4
ぽっくりぽっくり
私とヨシュアを乗せた馬が歩いている。
結局行先をばらさないかわりにと、ヨシュアの同行を許してしまった。
ヨシュアの後ろに乗せられ、その腰あたりに手を回しているが、出来るだけ触れ合わないように気をつける。
そんな不安定な乗り方なので、ヨシュアはゆっくりと馬を歩かせるのだろう。
なぜ触れ合わないようにしているかというと・・・
ぎゃっ!腕に腰骨があたった!キモイ!!
そう。薄幸の美少年であるヨシュアは痩せている。
私の筋肉評価指数で表現すると「ガリッガリ」レベルだ。
実は普段から心の中ではヨシュアを「ガリ僧」と呼んでいる。
骨自体は太いのか、体を密着させるといたるところに骨が当たって気持ち悪い。よって接触面を極力狭くしたいのだ。
ちなみに伯爵家で馬に乗るのは養父と義兄のアルだけだ。
アルの馬に同乗するときは接しまくり触りまくってる。
腹はもとより胸、はては太ももにまで手を這わせている。
妹分の役得だ!筋肉サイコー!
アルは王族の近衛兵をしていて、若手の出世頭と言われている。
精悍な顔つきと、筋肉隆々としたステキ体系。王都ではモッテモテらしい。
義理とは言え、妹としては鼻が高い。
心の中でアル兄の筋肉賛美をしていたら、肋骨に腕が当たった。
ヒッ!クッソ、ガリ僧、筋肉付けろ!!
金持ちの癖に何食ってたんだ!育ち盛りの16歳だろうが!!
ガリ僧は我が伯爵より身分が高いらしい。
ということで、私も普段からガリ僧には気を使っている(つもり)。
接触は殆ど無いのでばれないだろうと、そっとヨシュアの腰から手を離し、鞍の後ろ部分を持つ。背中の籠が邪魔だ・・・
「危ないから」
ヨシュアはボソッと言って、私の手を取ると自分の腰に回させた。
しかも、グッと引き寄せて背中に密着させられた。
ひーーーーっ、背中が薄いーーー!
心の中で悲鳴を上げるが、ちらっと見上げたヨシュアの眉間に皺を発見し、黙って腰に捉まりなおした。
もぞもぞと動いたせいでご不興を買ったらしい。
帰りは絶対一人で帰る!!