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小説女優《ノベルアクトレス》~あたしは小説を演じて、小悪魔先パイに分からされちゃう???~  作者: 夕姫


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78. 相思

 78. 相思




 文化祭前日。今日は授業がお休みだ。クラスメイト全員で明日の準備をする。『貴族喫茶』だから内装や小物も凝るらしい。調理係もクッキーなどを今日中に準備することになっている。で、あたしは何をしているかと言うと……。


「いっ……いら…いらっしゃいませ!ご主人様!」


「新堂さん。やり直し。」


「厳しくない!?一ノ瀬さん!」


「いえ。男子はまぁいいでしょう。麻宮さんと新堂さんは明らかに固いです。その中でも新堂さんは特に。水瀬さんや日下部さんを見習ってください。」


 うぅ……そう言われても……。


 今から1時間前。


 明日の接客係の女子全員がメイド服に着替えた。ちなみに男子は執事の格好である。みんな似合ってて可愛いなぁ。


 そんなことを思いながら自分のメイド姿を見てみると、意外にも可愛かった。というよりめちゃくちゃ似合っていたのだ。この前も見たけど……。


 あたしは元々身長が低い方なので背が低く見えるし、髪の色が黒に近い茶色のせいもあって余計に幼さが増している気がする。それに顔も童顔っぽいので、自分で言うのもなんだがかなり完成度が高いと思う。結愛先パイが我慢できなくなるだけはある……はず。


 そんなこんなで接客の練習が始まったのだけど……。あたしとサキちゃんはこういうの苦手だから……。他のみんなみたいにはいかないよぉ……。


 とりあえず一度休憩にする。あたしは意味もなく屋上に行く。あー風が気持ちいい。じゃなくて、もうどうすればいいのかわかんない!あたしがそんなことを考えていると衣吹ちゃんがやってきて声をかけてくれる。


「ここにいたんだ。ねぇ凛花ちゃん。この前のスピーチのほうが緊張したでしょ?気楽にやれば大丈夫だよ。」


「ありがとう衣吹ちゃん。でもこの前は結愛先パイが見えてたから……。」


「……のろけですか?心配して損しちゃった。」


「えぇっ!?ち、違うよぉ!」


 衣吹ちゃんはジト目で意地悪くあたしに言う。最近衣吹ちゃんも結愛先パイに似てきたな……。


「冗談だよ。凛花ちゃん。それなら小説のメイドさんの登場人物になりきってやってみたら?そういうの得意でしょ?」


「確かに……それならできる気がする!メイドさんで可愛い登場人物……。」


 ん~……。やってみるか。あたしは深呼吸をして心を落ち着かせる。そしてゆっくりと喋り始める。


「あー。……いらっしゃいませご主人様。今日はずいぶんお疲れのようですね?私で癒されてください……どうかな?」


 するといきなり衣吹ちゃんがあたしに抱きついてくる。温かくて柔らかい。しかも甘いいい匂いがする。


「ちょっ!衣吹ちゃん!?」


「癒される!凛花ちゃん……私のこと誘って悪いメイドさんだ」


 ……なんか結愛先パイと同じこと言われたんだけど。誘ってないよあたし。屋上だから誰も来ないと思うけど少しドキドキしちゃう。


「あの衣吹ちゃん。そろそろ」


「あっごめん。久しぶりの凛花ちゃんだからつい。でも充電できたよありがとう」


 そう言って離れていく衣吹ちゃん。ちょっと寂しいかも……なんて思ったら結愛先パイに何されるかわからないから考えないようにしよう。


「でもなんかすごいね凛花ちゃん。セリフまで完璧だったよ。」


 ふぅ……。これでいいのかよくわからないけどなんとかなりそうだよね。あたしはそのまま教室に戻り接客の練習を行った。


 結局そのあと、練習が終わった時には夕方になっていた。サキちゃんと一緒に帰ることにする。


「明日本番かぁ……。緊張するなぁ。」


「いや凛花は最後誰よりも出来てたような気がするけど?」


「そっそう?それなら良かった。」


「明日の当番なんだけどさ、凛花二回入ってるけど良かったの?ほとんど文化祭見て回れないけど?」


「うん。特に見たいものないしさ。メイド服可愛いし。だから気にしなくて平気だよ。」


 本当は見て回りたいけど……結愛先パイいないし。みんなと回るのも楽しいと思うけど、やっぱりあたしは結愛先パイと回りたかったって思っちゃうと思うし。それなら最初から回らないほうがいいよね。


 そしてサキちゃんと明日の文化祭の話をしながら家に帰る。あたしは夕食を食べ、お風呂に入り、寝る準備が終わってベッドの上でゴロゴロしているところだ。


 まだ10時くらいなのに眠くなってきたなぁ……。ちょっと早いけどもう寝ちゃおうかなぁ……。そういえば今日は結愛先パイに会えなかったなぁ……。


 あたしはスマホの画面を見る。待受はこの前結愛先パイと一緒に撮った写真になっている。この時の貴族令嬢とメイドのコスプレも楽しかった。


「メッセージ送ろうかな……。でも……やっぱり声が聞きたいな……。」


 あたしは結愛先パイに電話をかけようとする。その時だ。電話がかかってくる。相手は……結愛先パイ!?あたしはすぐに出る。


「もしもし!結愛先パイ!?」


 《あら?出るの早いわね。もしかして私に電話しようとしてたのかしら?》


「えっ……あっはい。どうかしましたか?」


 《今日は会えなかったから。声が聞きたくなっただけ。凛花は何の用かしら?》


「あたしも同じです。結愛先パイの声が聞きたくて」


 結愛先パイも同じことを思ってくれてた。それだけで嬉しい。結愛先パイの声を聞くだけで幸せになれる。あたしはそのまま結愛先パイと話す。気づけば0時を回っていた。


 《あっもうこんな時間。凛花と話していたら時間を忘れちゃうわね?》


「あたしもです。」


 《ふふっ。楽しかったわ。もう寝るわね凛花。電話ありがとうおやすみ。》


「おやすみなさい結愛先パイ。」


 結愛先パイとの通話が終わる。結愛先パイと話せた。ただそれだけのことだけど、あたしにとっては幸せなことなんだ。あたしは布団に入る。今日はぐっすり眠れそうな気がする。いい夢みれるといいなぁ。

『面白い!』

『続きが気になるな』


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