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【番外編】幸せだよ side:ハイネ

 目を覚ませば隣にギルバートがいる。


「……ふへへ」


 そしてじっと見つめて、僕は目を閉じる。ギルバートに起こして貰いたいから。






「ハイネ、起きろー」


 ギルバートはとても世話焼きだ。僕の膝を曲げて、体を横に向けると僕をベッドに座らせるように上体を起こしてくれる。

 まだ眠くてゆらゆら揺れてると足の間に足を入れられ、僕はギルバートに寄りかかる。

 メイド達は僕を起こすとき、カーテンを開けていたな。

 僕は太陽の光が嫌いだった。だって、光があったって誰も助けてくれなかったから。それに、暗い方が心が落ち着く。


「ハイネー、ほら、手をくれよー」


 ささっと丁寧に寝着を取られ、新しい服を着せてくれる。

 僕はもう、ギルバートなしじゃ生きられない。でも、なんだろ甘やかされ過ぎて、何も出来ない人間になりそう。


「……ギルバートって僕を甘やかし過ぎじゃない?」


「そうかなー、俺、これが好きなんだよ」


 本当に楽しそうにやるもんだから、僕も強く言えない。

 ギルバートは本当に変わった。







「なんだ、これは。不味すぎる」


 僕は嫁いで初めて出された食事の味の薄さに驚いた。

 この味に何も思っていないのか、黙々と食べるその姿にも驚いた。

 まだ僕の家の方が美味しいぞこれ。


「お口に合いませんか?」


 合う合わないじゃない。お前達は何も思わないのか。ここもやはり一緒だ。

 僕は皿をひっくり返した。


「こんなゴミ、食べれるか」


 ギルバートをちらり、と見た。

 無視だと。ふざけるな。まるで僕をいない者として扱っているじゃないか。

 酷すぎる。

 絶対、嫌いになってやる!





「ハイネ、これうまいぞ」


 今じゃこれだもんな。

 僕はベッドに座らされて、一口サイズにちぎられたチーズが練り込まれたパンを食べる。

 あの冷たかったギルバートはどこにいったんだか。懐かしいなぁ。それに僕はやっぱり嫌いになれなくて、こっちを向いて欲しくて頑張ったんだよなぁ。

 今考えれば逆効果だったってわかるのに。


「ハイネ?どうした?」


 心配そうな顔をして僕の頬に触れる手は温かい。

 時々思う。またギルバートに冷たくされたらどうしようって。

 きっと耐えられない。

 僕は大きくて、少し豆がある手に擦り寄る。

 好きだよ、ギルバート。ずっと側にいて欲しい。ずっと僕を見ていて。


「……幸せだなぁって」


「不安になったら、ちゃんと言えよ」


「うん」


 ギルバートは優しく僕の頬を撫でる。

 優しく頬に口付けを落としてくれる。幸せだ。



「ギルバート、大好き」



 ありがとう、ギルバート。


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