第70話 憎しみはときに世界を破壊するほどの強い力へと変わる
こいつの復讐心は何者にも劣らない強大なもの。たとえ死んだとしても、相手を殺す覚悟で戦ってくれますよ。
「さて、まず一回戦が終わったわけだが……。どうだった?」
「どう、と言われても……」
あの後、残りの4人を新技で高速移動をしながら逃げたり急接近したりしながら撹乱をして、隙あらば攻撃をするという姑息な害悪プレイで圧倒し、試合は俺の勝利となった。
現在は、一回戦の振り返り中だ。
戦いの中で感じたことと、反省点を振り返る非常に大事な工程だ。
まぁ、感想はなんとなく分かるんだけどな……。
「いくら何でもズルくないですか? あんな急に攻めて来られたら対応したくても対応しきれません」
「それな! 不意打ちはズルすぎるだろ! それでも元勇者かよ!?」
どこからかそんな声が聞こえてくる。
これはあらかじめ予想がついていたことだ。
俺の戦闘スタイルは、基本不意打ちか逃げや撹乱特化だ。真正面から戦うことなんてよっぽど苦しいときしかやらない。
そのため、正々堂々と戦うことを教えられる学校の生徒たちには、俺の戦い方は邪道のように思えることだろう。
特に、剣術を学んでいるものは、騎士道精神みたいなのも同時に学んでいるはずだから、余計俺の戦い方を嫌うことだろう。
だからこそ、俺はここでこの子供たちに現実を突き付けておく必要がある。
「そうか、それの何が悪い?」
俺がそう言うと、全員が固まった。
しかし数秒後、俺の言った意味を理解したのか全員が怒りを交えて不満を垂れ流し始めた。
これだから、何も知らない青臭い奴らは嫌いなんだ。
だが、ここで教えなければ最期まで青臭いままだ。
「じゃあちょっと質問するが、君たちは“戦争においての勝利”とはどのようなことだと思う?」
俺の質問に対し、皆が疑問の表情を浮かべた。
そりゃあ、急になんだその質問、って感じだろう。
「相手に降参させることでしょうか?」
一人がそんなことを言ってきた。
なるほど、満点ではないが悪くはない答えだ。
「そうだな。じゃあ、どうすればより早く降参させられる?」
「えっ、えーとそれは……」
途端に、答えが詰まってしまった。
「こちら側の戦力を相手よりも多くする、というのは?」
今度は別の子からだ。
しかし、その答えでは及第点はあげられない。
「残念だが、それは違うな。ただ戦力の差があっても、プライドだとか、自国のためにとか、そういう気持ちのせいですぐには降参しない」
「えー、それ以外に思いつきませんよ」
「考えるんだよ、君たちだって大半はどうせいつか魔物と戦うことになるんだ」
だが、それ以上答えが返ってきそうにない。
仕方がないので、俺がヒントを出す。
「降参を宣言するのは誰だ?」
「えーと、相手の偉い人?」
「そう、例えばA国王とでもしようか。じゃあ、どうすればこのA国王に参ったと言わせる?」
「えっ、そりゃあ戦力で圧倒――――あ、それじゃあダメだった」
「でも、それ以外に方法なんかあるのかよ」
答えは非常に簡単なことだ。
「相手国の、国の機能を壊してしまえばいい」
「「「国の機能を、壊す?」」」
どうやら、ピンと来ていないようなので説明を続ける。
「例えば、嘘の情報を流して、人民を疑心暗鬼に陥らせるとかだな。人ってのは緊張状態になるとまともな判断ができなくなるものだからな、ちょっとしたデマを簡単に信じてしまう。例えば、“国の備蓄が無くなってきていて、国王は残った金を持ち逃げしようとしている”とかな。まぁ、前もってA国王の評判を下げておく必要があるがな」
「そ、そんな姑息なこと――――ッ」
「姑息? どこがだ? 賢いと言ってくれよ。これが成功すればこっちはほとんど人員を減らすことなく、相手が勝手に自滅していくから、ほとんど被害無く勝てるんだぞ?」
「で、でも――――」
「いいか、“戦争では、勝った方が絶対正義”なんだ。負けた方は勝った方に逆らうことはできない。勝者がどんなに姑息で汚い手を使おうと、結局勝った方が真の勝者となるんだ」
「ですが……」
「負ければ、どんな目に遭うかも分からない。財産を奪われたり、命を奪われたり、大切な人たちを奪われるかも知れない。だが、どんな手を使ってでも、勝つことができれば財産を奪われたり、命を奪われたり、大切な人たちを奪われることは無い。これでも、君たちは姑息な手を使うことを否定するのか?」
「「「………………」」」
全員が黙り込んでしまった。
戦争は、結局勝ったもん勝ち。
勝つことが正義で、どれだけ正当な戦い方をしても、負けてしまえば姑息な手を使って負けることと同じことになってしまう。
「まぁ、世の中そう甘くはないってことだ。何が正義で、何が悪かなんて、君たちの倍以上生きてる俺にだって分からないことが多いんだから」
納得がいかないのは分かる。
まだ皆若いんだ。
いつかは、俺の言ったことを理解する日が来るだろう。
「よし、じゃあ次チームは戦闘の準備をしておけよー」
「「「はーい」」」
こうして、ひとまず第1回戦は終わった。
※※※※※※※※
「よし、じゃあ準備は終わったな」
俺は時計のアラームを5分後にセットし、教卓の上に置いた。
アラームが鳴れば、2回戦の開始だ。
「それじゃあ、俺は今から適当な場所に行くから、アラームが鳴ったら俺を探し始めてくれ」
そう言って、俺は教室の外に出た。
……さて、今度はどうしたものか。
また、壁に隠れておいて俺を探しに行ったところを、後を追いかけてシメるやり方で行くとしようか?
いや、バインドの新しい使い方を身に着けた今ならわざと見つかりやすいところにいて、一気に詰めて驚かせるのもアリだな。
どうしようか。
「あの……」
「ん?」
そんなことを色々と考えていると、急に誰かから声をかけられた。
声の聞こえてきた方を振り向いてみると、そこにはこの学校の警備員の方が一人いた。
「これは警備の方ですか。すみませんが、今大事な授業中でして、出来ればお話はあとで――――」
「あっ、いえ。時間は取らせませんので、ほんの1、2分で済みます」
「……まぁ、それなら」
俺が会話を了承すると、その警備員は謎の時計を見せてきた。
一見見ると、何の変哲もない時計だ。
だが、明らかにおかしいところがある。
それは、文字盤の数字が1から12までではなく、20まで書かれてあるのだ。
さらに、一つ一つの数字の間の間隔がバラバラになっているではないか。
何だこの時計は。
と、思っていると、警備員が時計の上のボタンを押した。
すると、時計の針が動き出した。
針が1に差し掛かった時。
「…………ん?」
何やら、教室の方が騒がしい気がしたが、恐らく俺の情報を教えあっているとかで騒がしいのだろう。
しかし、その考えは、数十秒後に間違っていたことが判明する。
「残り19、18、17、16――――」
警備員が謎のカウントを始める。
カウントが一つずつ減っていくたびに、何だか教室がどんどんうるさくなっていく。
「――――12、11、10、9人」
…………えっ。
今、単位がなんかおかしくなかったか。
“人”って…………。
俺はその瞬間、顔じゅうから血の気が引いていくのが感じられた。
急いで教室に戻ろうとする。
しかし、なぜか扉が開こうとしない。
扉の窓部分から中を覗いてみると――――――――
「――――――――ぅああッ!?」
中では、さっきまで元気だったはずの生徒たちが。
無数の生首になって、転がっている姿が見えてしまった。
あまりに急なことに、腰を抜かしてしまい、地面に座り込んでしまう。
『おい! 先生、これどうなってるんだよ!? 頼む助けてくれよッ!! なんかみんな急に死んじまったんだよッッ!? 助けてくれよおおおおおおッッ!!』
誰かが俺に助けを求めてきている。
どうにかして扉を開けようとしているのか、扉がガタガタと音を鳴らし――――
――――は?
なんで扉が開かないんだ?
鍵は中から掛かっているはずだ。
それなのに、内側から開けられないなんていうのはおかしい。
それに、なんで急に教室の中の生徒たちが攻撃されたんだ。
考えられるのは、そこの警備員が攻撃したということだけだが、一体どうやって?
扉は閉まっていて、窓も閉まっている。なおかつ、あの警備員が何か攻撃をした素振りは感じられなかった。
「――――5人、4人」
カウントを聞き、俺は正気に戻る。
すぐに立ち上がり、扉の前に立つ。
窓から、まだ名もよく知らない少年の顔が見えた。
その顔は、突然のことへの混乱と、仲間の死への悲観と、自分も死ぬかもしれないという恐怖と、様々な気持ちが入り混じって、涙でくしゃくしゃになりかけていた。
「だ、大丈夫だ! 俺が今すぐ助けてやるからな!」
「は、はい、先せ――――」
しかし、何とも非情なことに。
「――――0」
カウントが0になる。
その瞬間、少年の表情が一瞬こわばった。
そして、反応が無くなった。
「……おい? おい、大丈夫か!? おい――――」
俺が扉を叩くと。
少年の顔が、窓から見えなくなった。
そして、何かが落ちたような音が、2度聞こえてきた。
一つは、少年の体が崩れ落ちた音。
もう一つは、彼の首が――――
「――――ぁ、うわあああああああああッッ!?」
何度やっても慣れない。
人が死ぬ瞬間を見るというのは。
「いやはや、何とも惨めなもんだなぁ! 大事な生徒を一人も守ることができず、全員死なせてしまうとはなぁ!」
「……なんだ、お前は。一体誰だお前!」
「……あん?」
俺は立ち上がり、身構えた。
こんなに恐怖と怒りの感情が入り混じって、溢れ出して、今にもどうにかなってしまいそうなのは、一体何時ぶりだろうか。
生徒20人がわずか数分で死んだ。
そして、俺はそれを防ぐことができなかった。
いくらなんでももう分かる。
この警備員、いや、こいつ、魔物だ。
魔王軍幹部だ!
「おいおい、俺を忘れたとは言わせないぞ」
「…………は? 一体何のこと――――」
そいつは顔に手を当てると、表面の変装用と思われる覆面を剥がした。
すると、覆面の下から現れた顔はなんと……!
「……半透明の、ピンク色、だと……!?」
「ようやく分かったか! 俺はNo.3745、新魔王軍幹部の――――」
俺はその言葉を聞き終わる前に、走り出していた。
まさか、オナ〇ワームたちの生き残りがいたなんて……ッ!
しかも、あの見た目、完全に人の顔とほぼ遜色ないぐらい造形が一致していた。
恐らく、更なる変化を遂げたに違いない。
ここで殺しておかないと、どんな目になるか分からない!
それに、生徒たちを殺したと思われるやつを、放っておくわけがないッ!
「ハッ! それはもう既にお見通しなんだよ!」
そう言うと、3745と名乗ったそいつは、ナイフを取り出し。
何故か、自らの首元にあてがい、首を切った。
「はぁ!?」
首から謎の液体が噴出し、そいつは地面に倒れ込むと、動かなくなってしまった。
……………………。
「な、なんでだ、なんで急に……? と、とりあえず、教室の中に生き残っている生徒がいないか確認しないと!」
何故こいつが急に自害したのか全く分からないが、とりあえず今は生徒たちの安否が先だ。
早く教室の中に入って――――
―――――――――――
―――――――――
――――――
――――
――
※※※※※※※※
「――――ぁ、うわあああああああああッッ!?」
何度やっても慣れない。
人が死ぬ瞬間を見るというのは。
「いやはや、何とも惨めなもんだなぁ! 大事な生徒を一人も守ることができず、全員死なせてしまうとはなぁ!」
「……なんだ、お前は。一体誰だお前!」
「……あん?」
俺は立ち上がり、身構えた。
こんなに恐怖と怒りの感情が入り混じって、溢れ出して、今にもどうにかなってしまいそうなのは、一体何時ぶりだろうか。
生徒20人がわずか数分で死んだ。
そして、俺はそれを防ぐことができなかった。
いくらなんでももう分かる。
この警備員、いや、こいつ、魔物だ。魔王軍幹部だ!
「おいおい、俺を忘れたとは言わせないぞ」
「…………は? 一体何のこと――――」
そいつは顔に手を当てると、表面の変装用と思われる覆面を剥がした。
すると、覆面の下から現れた顔はなんと……!
「……半透明の、ピンク色、だと……!?」
「ようやく分かったか! 俺はNo.3745、新魔王軍幹部の――――」
俺はその言葉を聞き終わる前に、走り出していた。
まさか、オナ〇ワームたちの生き残りがいたなんて……ッ!
しかも、あの見た目、完全に人の顔とほぼ遜色ないぐらい造形が一致していた。
恐らく、更なる変化を遂げたに違いない。
ここで殺しておかないと、どんな目になるか分からない!
それに、生徒たちを殺したと思われるやつを、放っておくわけがないッ!
「ハッ! それはもう既にお見通しなんだよ!」
そう言うと、3745と名乗ったそいつは、ナイフを取り出し。
そのナイフを俺に投げつけてきた。
『回避』によって、ナイフを避ける。
しかし、ナイフを見たその一瞬が仇となった。
ふと振り向けば、奴が別のナイフを構えて俺に迫ってきていた。
このままでは反撃はできない。
俺はとっさに顔の前に両腕を構えた。
奴のナイフが、両腕に仕込んであったプロテクターによって弾かれる。
怯んだ瞬間に、俺は短剣を抜き、奴めがけて――――
「ハッ! それも既にお見通しなんだよ!」
――――斬りつけようとした途端、何故か奴の持っていたナイフが奴自身の首を貫いていた。
「…………はぁ!?」
首から謎の液体が噴出し、奴は地面に倒れ込むと、動かなくなってしまった。
……………………。
「な、何故だ、なんで急に……? と、とりあえず、教室の中に生き残っている生徒がいないか確認しないと!」
何故こいつが急に自害したのか全く分からないが、とりあえず今は生徒たちの安否が先だ。
早く教室の中に入って――――
―――――――――――
―――――――――
――――――
――――
――
※※※※※※※※
「ハッ! それはもう既にお見通しなんだよ!」
そう言うと、3745と名乗ったそいつは、ナイフを取り出し。
そのナイフを俺に投げつけてきた。
『回避』によって、ナイフを避ける。
しかし、ナイフを見たその一瞬が仇となった。
ふと振り向けば、奴が別のナイフを構えて俺に迫ってきていた。
このままでは反撃はできない。
俺はとっさに顔の前に両腕を構えた。
だが、それを読まれたのか、次の瞬間には奴のナイフは俺の腹部に突き刺さっていた。
「がはッ」
ナイフが引き抜かれる。
まずい、このままでは失血死してしまう。
早くアイツを倒さないと――――
「『バインド』ッ!」
『バインド』を使い、一気に奴に近づこうとする。
「ハッ! 残念だがそれもお見通しだぜ!」
しかし、奴は何を思ったのか持っていたナイフを自分自身の首に突き立てた。
「…………はぁ!?」
首から謎の液体が噴出し、奴は地面に倒れ込むと、動かなくなってしまった。
……………………。
「な、何故だ、なんで急に……?」
何故こいつが急に自害したのか全く分からないが、とりあえず今すぐに腹部の傷の応急処置をしなければ。
早く包帯と回復用のポーションを――――
―――――――――――
―――――――――
――――――
――――
――
※※※※※※※※
まさか、オナ〇ワームたちの生き残りがいたなんて……ッ!
しかも、あの見た目、完全に人の顔とほぼ遜色ないぐらい造形が一致していた。
恐らく、更なる変化を遂げたに違いない。
ここで殺しておかないと、どんな目になるか分からない!
それに、生徒たちを殺したと思われるやつを、放っておくわけがないッ!
「ハッ! それはもう既にお見通しなんだよ!」
しかし、それを読まれたのかすでに奴も走り出していた。
「『バインド』ッ!」
だが、逃げる相手には、新技がある。
俺は縄を取り出し、『バインド』を発動した。
俺の体は縄に導かれるがままに、奴に向かって一直線に飛び始めた。
しかし、次の瞬間。
――――腹部に謎の激痛が走った。
「あがッ!?」
俺は突然の痛みに驚き、縄から手を離してしまった。
勢いのまま、俺の体が地面を転がる。
体が止まった後、痛みがある所を触ってみた。
「あつ――――ッ」
痛みが走ったあと、触った手を見てみれば、なんと真っ赤に汚れているではないか。
この痛みの感じだと、まるで何かに刺されたかのような感じがする。
しかし、刺された記憶など無い。
「よぉ、気分はどうだ、フォートアレイス」
「ッ! お前――――、一体何をしたんだ」
急に密室の中で死んだ生徒たち。
そして、急に現れた腹部の謎の傷。
間違いない、こいつの“能力”だ。
一体、どんな能力だ。
「最悪な気分かもしれないが、安心しろ。こんなものじゃ終わらせないからな。お前は、特別にとびきり長く苦しませながら殺してやるよ」
そう言うと、奴はナイフを自らの首に――――
―――――――――――
―――――――――
――――――
――――
――
※※※※※※※※※※※※※※※
※※※※※※※※
※※※※※※※※
※※※※※※※※
※※※※※※※※
※※※※※※※※
※※※※※※※※
※※※※※※※※※※※※※※※
「よし、じゃあ準備は終わったな」
俺は時計のアラームを5分後にセットし、教卓の上に置いた。
アラームが鳴れば、2回戦の開始だ。
「それじゃあ、俺は今から適当な場所に行くから、アラームが鳴ったら俺を探し始めてくれ」
そう言って、俺は教室の外に出た。
……さて、今度はどうしたものか。
また、壁に隠れておいて俺を探しに行ったところを、後を追いかけてシメるやり方で行くとしようか?
いや、バインドの新しい使い方を身に着けた今ならわざと見つかりやすいところにいて、一気に詰めて驚かせるのもアリだな。
どうしようか。
……まぁ、とりあえずは壁に隠れておくとするか。
壁に隠れ始めてから、数分が経っただろうか。
先ほどから、何やら教室が騒がしい。
しかし、俺は今隠れている最中なので、下手に様子を見に行けばバレてしまう。
ここは落ち着いて、様子をうかがうとしよう。
『ピピピッ、ピピピッ』
教室から、時計のアラームの音が聞こえてきた。
……しかし、生徒たちが教室から出てくる様子が無い。
一体どうしたのだろうか。
……1、2分待ってみても誰かが出てくる気配が無い。
これは一体どうしたのだろ――――
「あぐ――――ッ?」
――――突然、腹部に謎の激痛が走った。
「いつつ――――――――ッ」
突然のことに驚いた。
今朝、何か悪いものでも食べたのだろうか。
俺は、痛む箇所を擦ろうと、腹部に手を伸ばし―――――
「――――あ」
――――た次の瞬間、俺の腕の感覚が無くなった。
いや、正確には、腕が付け根から切り離された。
「あぐぁッ!? い、一体何が――――」
あまりに突然のことに驚き立ち上がろうとした次の瞬間。
――――今度は、足が根元からいかれた。
体が地面に倒れ込む。
「あがッ!? ぐああああああああああッ!」
痛みにのた打ち回る。
何も理解できない。
突然腹部に激痛が走ったかと思えば、次に腕が突然切られていて、次には足が切られていた。
一体何が起こったというんだ。
周りには誰もいない。
ここには俺しかいない。
しかし、明らかにこれは攻撃を受けている。
「あぎッ!? ギャアアアアアアアアアアアッッ!!!」
そんなことを考えていると、急にまた腹部に激痛が走った。
しかし、今回のはさっきのとはまるで違う。
まるで、麻酔無しで腹を切り開かれているかのような――――ッ!
「あが――――――――――ッッ!? ――――――――ッ!!」
そして、腹から何かが出ていくような感覚がした。
臓物が、どんどん体の外に出ていく感覚。
「――――――ッ!! ―――――――ッッ!?」
言葉にならない叫びが、廊下中にこだまする。
臓物が引き抜かれていくたびに、俺の意識がドンドン暗闇の中に沈んでいく。
小腸がもうそろそろ全部引き抜かれるかというところで、俺の意識は完全に闇の中に消え去った。
時計の針は、15時05分で停止した。
感想、ブックマーク、レビュー
どれでもいいので、してもらえると作者のやる気が数十倍になります。
お願いします!





