決意
あの後笑い出した侯爵に続き伯爵やご婦人方、侯爵嫡男の苦笑による微妙な空気の中晩さん会は終了した。
結局侯爵様からの提案で今夜は侯爵家にお泊りする事になった。そして一旦私たち3人は翌日家に戻って残りの家族にも説明した上で改めて私だけがまず侯爵家に2週間お世話になる事になった為、留守番組へは急な宿泊について侯爵家から家に使いを出してくれるようだ。
流石にあのまま誰も帰って来ないと家で待ってるメンバーは気が気じゃないだろうしね。
その後は至福のバス&エステタイムだった。
我が家は火魔法と水魔法の使い手がいるから毎日お風呂に入れるんだけど、貴族の屋敷のお風呂は別物でした
イメージは高級スパ!広いし綺麗だしアメニティ系が豪華。この世界一般の家にはシャンプーはあってもトリートメントみたいな贅沢品はないし石鹸だって香りが全然違う。
しかもお風呂上がりにはメイドさんのマッサージ付き!
これが本当に極上エステティシャンの手技って感じで最高だった。
前世で月に1度の癒しとして通ってたエステより上手いような気がするんだけどそこまで前世の事ちゃんと覚えてないから確証はないけどね。
夜着に着替えてお部屋に準備されたお風呂上がりの飲み物を飲んですっかり寛いでたら両親が部屋を訪ねてくれた。もちろん、夜着も下着も全部侯爵家から提供された最上級品と思しき手触り抜群、前世でも着たことないようなおしゃれな品で、それはやっぱり両親も同様だった。
会食中の私のプレゼンタイムにビックリしてた両親は相変わらず心配そうではありつつも、私なら大丈夫かもと思ったらしい。
「大人びてるとは思ってたけどあそこまで度胸があるとは思ってなかったわ。でもあまり生意気な態度ばかり取って敵を作らないか心配なの」
そう言いながら優しく私の髪を撫でる母さんを見る。
父さんも何かあったらすぐに家に知らせるようにと言ってくれた。
「なんかこのままお別れしちゃうみたいじゃない」
軽口で場を和まそうとしたのに完全逆効果で一気に湿っぽい空気になったのに慌てて続ける。
「ごめん。冗談だから。明日は一緒に家に帰るんだからそんな顔しないで!」
自分で思う程覚悟できてなかったんだなって気づいたけど、もう後戻りは出来ない以上進むしかなかった。