伝説のエピローグ
「――そしてエルムさんは幸せに暮らしましたとさ、めでたしめでたし」
私は、おばあちゃんが絵本を読んでくれるのが好きだ。
今日も大好きな『伝説の竜装騎士と優しい邪竜』を読んでくれた。
とっても強くてやさしい二人が、たいへんな世界で人々を救っていくお話だ。
「ねぇ、おばあちゃん。いつも気になってたんだけど、一緒だよね?」
「ん~? 何がですか~?」
「エルムおじいちゃんと、ウリコおばあちゃんと名前が一緒」
「ぶほっ!?」
いきなりおばあちゃんが噴き出してしまった。
寝室で寝る前に絵本を読んでくれていたというのに、何か急に図星を突かれたようにテンションがおかしい。
「そ、そんなわけないじゃないですか~……。伝説、そう、なんたって伝説なんですから!」
おじいちゃんはともかく、おばあちゃんの天然っぷりを見たら、たしかに伝説っぽくはない。
「もう私も歳なんだから、そういうビックリさせるようなことは言わないの」
「は~い」
おばあちゃんはいつも元気だけど、おじいちゃんのことが話題に出ると少しだけ悲しそうにする。
それはおばあちゃんが若い頃に、おじいちゃんがどこかへ行ってしまって行方不明だから……らしい。
私もおじいちゃんとは会ったことがない。
「さてと、もう寝なさいな」
「今日って、おばあちゃんとおじいちゃんの二人の記念日なんでしょ? もしかしたら、戻ってくるかもしれないよ」
「エルムさんと出会った日で、結婚した日。でも、もう何十年も戻ってきてないですからねぇ……そんな急には――」
またおばあちゃんは寂しそうな顔をしているけど、私は違う場所を見ていた。
窓の外、白い竜の翼らしきものが一瞬見えたのだ。
直後、家のドアをノックする音が聞こえる。
「こんな時間に誰ですかねぇ」
おばあちゃんは信じていたのだろう、それでも少しだけ期待する嬉しそうな表情をしながら玄関へと向かって行く。
私も部屋から、そっと玄関の方を覗いてみる。
玄関のドアを開けると、そこには白銀の鎧を着た黒髪の青年がいた。
「ただいま、ウリコ」
「おかえりなさい、エルムさん」
――そして、伝説の竜装騎士は田舎で普通に……普通ではないかもしれないけど、幸せに暮らしましたとさ。めでたし、めでたし。
というわけで、エルムとウリコの物語は終わりとなります!
一話目の投稿日が2018年06月14日なので、かなりかかっちゃいましたね。
正直、デビュー作なので終わらせるか悩んだことも二桁くらいはありました。
でも、もう休ませてあげるのもいいかなと。
私も作家として、もうなろうではランキングで戦えなくなってきたので、そろそろ筆を置くかもしれません。
気分的にラストチャンスということで新連載を投降しました。
ここまでお付き合い頂いた読者さんだけにわかる、ちょっとしたサービスがある作品となっているので、読みに来て頂けると嬉しいです。
もちろん、面白かったら粘り強く完結させたご祝儀としてブクマやポイントをお願いしたいです!
【タイトル】
『モンスターを鎧にする仕事 ~魔力ゼロの役立たずと追放されたけど、趣味全開でオタク装備をクラフトして気ままに暮らしていたら異世界の常識を破壊し始めた件~』
https://ncode.syosetu.com/n5346lw/
【あらすじ】
模型雑誌ライターのイストは異世界召喚されてしまった。
どうやらレアな存在らしく期待されていたが、スキルも魔力も無いことが判明した途端に手の平返しで追放されてしまったのだ。
しかし、イストは手先の器用さでモンスター素材から防具を作る楽しさに目覚める。
実はその防具は、この世界では異質なほどに強く、その噂を聞いた国中がイストを探し始めるのだった。
そんなことは気にせず、今日もイストは山奥でマイペースで好き勝手にモンスター防具を作っていく。
今日は最速無敵のビキニアーマー? 異形複眼の魔術師ローブ? 鋼鉄射手のプリンセスドレス?
いつの間にか周りの冒険者たちが最強になっていくのだが……?





