緊張していた。当然だった。もう12歳となるが、それでも伯爵領に代表、そして人質として赴いたのだ。緊張しないわけがない。
そこに2人の男女が挨拶に来る。歳の差からして親子、そしてその豪奢な様は正妻エレナリーゼとその子どもクラーテルと当たりをつける。
「初めまして、スニェーク=シーホルン様。私の名前はウラガン=クルスヌイルナ。クルスヌイルナ伯カミニの第一子で、後継です」
「初めまして、ウラガン=クルスヌイルナ様。シーホルン子爵家より参りましたスニェークともうします。3年の間お世話になります」
無難に頭を下げるが、正妻の子はクラーテルだと大叔父であるフェリックスより聞いていたが記憶違いかと内心首を傾げる。
「初めまして、スニェーク=シーホルン様。私の名前はアグリッピーナ=クルスヌイルナ。クルスヌイルナ伯カミニの第二夫人でございます」
ついで礼をする女性に驚いた。この豪奢な様で第二夫人というのだ。他に女性は居たが、彼女ほど豪奢なドレスを身にまとっている女性は他に居ない。
内心の驚きを押し隠し、ウラガンにしたのと同じように無難な挨拶をする。
「初めまして、アグリッピーナ=クルスヌイルナ様。シーホルン子爵家より参りましたスニェークともうします。3年の間お世話になります」
恭しくお辞儀しながら、アグリッピーナの真意を理解する。正当後継を抱える側室が正室を排除しようとしていると。
それは次のアグリッピーナの一言で確信に至る。
「私の旧姓はニースキイで、今回のことで何かお悩み事がございましたら女同士ですし、お気軽にご相談くださいませ」
笑顔で発せられたアグリッピーナの一言。ニースキイ伯は今回の3同盟の一家だ。家どうしの結びつきも強くあるのだろう。
「はい、何分小領地の田舎者。わからぬことも多々あるかと思います。アグリッピーナ様にはよろしくお引き立ていただければと存じます」
今は情勢も何もわからない。だが、へりくだって礼を尽くす以外にない。そう、スニェークは判断した。
「いえいえ、今回私たちは同士ですわ。今後共よろしくお願い致しますわね」
その後も少し世間話をすると2人は去っていく。ウラガンとの挨拶だったはずなのに、残るのはアグリッピーナの印象ばかりだった。
その後やってきたのは細身の清楚な、泣きぼくろが目立つ綺麗な女性と自分よりだいぶ年下の、7歳になるスニェークの弟よりおそらく年下の少年だった。
「草木の緑も深くなる、生命滾る夏の季節にスニェーク様に出会えましたことを神に感謝を。私はクスルヌイルナ伯、カミニ=クルスヌイルナが第二子クラーテル=クルスヌイルナともうします」
そういって丁寧にお辞儀をしてきた。それにスニェークは一瞬反応が遅れる。ここまでいきなり丁寧に挨拶をされると思っていなかった。しかも、年下の少年に。
「は、初めまして、クラーテル=クルスヌイルナ様。シーホルン子爵家より参りましたスニェークともうします。3年の間どうかよろしくお願いいたします」
慌てたこともあり声が上ずってしまう。年下の少年相手に何をやっているのだと心のなかで頭を抱える。
いま挨拶したクラーテルも焦った自分を見て少し困った顔をしているではないか。どう誤魔化そうかと考えていると女性が一歩進み出て名乗る。
「サングマが本格的に力を増す頃となり、この生命が力を増す季節にスニェーク様に出会えましたことを神に感謝を。私の名前はエレナリーゼ=クルスヌイルナ。クルスヌイルナ伯カミニの第一夫人でございます」
先ほどのアグリッピーナとは随分と雰囲気が違う人だと感じた。優しげで、物腰も柔らかだ。先ほどのアグリッピーナからは申し訳ないが肉食獣めいた何かを感じた。だが、エレナリーゼからは穏やかな空気を感じた。
「3年という間ですがどうかよろしくお願いいたします。緊張せずともシーホルン家は叔母様が嫁がれた家。私達とも血を分けておられるのです。どうか我が家と思いおくつろぎください」
大叔父であるフェリックスにも言われた一言。血を分けているのだから心穏やかにと。
「初めまして、エレナリーゼ=クルスヌイルナ様。シーホルン子爵家より参りましたスニェークともうします。3年の間どうかよろしくお願いいたします」
こちらも頭を下げる。先ほどの緊張が少しは解れた気がした。
「クラーテル様は、幼いのに賢くいらっしゃるのですね」
先ほどの挨拶は仕込まれていても動作も綺麗だった。着ている白い背広も服に着られているという風情ではない。
「ありがとうございます。スニェーク様。スニェーク様も素晴らしい挨拶でしたよ。知恵の神ハティクリに愛されておられるのですね」
笑顔でクラーテルはそう返してきた。今度こそスニェークは固まる。要約すればありがとうだが、なんて返していいか悩んでしまう。これに対してただありがとうではと、考えるがいい言葉が思いつかない。
「あ、ありがとうございます」
結局出てきたのは無難すぎる返答だ。恥ずかしいという思いがこみ上げてくる。目の前のクラーテルもどうしたのだろう、と首をかしげている。
「まぁまぁ、クラーテルはどこでそんな言葉を覚えてきたのかしら」
そこで、エレナリーゼがクスクスと笑う。まるでこの言葉に対する返答など知らなくても大丈夫だと言うかのように。
そこでクラーテルも自分の失態に気づいたのかバツの悪そうな顔をする。
「あまり、大人が居てはスニェーク様も緊張なさるでしょうし、私はこれで失礼致しますわ。よろしければ今暫く、クラーテルの話し相手になってあげていただけませんか?」
まだ挨拶をしなければならない人もいるが、時間はあった。それに、大人とばかりでは緊張するだろうと言うエレナリーゼの気遣いを感じ、スニェークはこちらこそ、よろしければと頭を下げる。
「それじゃあクラーテル、スニェーク様をあまり困らせたりしないようにね」
そう言い残しエレナリーゼは立ち去る。
若干の沈黙。互いに次の一言を探しているのだろう。年上なのだし自分が何かを言わなければ、そうスニェークが考えていた時、クラーテルが先に口を開いた。
「スニェーク様はお美しいですね。白雪のような肌に、その白雪が解けて流れたようなきれいで柔らかな水色髪。そして、そこに咲き誇り1輪の花飾り。とてもお似合いです」
まるで歯が浮くような褒め言葉。この子はいったい何歳なのだろうか。そう思うと同時に褒められて悪い気はしなかった。さらに、クラーテルは両親が別れ際に贈ってくれた髪飾りをほめてくれた。
「この髪飾り、似合っていますか?」
声が弾んでしまう。領地を離れて寂しくなった時何度も見つめたこの髪飾り。それを似合っているとほめてもらえたのだ。嬉しくないわけがない。
「えぇ、とてもお似合いです」
満面の笑顔でクラーテルが答えてくれると、こちらも釣られて笑ってしまう。
「ありがとうございます、クラーテル様。クラーテル様もかっこいいですよ」
「ありがとうございます。スニェーク様に褒めていただけて嬉しいです」
ほめ返しても何でもないかのようにさらっと流すクラーテルはやはり年下の男の子には感じられない。むしろ、こちらが笑ってくれて良かったという空気だ。
「大人ばかりで、少々息苦しかったのでスニェーク様のような綺麗なお方とお話出来て嬉しいです」
「まぁ、クラーテル様ったら」
肩をすくめるクラーテルの仕草に軽く笑ってしまう。弟に近い、年下の男の子ということもあり、緊張がだいぶほぐれていた。
両親のことや、おつきのものの話し、兄弟の話し、クラーテルはそんなスニェークの話を良く聞いてくれた。
だが、そんな風に話している内に両親や家族との別れを思い出し、緊張の糸が切れていたのもあって感極まり涙が零れそうになってしまった。
「どうぞ、お使いくださいスニェーク様」
「ありがとうございます」
即座にクラーテルが白いハンカチを貸してくれる。今涙を見られるわけにはいかない。こちらに来て嬉しく思うと言いながらも故郷を思って泣いているなどわかればクルスヌイルナ領の人間はいい顔をしないし、シーホルンの人間はそんなことで泣くと言われるはめになる。
礼を言いながらすぐに零れ落ちそうなそれを拭き取ると、ハンカチからりんごのような甘い、いい香りがした。
「あら?これは、随分と良い香りがいたしますね」
「えぇ、花のように可憐で美しいスニェーク様にはお似合いでしょう?」
クラーテルはそう言って微笑んでくる。何でもないかのようなその様にスニェークはこちらのほうが照れくさくなる。自分と変わらないと言われても頷ける、先ほどのウラガンより年上にすら感じるのだ。
「まぁ、本当にクラーテル様はお上手ね」
思わずクスクスと笑ってしまう。
「スニェーク様、よろしければ気軽にラティとお呼びください。スニェーク様のほうが年上でいらっしゃいますし、そう呼んでいただけたほうが私としても気が楽です」
こちらが笑って緊張がほぐれているのがわかったのか、クラーテルがそう言ってくれる。
「それじゃあ、ラティって呼ばせてもらいますね。その、ラティも私のことをスーニャと呼んでいいですよ?」
「わかりました。それでは、スーニャと呼ばせていただきますね」
お互いに愛称で呼び合おうと言って微笑む。心細いと思っていたが、それが少し和らぎ、温かい何かが心に生まれる。
「こら、クラーテル。スニェーク様に何をしていた」
そこでウラガンがやってきてクラーテルの腕を掴む。おそらく先ほど、ハンカチを借りた件だろう。
スニェークはなんと説明したものかと考えながらクラーテルを見ると、スニェークに大丈夫、というかのように手を振る。
「申し訳ございませんでした、スニェーク様。私が心なく田舎者の子爵の娘であろうなど、無礼を働き」
そう言って神妙な顔をして頭を下げたのだ。一瞬ポカンと固まってしまうが、その意味を理解する。自分のためにクラーテルは泥をかぶってくれるということだろう。失礼なことを言われ、遠い故郷を思いつい感情が昂ったと言えばまだいい訳が立つ。
「お前はっ、申し訳ございませんスニェーク様。愚弟が無礼を働きました」
ウラガンが自分のことのように頭を下げる。それが本当は嘘であるがそれを教えてしまってはクラーテルの心遣いを無にしてしまう。
「申し訳ございませんでした。故郷を離れ、せっかく友好と交流のためにクルスヌイルナ領に来ていただきましたのに、とんどご無礼を」
「あ、いえ、その……だ、大丈夫です」
どうしたら良いかと考え、結局クラーテルの好意に甘える結果となった。
「お前は何を笑っているんだ」
こちらが少し慌てているのを見て微笑んでいたクラーテルはウラガンに再び怒られる。謝罪を懸命にしている最中に笑っていれば注意するのは当然といえば当然でウラガンが正しい。
「いいのです、ウラガン様。ラテ……クラーテル様も幼いのです。私がその言葉を真に受けてしまったことが問題なのですから」
「これ以上スニェーク様のご迷惑になるわけにも行かないでしょう。クラーテル、お前はエレナリーゼ様のところに戻れ」
大上段からの物言いで、クラーテルに命令することになれているのがわかる。クラーテルも素直にわかりました、と言ってスニェークに向き直る。
「それでは、スニェーク様。失礼させていただきます。サングマが強い力を発揮するこれからの時期、旅の疲れもおありでしょうからどうぞお体をおいといください」
そう言って一礼をして身を翻す。
「ありがとうございます。クラーテル様も、どうかお体を大事にしてください」
先程より柔らかく笑える自分がいることに気づき、クラーテルがいて良かったと思うのだった。
なんとか本日投稿にこぎつけました。
やっと母さまと側室と侍女以外の女性を出せたことに若干満足。
投稿について、長い時は分割して投稿することもあるかもしれませんがあまり短く上げるのも一応戦記モノなので(戦記パートへ突入してませんが)良くないかなと現在思っています。大体短くとも4,000字前後での投稿を考えています。




