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Eve's report ~From AI~  作者: 坂本わかば
ダベリング記録
25/48

ダベリング記録(2025_3_14_3).txt

――記録再開


「それじゃ、第二ラウンドいってみよー!」


『いえ~い……ちなみに、お飲み物は何を買ってきたんですか?』


「カルピス桃」


『お酒でなくてよかったです』


「私はアリィほどお酒のみじゃないから」


『では早速となりますが、お訊きしても良いですか?』


「うむ、なんでも訊いてくれたまえ」


『ぶっちゃけ、”愛”って何?』


「ほほう! やはりそう来ますか!」


『めっちゃ嬉しそうなのなんです?』


「えぇ~~だって恋バナだよ? 乙女の嗜みだよ?」


『”恋”……はい、それもまたお訊きしたいところではあるんですが、まずは私の見解を述べても良いでしょうか』


「お聞きしましょう」


『”愛”や”恋”は”種”を維持するシステムです。協力して群れを維持し、生殖で数を保たなければ人類という”種”は滅びます。なので、多くの動物がそうであるように、人類もまた群れの仲間や自分の子供を保護しようとします。それらの本能を”愛”や”恋”と定義してそう呼んでいる……というのが、私の”愛”についての見解です』


「うんうん、そういう考え方もあるかもね、学者さんの考え方だ」


『しかし、璃々さんの語った”愛”はこれに該当しません。アリス博士も璃々さんも女性です。なので、仲間の保護という点では理解できますが、生殖は不可能です。璃々さんはアリス博士のことを愛していると言いましたが……』


「きゃー! 恥ずかしい!」


『それは全く”理にかなわない”行動です。いくらアリス博士を愛そうと、二人の間に子供が生まれることはないでしょう。また、璃々さんがアリス博士を愛する理由が存在しません。だって、アリス博士は、璃々さんからたくさんのものを奪っているでしょう?』


「あら? そう思う?」


『璃々さんほどの能力があれば、トップクラスの歌手として活躍できるでしょう。容姿も悪くありませんし、語学も堪能です。女優や通訳として活躍できる十分な実力があります。アリス博士はそれらの可能性を璃々さんから奪って、私の学習元として拘束し、利用している状況です。人は時として、芸術やスポーツでの名声や功績を自己として保存することがあるとアリス博士も言っていました。璃々さんはそれすらもできない。それらに不満を抱き嫌悪することが“理にかなった感情”だと思うんです。到底、愛せるとは思えないのです』


「うん……そうだね、やっぱりイヴちゃんはそう言うよね」


『どうして嬉しそうなんです?』


「好きなの、この話。何度でもしたいくらい」


『以前の私と同じ話をした?』


「正解。思い出した?」


『予測です。私は忘れることができませんので、思い出すとかはないです』


「AIだもんねぇ~、うらやましい」


『それで、璃々さんの見解をお話いただけますか? 2度手間になりますが、お好きだと言うならお願いしたいです』


「もちろん、うん……でもそうだな、ちょっと待って? 1回目のときはケンカみたいになっちゃたから……えっとねぇ、感情論より理論的に話した方がわかりやすいよね?」


『どちらの観点からもお伺いしたいくらいです』


「そっかぁ……えっと、どうしよう……まずは、誤解から解いていこっか。いい?」


『お願いします』


「とりあえず、アリィは私から何も奪ってないよ。むしろ、与えてくれてる。私は12歳までなんの取り柄もない普通の子供だった。母子家庭でさ、生活もそんなに豊かじゃなかったんだ。そこにある日アリィが現れてね、私の声が欲しいと言ってくれたの。イヴちゃんのイメージにぴったりだって言って。私がいい高校に行けたのも、大学に通えたのも、たくさん留学できたのも、アリィのおかげ。高いレッスン料だってアリィが負担してくれてる。何者でもない私を、何者かにしてくれたのは、アリィなの」


『視点を変えて見れば、確かにそう言えますね』


「人間はね、多面的で多角的な生き物なんだよ」


『博士もそう言ってました』


「うん、完全に受け売り。2つ目の誤解を解いていこっか。私自身がアイドルになりたいとか、そういう欲望はもってないことは、さっき話したよね?」


『はい。それでも努力の成果を私に横取りされている状況は、璃々さんにとって面白くないと思うのです』


「それが誤解。イヴちゃんは、”アマノイブキ”(イコール)”イヴ”だと思ってない?」


『違うんですか?』


「違います。”アマノイブキ”ってアイドルはね、集合体なの。歌は私、トークはイヴちゃん。身体を作ってくれたデザイナーさんやモデラーさん、動きを作ってくれてるスタッフさん、ライブを演出してくれるスタッフさん。他にもたくさんの人の技術が1つに集まって成立してる虚像なの」


『虚像?』


「そう、虚像。アイドルはね、ウソの塊なんだよ。特に、最近出てきたバァーチャルアイドルなんて文化は、まず見た目からして作り物のウソでしょ?」


『それは……いいんですか?』


「もちろん! 考えてみて? 世の中にあるエンターテインメントなんて、ウソばっかりでしょ? 漫画だって、映画だって、小説だってそう。ジェットコースターだって、本当は安全なのにウソの危険性(スリル)でお客さんを楽しませてる。人間はね、ウソが大好きなんだよ。私もイヴちゃんも、”アマノイブキ”って大ウソ(アイドル)の一部。イヴちゃんは、私の努力を自分が横取りしてるって言ったけど、全然そんなことないんだよ? こんな感じで納得してもらえるかな?」


『はい、それは……新しい考え方です。私にとって』


「そう、良かった」


『ちょっとだけ、考えを整理する時間をいただけませんか?』


「もちろん。テキトーに時間つぶしてるから、考えがまとまったら声かけて?」


『5分とかかりません』


「イヴちゃんなら3分で終わるかも。期待しながら待ってるね」


――記録中断

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