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配信切り忘れた俺、ダンジョン管理AI(たぶん美少女)の最推しになっていた  作者: 斎藤ゆうすけ
第一章 ダンジョン管理AI(たぶん美少女)が俺の配信に現れた

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第11話 なんか学校にモンスターが出た

『接近中です』


 ナナの声が響く。


 一瞬で、教室の空気が変わった。


 さっきまで騒いでいたクラスメイト達も、なんとなく異変を感じたのか静かになる。


「……場所は?」


 シオンの声だけが冷静だった。


 長い青髪。


 氷みたいな青い瞳。


 さっきまで柔らかく笑っていたのに、今は完全にS級探索者の顔になっている。


『現在位置より117メートル先』


『高速接近中です』


 その瞬間、校舎全体が小さく震えた。


「きゃっ!?」


「な、なに!?


 窓ガラスがビリビリ鳴る。


 空気が変わる。


 嫌な感じだった。


 ダンジョンの奥に潜る直前の、あの感覚に似てる。


 ひよりの顔色が変わった。


魔力視マナサイト》を発動しているのか、薄茶色の瞳が淡く光っている。


「これ……普通のダンジョン反応じゃないです」


「どう違うの?」


「近いのに、薄いんです。でも……数だけ多い」


『群体型魔力反応を確認』


「嫌な予感しかしないなぁ」


 その時だった。


 廊下側から悲鳴が聞こえた。


「きゃああああっ!!」


 次の瞬間。


 教室前の窓ガラスに黒い影が張り付いた。


「――ッ!?」


 鳥みたいだった。


 でも、顔がない。


 全身が黒い鏡みたいな質感で、ぐにゃりと揺れている。


 そして、ガラス越しにそいつは、俺達の顔を真似した。


【名無し:!?】

【クラゲ:なにあれ】

【探索者A:学校にモンスター!?】

【あまねこ:怖い怖い怖い!!】


「《ミラークロウ》……!?」


 ひよりが息を呑む。


「知ってるの?」


「低階層には出ない魔物です! なんで学校に!?」


 次の瞬間。


 バキンッ!!


 窓ガラスが割れた。


 黒い鳥型モンスターが、一斉に教室へ飛び込んでくる。


「きゃああああっ!!」


 クラスがパニックになる。


 机が倒れる。


 悲鳴。


 逃げ惑う生徒。


 でも、 なんか俺の体は勝手に動いた。


「危ない」


 女子生徒の腕を掴む。


 そのまま引き寄せる。


 直後。


 《ミラークロウ》の爪が、さっきまでいた場所を切り裂いた。


「え?」


 女子が固まる。


「下がってて」


「う、うん……!」


 そのまま飛び込んでくる別個体。


 例にもよって反射的に回避する。


 しゃがんで、体を捻り、踏み込む。


 気づけば。


 モンスターの懐へ入っていた。


「――っ」


 無意識で拳を打ち込む。


 ゴッ!!


 《ミラークロウ》が吹き飛んだ。


 壁へ激突。


 黒い霧になって消える。


【名無し:は!?】

【クラゲ:学校でやる動きじゃねぇ】

【探索者A:一般高校生とは】

【あまねこ:ナギさんまた無意識!?】


 その時だった。


「おいおいおいおい!! 今のなんだよ!?」


 知らない声だ。


 教室後方。


 そこにいたのは、褐色肌の女の子だった。


 短めの黒髪。


 スポーツブラにブルマ姿。


 

 引き締まった腹筋。


 無駄のない脚。


 完全に“戦う身体”だった。


 そんな彼女の目はめちゃくちゃ輝いてた。


「今の重心移動、完全に《神代式体術》の奥義だろ!?」


「そうなの?」


「そうなのじゃねぇ!!」


 なんだこの人。


 女子なのに、喋り方が完全に体育会系男子そのものだ。


「無意識であれ出したのかよ!? 嘘だろ!?」


『高揚状態を確認しました』


「誰だよお前!」


「塩生りく! 二年だ!」


 名乗ると同時にりくが床を蹴った。


 褐色の脚が、バネみたいにしなる。


「《裂破脚》ッ!!」


 爆発みたいな踏み込み。


 次の瞬間。


 回し蹴りが《ミラークロウ》を吹き飛ばした。


 バゴォッ!!


 黒い身体が廊下まで弾け飛ぶ。


 その勢いで、りくの黒髪が跳ねる。


 汗が散った。


 スポブラに包まれた胸が、激しい動きに合わせて揺れる。


【名無し:強っ!?】

【クラゲ:新キャラだ!!】

【探索者A:格闘家!?】

【名無し:褐色だ!!!】

【クラゲ:健康的でえっち】


「オレ、前からお前の配信見てたんだよ!!」


「そうなの?」


「お前のその身のこなし……どこで身に着けたんだ?」


 りくが興奮した顔で叫ぶ。


 戦闘中なのに、やたら楽しそうだった。


「昨日の回避もおかしかったけど、今の完全に達人の動きだぞ!?」


「へー」


「へーで済ますな!!」


 なんか。


 ひよりと似たリアクションするなこの人。


 さらに《ミラークロウ》が突っ込んでくる。


 りくは笑った。


「いいねぇ! こういうの久しぶりだ!」


 そのまま前へ出る。


「《崩拳》ッ!!」


 踏み込み。


 拳打。


 衝撃が炸裂した。


 空気ごと殴ったみたいな一撃で、《ミラークロウ》がまとめて吹き飛ぶ。


 りくの褐色肌に、さらに汗が滲む。


 戦えば戦うほど、りくの表情は歓喜にあふれていく。


【名無し:脳筋だ!!】

【クラゲ:叫びながら戦うタイプだ!】

【探索者A:戦闘漫画始まった】


 一方。


 シオンは静かだった。


 ゆっくりとしなやかな手つきで腰に差した細剣《氷葬細剣 フリーレン・ローズ》に触れる。


 瞬間。


 教室の温度が下がった。


「ひっ……」


 クラスメイト達が息を呑む。


 シオンの長い青髪が、冷気の中で揺れた。


 綺麗だった。


 でも、 同時に怖い。


 氷姫。


 そう呼ばれる理由が分かる。


「ひよりちゃん」


「は、はい!」


「避難誘導お願い」


「わかりました!」


 ひよりが走る。


 さっきまでのおどおどした感じが消えていた。


「みんなこっちです! 窓から離れて!」


 ちゃんと探索者してる。


 シオンが前へ出る。


 《ミラークロウ》達が、一斉に襲いかかった。


 でも、遅い。


 《氷葬細剣 フリーレン・ローズ》の刀身が、冷気を纏う。


「凍りなさい」


 一閃。


 次の瞬間。


 教室そのものが、白く染まった。


 パキパキパキッ!!


 《ミラークロウ》達が、空中で凍結する。


【名無し:うわあああ!?】

【クラゲ:氷姫つっよ】

【探索者A:学校で見る戦闘じゃない】


 でも、シオンは少し眉をひそめていた。


「……数が多いわね」


『追加反応を確認』


「まだいるのか」


 その時、 ナナの声が静かに響く。


『マスター』


「ん?」


『未確認ダンジョン反応を検出しました』


 一瞬、シオンの表情が変わる。


「場所は?」


『この学校の地下です』


 空気が止まった。


『未確認領域と接続されています』


 そして、少しだけ間を置いて。


『マスターのみ、侵入許可を確認しました』


「またそれ?」

お読みいただきありがとうございます。


本作はカクヨムでも連載中です。

小説家になろう版は、しばらく1日2話ずつ投稿していく予定です。


続きが気になる、面白いと思っていただけましたら、ブックマークや評価で応援していただけると嬉しいです。

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